高齢女性の夜間痛と歩行障害を伴う膝関節症に対する再生医療例
更新日:2026.02.24
変形性膝関節症が進行すると、歩行時の痛みだけでなく、
夜間痛や安静時痛を伴い、日常生活に大きな支障を来すことがあります。
本症例は、左膝の痛みを主訴に来院された高齢女性に対し、
人工関節などの外科的治療を行わず、再生医療を含む非手術治療を選択・実施した一例です。
ヒアルロン酸注射による疼痛増悪の既往や、
夜間痛・歩行障害といった症状を踏まえ、
左膝を中心に段階的な治療を行い、長期的な経過を評価しました。
本ページでは、来院時の状態から治療内容、9か月時点までの医師評価を含めた経過を、
客観的な症例解説として紹介します。
患者情報
- 年代・性別・職業
- 高齢女性
- 日常生活
- 配偶者の漁業作業を補助
- 主な症状
- 左膝内側を中心とした疼痛(右膝にも疼痛あり)歩行時痛(特に下り)夜間痛・安静時痛立ち上がり・初動時痛正座・しゃがみ込み動作困難膝関節の腫脹感
- 生活背景
- ご家族(配偶者・娘)と来院
- 既往歴
- 高血圧骨粗鬆症
- 既往手術
- 右膝関節鏡手術胆嚢摘出術
- アレルギー歴
- 外用湿布による皮膚症状
- 初診時の目標
- 初診時は「歩いて買い物に行けるようになりたい(片道10分程度)」という生活上の目標がありました。
※本ページは症例の一例です。※治療の適応・経過には個人差があります。※治療方針は診察結果に基づいて判断されます。
来院時の状態
これまでの経過
左膝の疼痛は長期間にわたり継続しており、
過去にはヒアルロン酸注射を複数回受けたものの、
注射後に疼痛が増悪した経験がありました。
近年、右膝にも疼痛が出現し、
他院で人工膝関節置換術(TKA)を提案されたものの、
周囲の術後経過を見て外科的治療を希望されず、受診されました。
診察・画像所見
- レントゲン所見
- 左膝:変形性膝関節症 KL分類 グレード4
- MRI所見(左膝)
- 内側関節軟骨の消失内側半月板損傷骨棘形成骨髄浮腫(BML)を認める外側半月板は保たれている
これらの所見より、内側型変形性膝関節症と診断されました。
KL分類とは(変形性膝関節症の重症度)
KL分類(Kellgren–Lawrence分類)は、
レントゲン画像を用いて変形性膝関節症の進行度を評価する指標です。
関節裂隙の狭小化や骨棘形成の程度から
0〜4の5段階で評価され、
数値が大きいほど変形が進行している状態を示します。
KL分類は治療方針を考える際の一つの目安であり、
症状やMRI所見、生活背景と合わせて総合的に判断されます。
医師による診断と治療方針の検討
- 診断名
- 内側型変形性膝関節症(左膝:KL4)
- 検討された治療選択肢
- 経過観察ヒアルロン酸関節内注射人工膝関節置換術(TKA)再生医療を含む非手術治療
本症例では、
- ヒアルロン酸注射で疼痛増悪の既往があること
- 夜間痛・安静時痛を伴っていたこと
- 外科的治療を希望されなかったこと
を踏まえ、再生医療を含む非手術治療を検討する方針としました。
実施した治療内容
- 治療名
- PRP-FD療法培養脂肪由来幹細胞治療(ASC)
- 治療方法
- 注射による治療手術・入院は行っていません
- 治療スケジュール
(右膝) - PRP-FD注射:複数回培養幹細胞注入:左膝に実施以降、1か月・3か月・6か月・9か月で経過観察経過に応じて右膝にも段階的に治療を実施
※両治療を組み合わせたコンビネーション治療※治療回数・間隔は、診察および画像所見に基づき医師が判断しています。
治療後の経過
医師評価(最終9か月時点)
- 左膝
- 夜間痛・安静時痛の頻度は減少歩行時疼痛は軽減傾向
- 右膝
- 長時間歩行や初動時に疼痛が残存左膝をかばう動作の影響が考えられる
客観的指標
- 疼痛評価(VAS)
- 初診時と比較し数値の低下を確認
- 歩行機能指標(TUG)
- 経過とともに改善傾向
※数値は本症例における経過観察指標であり、治療効果を保証するものではありません。
費用について(自由診療)
本症例で実施した治療は自由診療です(公的医療保険は適用されません)。
費用
PRP-FD療法:297,000円(税込)培養幹細胞治療(ASC):1,287,000円(税込)
※治療内容・回数・部位・状態により費用は異なります。※診察・検査結果により、治療を行わない場合があります。
主なリスク・副作用
注射部位の疼痛腫れ、内出血一時的な炎症反応感染症(まれ)
※治療に伴うリスクが完全にゼロになることはありません。
医師の総合的見解
本症例では、KL分類グレード4と評価される進行例であっても、
症状、画像所見、生活背景を総合的に評価した結果、
再生医療を含む非手術治療を検討しました。
再生医療は、変形を元に戻す治療ではなく、
関節内環境の調整や症状の進行を緩やかにすることを目的とした治療です。
治療後の経過には個人差があり、
リハビリや日常生活での負荷管理も重要な要素となります。
同様のお悩みをお持ちの方へ
- 夜間痛や安静時痛が続いている
- ヒアルロン酸注射が合わなかった
- 手術以外の治療選択肢を知りたい
このような場合は、まず医師による診察・画像評価を受け、
現在の膝の状態を正確に把握することが重要です。
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