変形性膝関節症

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Q.変形性膝関節症とは?

膝内部の炎症が原因の、進行性の関節疾患です。

変形性膝関節症とは、ひざ関節で向かい合う大腿骨と脛骨の表面を覆う、軟骨組織のすり減りから始まります。
ひざを曲げたり伸ばしたりするときの違和感や何かしたときに痛むといった症状から、慢性的な炎症による強い痛みへと症状が進行していくのが特徴です。
関節への負担や衝撃を和らげるクッションのような役割を担う軟骨ですから、ダメージが大きくなると痛みだけでなく骨の損傷や関節の変形にまで至り、歩行すら難しくなってしまいます。

Q.変形性膝関節症の症状は?

進行段階で症状は変わります。初期には痛み、末期になると骨の変形が見られます。

主な症状は「痛み」と「変形」です。痛みは初期から末期にかけて一貫して見られますが、痛み方は重症度によって変化します。痛みの他にも膝から音が鳴ったり、水がたまるなどの症状も見られます。

変形性膝関節症の病態イラスト

初期症状

朝起きた時など身体を動かしはじめに、膝がこわばって鈍い痛みや違和感を感じることがあります。この時点では、しばらく安静にすれば痛みは治まります。

  • 膝がこわばる/引っかかる
  • 歩き始めや立ち上がる際に痛む
  • 安静にすると痛みはなくなる

中期症状

痛む頻度が増え、階段の上り下りやしゃがみ込み、正座が辛くなります。また、膝が曲げ伸ばしが可動域が狭くなります。

  • 階段の上り下り(特に下り)の際に膝が痛む
  • 正座が困難
  • 膝を動かすとミシミシ、ガリガリと音がすることがある
  • 膝に水がたまる

末期症状

末期になると、これまでに見られた症状がさらに悪化してきます。次第に膝の骨の変形が認められるようになり、強い痛みや歩行困難などから、日常生活に支障をきたすようになります。

  • 立っているだけで痛い
  • 痛くて眠れない
  • O脚やX脚が顕著になる
  • 歩行が困難

Q.変形性膝関節症の原因は?

加齢や肥満、筋力の低下、スポーツで歴などひざへの負担となる要素が原因とされています。

変形性膝関節症の原因

変形性膝関節症は、加齢によって発症することが多く、50代以降から急増するという報告されています[1]。また、比較的に男性より女性に多い疾患とも言われています。
この他にもひざに負担がかかる状態である、肥満や筋力の低下、スポーツ歴などが原因とされています。介護職など、日頃から膝を酷使する仕事についていると、性別問わず30代や40代でも発症することはあります。

Q.変形性膝関節症は予防できる?

適度な運動で筋力を付け、ひざへの負担を減らすことが大切です。

有効とされているのが、適度な運動です。筋力を維持することでひざへの負担を軽減できますし、減量にもつながります。
激しいスポーツよりもウォーキングや自転車、水泳などのひざへの負荷が少ないものがおすすめです。すでに痛みを感じている方は無理をせず、ひざ関節への影響力の大きい大腿四頭筋(太もも前側の筋肉)にフォーカスしてトレーニングすると良いでしょう。変形性膝関節症の筋力トレーニングではこちらで詳しくご紹介しています。
▷コラム「【動画有り】変形性膝関節症に効く! 室内で簡単にできる筋力トレーニング」

変形性膝関節症の予防体操

ただ、変形性膝関節症の原因はひとつではありません。加齢や肥満、スポーツ歴、仕事内容などのひざへの負担となる要素もいろいろ関係します。
そのため「これさえやれば予防できる」という方法はないのですが、ひざを大切にケアしてあげることは変形性膝関節症の発症や進行を遅らせることにつながります。

Q.治療したら治る?

完治は難しいですが、痛みを緩和させることは可能です。

残念ながら、軟骨を元通りにして完治させる方法は確立されていません。
ただ、治療することで痛みを緩和もしくは解消させたり、軟骨がすり減っていくスピードを遅らせる効果が期待できます。
変形性膝関節症の治療では、この”いかに進行させないか”という点が重要なポイントとなります。

まずは膝の状態を把握することが重要

治療を始める前にMRI検査で膝の状態を把握し、痛みの原因の特定することで、進行度に合わせた適切な治療を受けることができます。そうすることで治療がスムーズになり、早期回復も期待できます。
MRIは、触診では気づきにくい水腫や、骨だけでなく関節組織全体の状態を把握できる検査方法です。
当院でもMRI検査と専門医による診断をセットにした「MRIひざ診断」を提供しています。ご興味がある方は下記の詳細ページと動画を併せてご覧ください。検査のお申し込み
▷MRIひざ即日診断

Q.変形性膝関節症の治療法は?

初期は運動療法と薬物療法が中心ですが、重度になると手術が必要になります。

変形性膝関節症の治療法としては、保存療法と呼ばれるメスを使わない方法と、膝を切開する手術療法の2つがあります。ひざの痛みだからといって同じ治療法で改善するかというとそうではありません。患者さまによってベストな治療法は異なり、医師もその都度、何が最善かを深く考えます。

初期なら保存療法(運動療法×薬物療法)

まずはひざの痛みをコントロールするため、鎮痛薬やヒアルロン酸注射を試みます。ただ、変形性膝関節症の治療という意味で言えば、進行を遅らせるためのアクションが必要となります。
変形性膝関節症の治療ガイドラインで高く推奨されているのが、ひざへの負担を少なくするための生活改善と運動療法です[2]。当院でも患者さまの身体のクセを考慮したリハビリ法をアドバイスしたり、家でできるよう資料をお渡ししていますが、熱心な方ほど良い結果につながっています。
薬の処方やヒアルロン酸注射は、運動に取り組みやすくするために行うのだとお考えください。同じ目的で、サポーターや杖、足底板などの装具の処方や使用をおすすめする場合があります。

変形性膝関節症の保存療法

末期の場合は人工膝関節置換術などの手術療法

薬物療法や運動療法を6ヵ月以上続けても効果が得られない方や、痛みで日常生活への支障が大きい方は、手術を勧められることが多いでしょう。
変形性膝関節症の場合、人工関節置換術が代表的です。損傷した範囲を削って整え、金属とポリエチレンでつくられた関節器具を取り付けます。
この手術では、介助なしで歩行できなかった患者さまが一人で歩けるようになるなど、大幅な改善が期待できます。
一方で、ひざを15cmほど切開することもあり、身体への負担は多大です。近年、手技やシステムも進歩していますが、最終的な治療法という位置づけは変わりません。
ただ、手術療法=人工関節ではありません。ひざの状態や患者さまの年齢、生活習慣などを加味して、関節を温存できる関節鏡視下手術や高位脛骨骨切り術などを行うこともあります。

変形性膝関節症の代表的な3つの手術
  • 関節鏡視下手術

    変形性膝関節症の代表的な3つの手術 関節鏡視下手術

    損傷した組織の除去を行う手術で、初期に対応。低侵襲だが効果の持続が短い

  • 高位脛骨骨切り術

    変形性膝関節症の代表的な3つの手術 高位脛骨骨切り術

    関節の傾斜を整える進行期の手術。入院やリハビリは長いが、関節が温存できる

  • 人工関節置換術

    変形性膝関節症の代表的な3つの手術 人工関節置換術

    最終的な治療法。侵襲が大きく合併症のリスクもあるが、大幅な改善が期待できる

変形性膝関節症の治療法をもっと詳しく知りたい方は下記も併せてご覧ください。
▷変形性膝関節症の治療法を徹底解説!治療ごとのメリット・デメリットは?

Q.手術以外の治療法はある?

手術以外の新たな選択肢として、再生医療が注目されています。

自己組織を活用する先進的な治療法が複数の医療機関で取り扱われるようになり、治療の選択肢の幅が広がってきています。こうした治療法の一部は再生医療として認知されるようになってきました。

治療に用いるのは、自分自身の血液や脂肪細胞

急速に認知され始めているのが、血液や脂肪に含まれている「組織の修復に働く成分」を活用する方法です。これらの治療では有効な細胞や物質を、注射でひざ関節内に投与します。
従来の手術療法のようにひざにメスを入れることはありません。
入院の必要もありませんし、普段の生活を続けられる点が、手術に踏み切れない方には大きなメリットです。

期待できるのは、症状の進行を遅らせること

薬物やヒアルロン酸注射など、いわゆる保存療法と呼ばれる治療は、一時的な痛みの緩和は得られても、変形性膝関節症の進行を食い止めることはできません。
一方、血液や脂肪を活用した治療法なら、関節機能の悪化速度を遅らせることが期待できます。
実際、痛みや関節機能の改善という面で、薬物療法を上回る利益がもたらされたという研究も報告されています[3][4]
もし期待通りの効果が得られるなら、人工関節にしないで一生過ごせる確率が高くなることは間違いありません。

治療の選択肢が増えるメリット

再生医療のメリットとデメリット

仕事のことや術後のこと、手術効果の不安から、できるなら人工関節にしたくないとお考えの方には魅力的かもしれません。
ただ、検討の際にはメリットとデメリットを知り、納得してから受けられることをおすすめします。
当院では診察や検査結果をもとに効果の見込みを診断することに加え、下記のようなメリットとデメリットも事前にきちんとご説明しております。

メリット デメリット
緩和治療で改善されない痛みにも有効 患者さまによって効果の出方が異なる
痛みの根本治療になり得る 既往歴で受けられないこともある
本来のひざ関節の寿命を伸ばせる 自由診療なので保険が利かない
重篤な副作用のリスクが低い 治療後に痛みや腫れを伴うことがある
入院しないので生活に支障が少ない 培養や加工に数週間かかる治療もある

治療が効くかどうか事前に確認できる「MRI検査」

こうした先進的な医療が全ての人に有効というわけではありませんが、効果が期待できるかどうかをMRI検査で事前に確認することは可能です。
再生医療に興味があるという方は、まずはMRI検査の受診をおすすめします。当院では撮影したMRI画像をもとに、専門医がお膝の状態を詳しくご説明しています。
MRI膝即日診断

手術以外の選択肢として有効な治療法

ひざ関節症クリニックでは、血液を活用する治療と脂肪を活用する以下の治療をご提案しています。
詳しくは各治療ページをご覧ください。

「効果があるか心配」という方はまずはこちらへ

再生医療には興味があるけれど、効果があるか心配という方は、まずはMRI検査と医師の適応診断を受けてみてはいかがでしょう。お膝のどこに問題があるかを詳しくお調べし、適応の有無を判定します。

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