治療したら治りますか?

変形性ひざ関節症とは、ひざ関節で向かい合う大腿骨と脛骨の表面を覆う、軟骨組織のすり減りから始まります。ひざを曲げたり伸ばしたりするときの違和感や何かしたときに痛むといった症状から、慢性的な炎症による強い痛みへと症状が進行していくのが特徴です。関節への負担や衝撃を和らげるクッションのような役割を担う軟骨ですから、ダメージが大きくなると痛みだけでなく骨の損傷や関節の変形にまで至り、歩行すら難しくなってしまいます。

変形性膝関節症の病態イラスト

治療したら完治するのかという点については、残念ながら軟骨を元通りにする方法は確立されていません。ただ、治療することで痛みを緩和もしくは解消させたり、軟骨がすり減っていくスピードを遅らせる効果が期待できます。変形性ひざ関節症の治療では、この”いかに進行させないか”という点が重要なポイントとなります。

予防することはできますか?

変形性膝関節症の原因

例えばインフルエンザの場合は、ワクチンを打ったり手洗いうがいを徹底するなど、原因であるウイルスを体内に侵入させないようにすることで予防を図ることができるでしょう。ですが、変形性ひざ関節症の原因はひとつではありません。加齢による衰えが影響していること、その他にも肥満や筋力の低下、スポーツ歴、仕事内容などのひざへの負担となる要素もいろいろ関係します。さらには、性別や遺伝子といった対処しようのない要素も危険因子として考えられるのです。
そのため「これさえやれば予防できる」という方法はないのですが、ひざを大切にケアしてあげることは変形性ひざ関節症の発症や進行を遅らせることにつながります。

ひざへの負担を減らすことが大切です

なかでも有効とされているのが、適度な運動です。筋力を維持することでひざへの負担を軽減できますし、減量にもつながります。ただ、激しいスポーツよりもウォーキングや自転車、水泳などのひざへの負荷が少ないものがおすすめです。すでに痛みを感じている方は無理をせず、ひざ関節への影響力の大きい大腿四頭筋(太もも前側の筋肉)にフォーカスしてトレーニングすると良いでしょう。

変形性膝関節症の予防体操

どんな治療を行いますか?

変形性ひざ関節症の治療法としては、保存療法と呼ばれるメスを使わない方法と、膝を切開する手術療法の2つがあります。ひざの痛みだからといって同じ治療法で改善するかというとそうではありません。患者さまによってベストな治療法は異なり、医師もその都度、何が最善かを深く考えます。

初期なら運動療法×薬物療法が有効です

まずはひざの痛みをコントロールするため、鎮痛薬やヒアルロン酸注射を試みます。ただ、変形性ひざ関節症の治療という意味で言えば、進行を遅らせるためのアクションが必要となります。
変形性ひざ関節症の治療ガイドラインで高く推奨されているのが、ひざへの負担を少なくするための生活改善と運動療法です[1]。当院でも患者さまの身体のクセを考慮したリハビリ法をアドバイスしたり、家でできるよう資料をお渡ししていますが、熱心な方ほど良い結果につながっています。
薬の処方やヒアルロン酸注射は、運動に取り組みやすくするために行うのだとお考えください。同じ目的で、サポーターや杖、足底板などの装具の処方や使用をおすすめする場合があります。

変形性膝関節症の保存療法の説明

手術は人工関節だけではありません

保存療法を6ヵ月以上続けても効果が得られない方や、痛みで日常生活への支障が大きい方は、手術を勧められることが多いでしょう。
変形性ひざ関節症の場合、人工関節置換術が代表的です。損傷した範囲を削って整え、金属とポリエチレンでつくられた関節器具を取り付けます。この手術では、介助なしで歩行できなかった患者さまが一人で歩けるようになるなど、大幅な改善が期待できます。一方で、ひざを15cmほど切開することもあり、身体への負担は多大です。近年、手技やシステムも進歩していますが、最終的な治療法という位置づけは変わりません。
ただ、手術療法=人工関節ではありません。ひざの状態や患者さまの年齢、生活習慣などを加味して、関節を温存できる関節鏡視下手術や高位脛骨骨切り術などを行うこともあります。

変形性膝関節症の手術方法のイラスト

手術以外に検討できる治療法はありますか?

ひざの手術をたくさん担当してきましたが、もし自分が受けるとなると、想像だけで身がすくみます。だから他の方法をお探しの方のお気持ちもよく分かります。実は近年、再生医療をはじめとする先進的な治療法が複数の医療機関で取り扱われるようになり、治療の選択肢の幅が広がっているのです。
自由診療にはなりますが、手術にどうしても踏み切れないという方はまず効果が見込めるかどうか、ひざの詳しい診断を受けてから検討してみるというのもひとつの手段かと考えます。

ひざを切らず入院もしない方法です

膝の再生医療のメリット

広がりを見せているのが、自分の血液や脂肪に含まれている組織の修復に働く成分を活用する方法です。これらの治療では有効な細胞や物質を、注射でひざ関節内に投与することができます。つまり、従来の手術療法のようにひざにメスを入れることはありません。入院の必要もありませんし、普段の生活を続けられる点が、手術に踏み切れない方には大きなメリットかと考えます。

変形性ひざ関節症の進行を遅らせられます

変形性ひざ関節症の痛みや関節機能の改善という面でも、薬物療法と比べて長期的でより多くの利益が示されたという研究内容が報告されています[2][3]。もちろん、ひざの状態によって効果の度合いは変動します。ただ、薬やヒアルロン酸注射が効かない痛みにも有効な治療があるということは、それだけ関節の変形の進行を遅らせることにつながり、人工関節にしないで一生を過ごせるかもしれない確率も高まるのです。

再生医療の有無で生じる膝治療の違いの説明

当院で扱っている治療法

東京ひざ関節症クリニックで採用しているのも、血液と脂肪を活用する治療法です。

治療方針はどのように決めるのですか?

どんな治療法が良いか考えるには、まず関節内の状態を把握する必要があります。そのために多くの整形外科で行われるのが、レントゲン検査です。進行度の診断もレントゲン画像から骨の状態や関節の隙間の大小を見て行います。ですがレントゲンでは軟骨や半月板、骨の中の状態、ひざの水たまりなど、痛みの原因に関することは調べられません。そういった情報が必要なケースでは、MRI検査が行われます。

変形性膝関節症のレントゲンとMRI写真

これら検査から得る情報はとても参考になりますが、患者さま一人ひとりにとって何が適切かを考えるには、お困りなことやご希望など、総合的に判断することになります。
当院では、MRIからわかった詳しいひざの状態を患者さまにもご説明しつつ、治療による改善の見込みやどんなリスクが考えられるかなどもお話しながら、一緒に納得できる治療法を考えております。

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