ひざ痛治療のコラム

変形性膝関節症に効く! 室内で簡単にできる筋力トレーニング

公開日:
更新日:2021.11.25

変形性膝関節症と診断を受けた際に医師から運動療法を勧められた方や、筋力トレーニングが効果的だという情報をインターネットで見聞きしたことがある、という方は少なくないはず。運動療法は、医学的にも根拠が証明されている治療法です。当院の患者様で、杖なしでは歩行困難だった70代の女性が3ヵ月のトレーニング後、杖を使わず颯爽と歩けるようになったという実例もあります。
そこで今回は、変形性膝関節症の方へおすすめする鍛えるべき筋肉と、実際のトレーニング方法を動画でご紹介したいと思います。室内で手軽にできるトレーニングを今日からはじめてみませんか。

情報提供医師

保田 真吾 医師

保田 真吾 医師(大阪ひざ関節症クリニック 院長)

日本整形外科学会認定 専門医

変形性膝関節症における運動療法の有効性

変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減り、炎症を起こした膝に痛みが生じる病気です。症状が進行すると最悪の場合、歩行が困難になることも少なくありません。原因としては加齢や肥満の他、筋力不足などが考えられます。
筋力トレーニングを行う目的は、そういった筋力不足を補い、変形性膝関節症の進行を遅らせることです。

その有効性は、国内外でも認められており、世界変形性関節症学会や日本整形外科学会による診療ガイドラインでも、変形性膝関節症の治療において運動療法が推奨されています[1]

筋力トレーニングやストレッチを行うメリット

1. 膝の負担が軽減する
膝の周りにある大腿四頭筋などの筋肉は、膝の負担を吸収するクッションのような役割をしています。そのため筋肉を鍛えることで、膝にかかる負担が減り、結果的には痛みの改善も期待できます。
2. 膝の負担が軽減する
膝関節が安定していないと、歩行のバランスが崩れたり、動き出しに痛みを生じやすくなります。歩行に関連する膝や骨盤の周りのトレーニングは、膝関節の前後左右の安定に繋がります。
3. 膝関節の可動域を広げる
膝関節は、歩行や階段の昇り降り、しゃがみ込むときなど日常生活でも大きく動かす部分です。変形性膝関節症になると膝関節の可動域は徐々に狭くなってしまうため、トレーニングで広げていく必要があります。

膝の痛みは悪化しない?

変形性膝関節症で痛みがある場合は安静にすべき、と考える方は多いと思います。運動で膝の痛みが悪化したら…と不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。膝に強い痛みがある場合は無理に運動を行わないほうがいいですが、そうでない場合は積極的に筋力トレーニングを行っていくことが望ましいです。

膝の関節や筋、筋膜は ずっと動かさずにいると、体内で炎症を引き起こす 物質が誘発され、より痛みを感じやすくなるとされているからです[2]。そのため、適度な運動は変形性膝関節症の方にとって必要と言えます。

ある研究結果では、炎症を引き起こす物質は運動をすることで発生しにくくなるほか、 軽度の炎症を伴う慢性的な痛みが軽減される 可能性が示されています[3]

膝痛でアプローチすべき筋肉

運動療法を重視する当院にはメディカルトレーナーが在籍し、日々患者さまへトレーニング指導を行っています。今回は、膝を専門としてリハビリを提供する当院トレーナーに、変形性膝関節症はどの筋肉にどのようにアプローチすべきかを聞きました。
膝と関係する筋肉は多数あります。例えば太ももの大腿四頭筋には、膝関節にかかる負荷を吸収する役割があり、 変形性膝関節症の症状を改善するためには、特に重点的に鍛えるべき筋肉 です。

上表のように、筋肉はそれぞれ異なる役割を持っています。そのため、部位別におすすめの筋力トレーニングとストレッチを選んでみました。重視していただきたい順に、目的も添えてご紹介していきます。ご紹介しているものは、どれも室内で簡単に行っていただけるものです。鍛える部位を意識しながら、下記の注意点を守った上で実践してみてください。

膝を鍛えるときの注意点

・ストレッチには、膝関節を曲げる動作を必要とするケースがあります。膝を曲げにくい方や、曲げると痛みがある方には、そのストレッチは推奨できません。
・初期や末期といった変形性膝関節症の重症度とは関係なく、身体の状態が悪ければ自力で行うことが困難な場合もあるため、無理に行うのは禁物です。
・病院やリハビリ施設などで、医師や理学療法士などから運動療法の指示を受けている場合は、その指示に従ってください。指示を受けていないという人も、一度確認を取っておくと安心です。

膝関節を動かしやすくする準備運動

変形性膝関節症の方が最優先すべきは、太ももの前側にある大腿四頭筋のトレーニングです。先述の通り、大腿四頭筋には膝関節への負荷を和らげるクッションのような役割があるため、膝への負荷を軽減すべき変形性膝関節症の方にとっては、特に大切な筋肉です。

【筋力トレーニング】

①椅子に座り、片足をまっすぐ伸ばします(※1)。
②伸ばした足を椅子の高さほどまで上げ、10秒間保ちます(※2)。
③足を下ろしたら数秒間休みます。
④再び①から行い、20回繰り返します。
※1:膝をまっすぐ伸ばすと痛む場合は、少し曲げた状態でも構いません。
※2:足首は前方を向いていても、手前を向いていても大丈夫です。

【ストレッチ】

①横向きに寝そべり、上になった脚の膝を曲げます。
②曲げた脚の爪先を持って後方に引っ張り、太ももの付け根から筋肉を伸ばします。
③15秒ほど保ちます。

膝関節を安定させるトレーニング

太ももの内側にある内転筋群は、脚を閉じるときに作用する筋肉。ここが弱くなると太ももが外側に開きやすくなり、O脚が進行する原因になります。

①横向きに寝転がり、上の手は胸の前に、下の手は頭を支えるようにします。
②上の膝を立てます。
③3秒かけて、下の脚を可能な範囲でゆっくりと持ち上げます(※)。
④3秒かけてゆっくり下ろします。
3セットを目安に行います。
※上半身の姿勢が崩れたり、上げている脚の膝が曲がったりしないようにしましょう。

歩行バランスを改善するトレーニング

お尻の横側にある中殿筋という筋肉が弱ると、痛む足に体重をかけたとき、その反対側に骨盤が傾くトレンデレンブルグ徴候が生じやすくなります。その状態で歩けばヨタヨタと不安定な歩き方になり、無理な姿勢から膝関節への負荷が増えてしまいます。変形性膝関節症が進行してしまう要因にもなり得るため、中殿筋を鍛えておいて損はありません。

①横向きに寝転がり、上体は起こして両手を地面に置きます。
②上側の脚を3秒かけて上に上げ、3秒かけて下ろします。
10回行いましょう(※)。
※背中が反ったり、上げた脚の膝が曲がったり、爪先が天井に向いたりしないよう気をつけましょう。

膝が曲げ伸ばしやすくなるトレーニング

太もも裏側にあるハムストリングスという筋肉が伸縮することで、膝の曲げ伸ばしが可能になります。人の動作ほとんどに関係するのが膝の曲げ伸ばしですから、ここが弱ってしまうと、日常生活に支障が出る可能性が高まるということ。しっかり鍛えておきましょう。

段差の上り下りを助けるトレーニング

ふくらはぎの筋肉が弱くなると、足を蹴り出す力が弱くなります。特に困りやすいのが、段差の上り下り。これを改善するには、ふくらはぎの腓腹筋(=下腿三等筋)を鍛えましょう。

【筋力トレーニング】

①手すりやテーブルなどに掴まって直立します。
②反動をつけず、ゆっくりとかかとを挙げていきます。
朝・昼・晩にそれぞれ20回 ほど行いましょう。

【ストレッチ】

①壁や手すりなどに向かって身体を支えながら、足を前後に開きます。
②ゆっくりと後ろの脚の膝を曲げながら、アキレス腱を伸ばします。
③その状態でゆっくりと上体を前に出し、後ろの脚の膝を伸ばします。
④頭からかかとまで、一直線になるように意識しながら、10秒間キープします。
左右それぞれ、 5回ずつ 行いましょう。

筋力トレーニングやストレッチは継続が大事!

変形性膝関節症で膝が痛くなると動いてはいけないと思いがちですが、それはかえって悪循環を生み出す可能性があります。痛みが強ければ無理をしてはいけませんが、できる運動から少しずつはじめてみることをおすすめします。
筋力トレーニングを行う上で一番大切なのは、ご自身にあったトレーニングをすることです。トレーニングを始める前には、病院の医師や理学療法士のアドバイスを受け、自分に合った方法で正しく実践できるようにしましょう。

運動療法は薬物療法と違い、すぐに痛みに対して効果が出るわけではありません。なかなか効果が出なければ、投げやりな気持ちになってしまうかもしれません。焦らず長い目で、変形性膝関節症の進行を遅らせるために頑張っていきましょう
当院では専属のトレーナーによる運動療法のサポートを行っています。治療後のリハビリもしっかりと伴走していく態勢を整えています。質問や不明点があればお気軽にご相談ください。

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