膝を曲げた時の突然の痛み! 6つの原因と対処法 & ストレッチを解説

公開日:2022.08.08
更新日:

時々訪れる、膝の突然の痛みにお困りではありませんか?日常生活を送る上で欠かせない、膝の曲げ伸ばしの動作。痛みは、この当たり前の動作を妨げるものであり、当事者にとっては大きな苦痛です。ここでは、「曲げた時の突然の痛い」を一刻も早く解決するための、自宅でできる対処法、原因として考えられる疾患とその治療法。さらに、治療の際にぜひおすすめしたい検査についてご紹介します。

情報提供医師

武藤 真隆 医師

武藤 真隆 医師(名古屋ひざ関節症クリニック 院長)

日本整形外科学会認定 専門医

膝を曲げた時の痛み。自宅でケアするには?

1日に何度も繰り返す膝の曲げ伸ばし。痛みを感じたらすぐにでも治したいところです。とはいえ、いつでもすぐに受診できるとは限りません。そんな時、取り急ぎ自宅で行うことができる対処法をご紹介します。

安静にする

休息・安静のイメージ

痛みを感じた際にまず心がけてほしいのは、無理に動かさないこと。膝の使いずぎが原因であることも少なくないので、安静を心がけてください。
とはいえ、日常生活動作は通常通りで構いません。スポーツや散歩などは控えてほしいという意味です。

冷やす

痛めた膝を冷やすイメージ

腫れて熱感が感じられる場合はよく冷やしてください。濡らしたタオルや氷枕などを利用されると良いです(腫れが引いた後も冷やし続けるのは逆効果なので、ご注意ください)。

温める

膝を温めるイメージ

腫れや熱感が取れたら、温めてください。お風呂の湯船に浸かって、無理のない範囲でゆっくり膝を曲げ伸ばしされると良いでしょう。血行やリンパの流れを改善することで、痛みの緩和が期待できます。
タイミングとしては、当初の熱感が取れた後、少し時間をおいてから温めると良いでしょう。ただし、温め過ぎにはご注意ください(症状が悪化することがあります)。

ストレッチ

膝を曲げる時に痛むのは、太ももとスネの接合部分の摩擦が大きくなっていることが原因の一つと考えられます。摩擦が大きくなるのは、太ももとスネの間の隙間が狭い状態の時です。逆に、太ももとスネの隙間が広がれば摩擦が小さくなり、痛みも緩和します。
この隙間を広くするのに、太ももの筋肉を柔らかくストレッチは有効です。

正常な膝関節と痛みを感じる膝関節の比較

以下で効果的なストレッチをご紹介します。

<太ももの前面を伸ばすストレッチ>

太ももの前面を伸ばすストレッチ

安定した椅子などにつかまりながら膝を曲げ、太ももの全面を伸ばします。太ももの筋肉が突っ張って「痛気持ち良い」ぐらいの状態でキープします。この時、背中が丸くならないよう意識してください。

<太ももの裏側を伸ばすストレッチ>

太ももの裏側を伸ばすストレッチ

椅子の上に足を乗せ、上体を倒します。太ももの後ろ側が突っ張って「痛気持ち良い」と感じられたらそこでキープします。上体を倒した時、膝は曲げないように注意してください。

<余裕がある方に行っていただきたいストレッチ>

余裕がある方に行っていただきたいストレッチ

余裕のある方は、さらに太ももの前面の筋肉をほぐしていきましょう。痛みのある膝を椅子の上に乗せ、足首をつかんだ状態で、反対側の足の膝をゆっくり曲げていきます。その際、上体はまっすぐ起こすように意識してください。ももの前面が「痛気持ち良く」なったところでキープします。

膝を曲げると痛いのはなぜ? その原因と治療法

在宅ケアで十分に改善しない場合は、専門的な治療を要する何らかの疾患かもしれません。
膝の曲げ伸ばしで痛みを感じる原因として、よく見られる代表的な疾患をご紹介します。
当てはまるならもちろん、当てはまらない場合も、いつまでも痛みが長引くようなら早めに医療機関を受診してください。

中高年世代は「変形性膝関節症」の可能性あり

・これといった原因もなく痛み始めた
・年齢が40歳を過ぎている
・女性である
・肥満体型である
・O脚である
・若い頃に膝のケガをしたことがある

もしこれらに当てはまるようなら、
変形性膝関節症
の可能性があります。
変形性膝関節症は、太ももとスネの骨の接合面にある軟骨のすり減りに端を発し、そこから徐々に進行して行きます。
軟骨がすり減ると、膝の動かしにくさと慢性的な痛みを感じるようになり、やがて骨の変形をきたすようになります。

<原因>
加齢や肥満体型などが原因ですり減った軟骨のかけらが、膝を覆う膜(滑膜)を刺激することで炎症が起こり、痛みが生じます。
一方、骨の変形は、軟骨がなくなってむき出しになった骨同士が直にこすれ合うことで生じます。

通常の膝と変形性膝関節症が進行した膝関節

<治療の進め方>
進行性の疾患なので、完治を目指すというより、膝にかかる負担をなるべく減らし、進行を少しでも遅らせるための治療や対処が重要になります。
治療の基本は、筋肉トレーニングや有酸素運動などの運動療法です。
そのほかの治療法としては、初期には薬物療法やヒアルロン酸注射などの保存的な治療を。重症になると手術を検討することになります。
また最近では、手術が受けられない方、受けたくない方のための新しい選択肢として、再生医療も行われつつあります。
当院での診察をご希望の方は、下記よりお問い合わせください。
はじめてのご来院予約

運動後にも生じる可能性がある「半月板損傷」

・腫れ
・クリック音(パキパキ音がする)
・引っかかり感
・正座やあぐらが困難
・ひざをまっすぐ伸ばせない
・ひざくずれ(カクンとなる)

痛みの他に、上記のような症状がある場合は半月板損傷を疑います。
半月板は、膝の内側と外側に各1対存在して、太ももの骨とスネの骨の接触面にかかる衝撃を和らげるクッションのような役割を果たしています。これがなんらかの理由で損傷を受けた状態が半月板損傷です。

<原因>
加齢による膝へのダメージのほか、スポーツ中の怪我なども原因として挙げられます。いずれも膝をひねるような横の動きがきっかけになることが多いようです。

縦断裂 横断裂 水平断裂 変性断裂
損傷の状態 半月板が縦に断裂 半月板が横に断裂 半月板の表面が
めくれるように
損傷
半月板がバサバサと
ささくれるように損傷
原因 ケガなどの外傷性の要因 ケガなどの外傷性の要因 ケガなどの外傷性の要因 加齢の影響
断面図 縦断裂 横断裂 水平断裂 変性断裂

スクロールできます

 

<治療の進め方>
軽症には膝に負担をかけない目的の保存療法や運動療法(リハビリ)を行います。損傷した半月板を元どおり再生するのは難しいですが、最近では、ある程度損傷の回復が期待できる再生医療なども選択肢としては有力で、アスリートにも注目されています。
重症の場合には手術を選択することもあります。

膝の内側の痛みは「鵞足炎」に要注意

鵞足炎

・膝の曲げ伸ばしで内側(の少し下)が痛む
・膝に腫れや熱感が見られる
・ランニングをよく行う
・運動前の準備運動が不十分
・すでに変形性膝関節症と診断されている

膝の内側が痛み、かつこれらが当てはまる場合は鵞足炎かもしれません。
「鵞足(がそく)」は脛骨というスネの骨の内側に位置し、ひざの曲げ伸ばしに関係する複数の筋肉が付着している部位です。ちょうど鵞鳥(がちょう)の足のような形をしているので、その名前がつきました。この部位で起こる炎症が鵞足炎です。鵞足を形成する筋や靭帯が骨と擦れることで生じます。

<原因>
準備運動不足や無理なフォームでのプレー、運動不足の解消のため急に運動を始めるなど、前準備なしに行う急な動きや体にとって無理な動きが原因となります。

<治療の進め方>
運動によるひざの使い過ぎが原因なので、まずはひざを安静にし、定期的にアイシングを行いながら、薬物療法や理学療法を行いきます。
変形性膝関節症の合併症として生じた場合は、変形性膝関節症の治療を行います。

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膝の外側の痛みは「ランナー膝(腸脛靭帯炎)」を警戒

・トラック競技などの走るスポーツをしている
・ジョギングを趣味(日課)にしている
・重量物を運搬する仕事をしている

このような方で、かつ曲げ伸ばしの際に膝の外側が痛むという場合は腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)である可能性があります。長距離ランナーによく見られるので「ランナー膝」とも呼ばれます。

<原因>
ランニングなどの無理な運動やトレーニング(オーバーユーズ)が原因となり、膝の曲げ伸ばしの際、外側にある腸脛靭帯が骨に擦れて炎症が生じることで痛みを感じます。

ランナー膝(腸脛靭帯炎)

<治療の進め方>
ほとんどの場合、原因は膝の使いすぎ(オーバーユース)です。よってまずは膝を休ませることを第一とし、必要に応じて痛み止めの薬剤を服用します。ほとんどの場合は手術の対象とはなりませんが、繰り返し再発する場合には腸脛靭帯の部分切除や延長術、もしくは引っかかる部分の骨や軟部組織の切除も検討します。

膝の皿の周辺の痛みは「ジャンパー膝(膝蓋腱炎)」を考慮

・膝のすぐ上、またはすぐ下を押すと痛みを感じる
・ 痛みの他に、腫れ、患部の熱っぽさなどが見られる
・ジャンプ動作のあるスポーツに取り組んでいる
・最近、長らくやっていないジョギングを再開した

こうしたことが当てはまる場合、ジャンパー膝(膝蓋腱炎)の可能性があります。
ジャンパー膝は膝の皿のすぐ下にある膝蓋腱が損傷を受けた状態です。膝蓋腱とは、膝立ちの状態になった時、地面に強く接触しているあたりとお考えください。ジャンプやランニング、階段昇降といった動作時に痛みを感じます。

<原因>
原因は、ジャンプと着地を頻繁に繰り返すこと。つまりオーバーユースです。ジャンプ動作によって膝蓋腱が引っ張られますが、これを頻繁に繰り返すうち、膝蓋腱に少しずつ損傷が見られるようになります。その傷を治すために血管が増えるのですが、通常は傷が治れば自然に血管も消滅します。
ところが、損傷が頻繁に起こると血管は増え続け、それと共に神経線維も増えます。これが痛みの原因です。

<治療の進め方>
痛みの原因は膝の使いすぎなので、まずは安静にして膝を休ませることが重要です。その上で、再発防止のためのストレッチや筋トレを行います。医療機関では、痛みを緩和させる超音波治療が受けられます。

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そのほかに考えられる原因疾患(リウマチ/骨腫瘍/痛風)

膝の曲げ伸ばしに伴って痛みを生じるそのほかの疾患としては、以下のものが考えられます。
これらはいずれも外科的な治療以外の、より専門的な対応が必要になります。痛みの原因がよくわからない場合はこれらも考慮し、まずは速やかに整形外科を受診してください。

<関節リウマチ>
免疫の異常によって関節で炎症が起き、腫れや激しい痛みが生じる疾患です。症状が進行すると軟骨や骨が破壊され、関節が変形してしまいます。関節を曲げ伸ばしして動かすと、痛みが強くなります。両膝同時に症状が出たり、膝以外の全身の関節にも痛みが生じるのが特徴です。

<骨腫瘍>
骨に生じる腫瘍で、ひざを動かすときに痛みが生じます。良性腫瘍と悪性腫瘍があり、大半の場合は良性です。悪性の場合は転移する恐れがあるため、早急な治療が必要になります。

<痛風>
体内で尿酸が過剰になることで関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こす疾患です。プリン体が多く含まれるビールなどのアルコール飲料の摂り過ぎが、原因としてよく知られています。

膝の突然の痛み。治療の際にはMRIで原因の特定を

MRI検査の結果説明をするドクター

膝は骨、軟骨、靭帯、半月板、筋肉などさまざまな器官で構成されていて、それぞれがきちんと機能することではじめて、スムーズで無理のない曲げ伸ばしが可能になります。
痛みを治療する際は、まず、これらのどこが不具合を起こしているを特定することが重要です。
そのため、当院では初診時にMRI検査を受けていただくようおすすめしています。

・現在の治療に満足できていない
・自分にあった治療法を探している
・セカンドオピニオンを考えている

このようなご要望がある場合は、ぜひ当院のMRIひざ即日診断をご検討ください。
検査に基づき、専門医が最適な治療をご提案いたします。

はじめてのご来院

コラムのポイント

  • 膝を曲げた時の突然の痛みには、アイシングや温め、ストレッチ等で対処
  • セルフケアで改善しなければ早めに医療機関を受診
  • 痛みの原因の特定には、MRI検査がおすすめ

よくある質問

スポーツをやっている20代です。最近膝を曲げると痛みがあります。特にケガはしていないのですが、どんな原因が考えられますか?

スポーツをされているとのことなので、膝の使い過ぎが原因として考えられます。スポーツをしている人に多い、膝の疾患をご紹介しましょう。

■膝を曲げると内側が痛む→鵞足(がそく)炎
膝の内側が痛む場合は、鵞足炎の可能性があります。準備運動をせずに急な動き、無理な動きをすることが原因で炎症を起こします。

■膝を曲げると外側が痛む→腸脛靭帯炎(ランナー膝)
膝の外側が痛む場合は、腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)炎の可能性があります。トラック競技など、走るスポーツをしている人に多い疾患です。ランニングのし過ぎなどが原因となります。

膝を曲げるとお皿のあたりが痛む→膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
膝のお皿のあたりが痛む場合は、膝蓋腱(しつがいけん)炎の可能性があります。バスケットボールやバレーボールなど、ジャンプ動作のあるスポーツをしている人に多く、着地を頻繁に繰り返すことで炎症が起こり、痛みが生じます。

これらは膝の使い過ぎが原因のため、まずは運動を中止し、膝を休ませましょう。ただし、ここに挙げた疾患は、あくまで可能性として考えられる、というものです。他の疾患が原因となっている場合もあるので、まずは一度クリニックで検査し、原因を特定することをおすすめします。

しゃがむと膝の上が痛むのはなぜでしょう?どう対策すべきですか?

まずはマッサージやストレッチを試してください。
しゃがんだ時は、大腿四頭筋の筋肉が伸び切った状態です。この時に痛みを感じる場合、筋肉が凝り固まっていて、十分に伸びにくい状態と考えられます。
このような状態の時は、太ももの全面や内側(内側広筋)をマッサージして、筋肉をほぐしてみてください。それでもしゃがむのが辛ければ、早めに医療機関を受診いただければと思います。変形性膝関節症ですでに治療中という方は、当院の無料相談にお電話ください。

人工関節以外の新たな選択肢
「再生医療」

変形性膝関節症の方、慢性的なひざの
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