膝の腫れたらどうすべき? 考えられる病気と原因別対処法

公開日:2022.07.11
更新日:

様々なことが引き金となり得る❝膝の腫れ❞。「膝が腫れているけど原因不明。どう対処したら良いのかも分からない」そんな方はこの記事が参考になるはずです。今回はそんなお悩みをお持ちの方へ、腫れを引き起こす病気や原因を詳しく解説します。また、自分でもできる対処法も併せて紹介しているので、病院を受診するまでの応急処置としてお役立てください。

情報提供医師

山川 美穂 医師

山川 美穂 医師(仙台ひざ関節症クリニック 院長)

日本整形外科学会認定 専門医

膝の腫れを引き起こす「炎症」その主な原因は?

膝が腫れている場合、関節内で炎症が起きている可能性があります。その炎症を引き起こす原因として、以下のような病気や外的な要因が考えられます。

変形性膝関節症

変形性膝関節症とは、太ももの骨とすねの骨の表面を覆っている軟骨がすり減り、様々な症状を引き起こす疾患です。軟骨は関節の動きを滑らかにさせ、膝に加わる衝撃を吸収する、クッションのような役割を担っています。この軟骨が加齢や外傷が原因ですり減ることで、骨と骨とが直接ぶつかりあうように。そうしてすり減った軟骨や骨が滑膜を刺激することで、炎症を引き起こします。炎症を起こした膝関節は、熱を伴って膝が腫れたり、放置した痛みが徐々に強く感じられるようになります。
進行性の関節疾患で、末期には関節が変形し歩行が困難になることもあるため、早期治療が必要です。

変形性膝関節症の病態と症状

関節リウマチ

自己免疫疾患である関節リウマチという病気も、膝の腫れを引き起こす病気のひとつです。人間の身体には、悪い細菌やウイルスを退治する役割を持つ免疫細胞が存在します。この免疫細胞が異常をきたし、自分自身の細胞や関節を攻撃してしまうのが関節リウマチ。30〜50代の発症が多く、膝関節だけでなく全身の関節で炎症が生じ、腫れや熱感、痛みや倦怠感を伴います。
動きはじめに関節がこわばって思うように動かせない、立ち上がるのに時間がかかるなどの症状がある方は関節リウマチの疑いがあります。

正常な膝関節と関節リウマチの比較

痛風

痛風と聞くと、足の指の痛みをイメージされるかもしれませんが、実は膝に腫れや痛みをもたらすこともあります。痛風とは体内にある尿酸(プリン体が分解された際に出る物質)が過剰になると起こる病気です。過剰な尿酸は血液中のナトリウムと結合して結晶を作り、関節内にたまります。この結晶は身体にとって異物であるため、外敵駆除担当の白血球が集まって炎症性の物質を出します。これが関節に腫れや痛みが生じる原因。主に男性に多い病気で、歩けないほど激しい痛みに襲われますが、1~2週間ほどで回復します。

痛風が起きる仕組み

偽痛風

❝偽❞痛風というくらいですから、前段でご紹介した痛風とは全くの別物です。痛風は尿酸が過剰に分泌されることで発症しますが、偽痛風はピロリン酸カルシウムの結晶の蓄積が原因で起こる病気です。膝が赤く腫れあがり、関節全体が熱を帯びるようになります。この他、強い痛みや倦怠感、発熱をともなうこともあります。高齢者がかかりやすい病気とされており、65〜75歳では10〜15%、80歳以上になると30〜50%まで発症率があがるという報告があります[1]

半月板や靭帯の損傷

半月板と軟骨の位置

半月板は膝関節にある軟骨で、膝の衝撃を吸収するクッションの役割を担っています。スポーツの際に膝をひねったり、交通事故での大きな衝撃が原因となるケースが多いのが特徴です。また、半月板は加齢とともに変性を起こすため、膝関節にかかる負担の蓄積や些細なケガで損傷することもあります。
また、靭帯損傷も腫れの原因になることがあります。膝は、内側側副靭帯、外側側副靭帯、前十字靭帯、後十字靭帯と4つの靭帯に支えられています。これらの靭帯は半月板損傷と同様、スポーツ外傷や交通事故で強い衝撃が加わることで損傷することが多く、場合によっては同時に複数の靭帯を損傷するケースもあります。靭帯を損傷すると膝関節が炎症を起こし、腫れや激しい痛みを引き起こします。

打撲(強打)

膝の内側、外側または膝の下が打撲しやすい箇所です。膝を強く打ちつけることにより、痛みに腫れが伴います。これは膝の内部で出血が起きてしまうため。初めは患部が赤くなる程度ですが、徐々に青や紫に変化したり熱を持ったりすることもあります。
打撲後、強打した部分のみ腫れるという特徴がありますが、膝全体が大きく腫れている場合は膝蓋骨骨折(膝のお皿の骨折)や大腿骨、脛骨の骨折の可能性も考えられます。

膝裏のリンパが詰まっている

膝裏のリンパ節

膝の裏が膨らむように腫れているなら、リンパが詰まっている可能性があります。膝にはリンパ節という器官があり、体内の老廃物や水分を排出するため常に循環しています。このリンパ節は冷えやストレス、運動不足によって循環不良になり、詰まってしまうことがあります。
リンパが詰まって腫れても、膝を動かす際のしびれや違和感のみで、痛みは生じないケースもありますが、これが膝裏であれば、必然的に関節の可動域は狭くなります。パンパンになってしまうと、膝を曲げにくくなるため、リンパ節が詰まっていないか、膝の裏を確認してみましょう。

膝裏が痛い時の原因と対処法は下記コラムでもご紹介しています。
ひざの裏が痛くなるのはなぜ? 医師が教える原因と対処法

膝に水がたまっている

膝に水がたまると、痛みや動かしづらさに加え、炎症が強い場合には膝が腫れて熱を持つこともあります。
太ももの骨とすねの骨を繋げている膝関節は、関節包(かんせつほう)という組織に包まれています。そしてその関節包は、膝関節をスムーズに動かす潤滑油でもある関節滑液(かんせつかつえき)で満たされています。
基本的に、関節滑液は常に一定量ですが、関節滑液を作り出す滑膜という組織に炎症が生じると、正常な働きを失ってしまうことがあります。そうして関節滑液を過剰に分泌してしまうことで、膝関節にたまってしまいます。これが、膝にたまる「水」の正体。膝裏や膝上(お皿の上)にはある程度のスペースが存在するため、この位置に水がたまるケースがよくみられます。
水がたまった状態を放置しておくと、炎症性のサイトカインが増加し、炎症が慢性化するという悪循環に陥ってしまいます。

膝に水がたまる仕組み

ばい菌が入る(化膿性関節炎)

膝にばい菌(黄色ブドウ球菌など)が入り込んでしまうと、炎症が起こりやすくなります。炎症が起きた膝関節は、化膿して腫れてしまいます(化膿性関節炎)。さらに状態が悪化すると、軟骨(膝関節のクッションの役割を持つ組織)や骨自体を破壊する恐れがあります。この場合、広範囲に腫れが起きているため、強い痛みや熱感といった症状がみられます。

【膝関節にばい菌が入ってしまうのはなぜ?】
けがや虫歯、注射などが原因となることがあります。これは、膝をけがした際の傷口からの感染、膝関節へ注射を行った際の刺し傷からの感染、虫歯菌が血管に入り膝まで運ばれてしまう血行性感染といったものが考えられます。
また、人工膝関節置換術や前十字靭帯再建といった膝の手術後、細菌が体内に入り込んで感染するケースもあります。仮に人工関節が感染してしまった場合、それを取り除いて患部を洗浄しなければなりません。

【原因別】膝が腫れたときの対処法

膝の腫れの緩和に効果的な対処法を紹介します。原因別で処置は異なるため、ご自身に合った方法を選んで行いましょう。

変形性膝関節症や半月板損傷の疑いがある場合

症状を改善させるには医療機関での治療が必要になります。症状の進行状態に応じて、保存療法や手術療法など治療法は様々です。当院でも膝の痛みの緩和と、症状の進行を遅らせる効果が期待できる再生医療を提供しています。初期段階で治療を始めることで、症状の緩和や進行を遅らせることが期待できます。進行すると人工関節置換術など大きな手術が必要になる場合もあるため、早めに医療機関への受診することをおすすめします。
変形性膝関節症や半月板損傷について詳しく知りたい方は下記のコラムも合わせてご覧ください。

▷朝起きると膝が痛い、それ変形性膝関節症かもしれません| 整形外科専門医コラム
▷半月板損傷は自然治癒しない?有効な治療法を専門医が解説

変形性膝関節症の進行と治療法

痛風の場合

膝が腫れているからと冷やしてしまう方がいらっしゃいますが、これは逆効果。痛風の場合、膝を冷やしてしまうと、発作の原因である尿酸結晶が融解しにくくなってしまいます。そのため、温めることが効果的です。痛風は早期に治療すれば、短期間で症状が解消されることの多い疾患です。腫れの他にも強い痛みを伴うため、早めに医療機関へ受診しましょう。

打撲した場合

打撲による腫れの応急処置は、それぞれ英語にした際の頭文字をとって、RICE(ライス)と呼ばれています。

・安静にする(Rest)…… 横になるなど、無理に膝を動かさないようにしましょう。
・冷やす(Icing)…… 打撲直後、すぐに冷やすことで腫れや痛みを抑えることができます。しかし、急激に冷やすと、皮膚がダメージを受けてしまうこともあるので注意しましょう。袋に氷と少量の水を入れタオルで包み、患部に優しく当てて下さい。
・固定する(Compression)…… 腫れを悪化させないために、膝を固定するのも効果的です。膝関節に当て木をして包帯で固定しましょう。膝の動きを制限して、腫れの悪化や痛みを抑えてくれます。
・高くあげる(Elevation)…… 膝を心臓より高い位置に上げましょう。患部に血液が流れ込まないようにすることで、腫れの悪化を抑えます。

打撲時の応急処置RICE(ライス)

リンパが詰まっている場合

膝裏のマッサージ

リンパの詰まりには、次の対処法が効果的です。対処法を行う場合に注意すべきは、決して強い力で行わないこと。優しく、ゆっくりと無理のない範囲で行いましょう。

・温める …… 膝裏の腫れは、慢性的な血行不良が原因であることも少なくありません。その場合、患部を温めることで血行が良くなり、痛みや腫れの改善が期待できます。
・マッサージ …… 膝裏のリンパをマッサージすることで、滞っていた老廃物を押し流すことができます。膝裏を両手の親指で軽く押さえ、上に押し上げるように動かしましょう。1回につき、5秒くらいかけてゆっくり行ってください。リンパの流れが良くなり、腫れの改善が期待できます。

膝に水がたまっている場合

膝に水がたまったときの対処法は次の3つです。ただし、これらは応急処置に過ぎません。膝に水がたまっている場合、症状を改善させるためには薬や手術での治療が必要なケースがほとんど。必ず医療機関でも診てもらうようにしてください。

・アイシング …… 水たまりの原因は膝の炎症。炎症を抑えるには冷やすのが有効です。
・サポーター …… 炎症を抑えるためにサポーターを着けるのも効果的です。膝関節を固定することで、膝にかかる負担を減らすことができます。しかし、痛みが強いときは無理な固定は禁物。関節内で強い炎症が起こっていれば悪化する可能性があるため、痛みが少ない場合にのみ行ってください。
・マッサージ …… リンパの腫れと同様、血液の循環が良くなり、腫れの軽減が期待できます。効果的なのは、太ももを優しく揉むようにするマッサージ。強く押し込むのは悪化の原因になるので注意が必要です。

膝に水がたまる症状でお困りの方は下記コラムも参考にご覧ください。
▷膝に水が溜まったらすぐ対処しましょう! 専門医が理由を解説

膝にばい菌が入った場合

ばい菌が入ったということは、膝関節内部が炎症を起こしているため、まずは冷やすなどの応急処置を行いましょう。ただ、この化膿性関節炎は治療が遅れてしまうと関節の変形や動きに障害が残ってしまう可能性があります。症状に心当たりがあれば、早急に医療機関を受診してください。

原因を特定するならMRI検査

MRIは骨以外の組織を映し出すため、触診では気づきにくい少量の水たまりや、骨以外も含めた関節組織全体の損傷具合を把握することができます。特に変形性膝関節症は、進行度によって治療法が異なることがあるため、腫れの原因を正しく把握し、適切な治療を行うための重要なアシストとなります。

MRI画像➀膝の水たまり(関節水腫)

MRIは様々な角度からスライスして確認することができます。右は膝を横から見たMRI画像。左は膝蓋骨の位置で輪切りにした角度の画像です。前側の膝の上部で白く映し出されているのが膝に水がたまっている様子です。たまっている水が少量の場合、触診ではわからないことがありますが、MRIであれば様々な角度から膝の状態を正確に把握することが可能です。

MRI画像でわかる膝に水がたまった様子

MRI画像②半月板断裂

大腿骨と脛骨の間にある三角形の部分が半月板です。外側の半月板のように濁りのない黒い三角形であれば正常ですが、内側は薄く濁っているのが確認できます。このようにあらゆる角度から膝の内部の様子を観察し、半月板断裂と診断されました。

MRIでわかる半月板断裂

当院では、検査から診断までスムーズに受けられるMRIひざ診断をご用意しています。ご興味がある方は以下のリンク、もしくはお電話よりお気軽にお問い合わせください。
MRIひざ診断

膝が腫れたら放置NG! 早めに医療機関へ受診を

膝の腫れには様々な原因があり、症状や対処法も異なります。膝に腫れが起きているのは、何かしらの異常を示しているサインである可能性が高いため、なかなか腫れが引かない場合は早期の段階で医療機関へ受診するのが望ましいでしょう。
また、たとえ腫れが引いても強い痛みや、日常生活に支障をきたす症状を伴う場合には、早めに医師に相談することをおすすめします。
ひざ関節症クリニックでは、変形性膝関節症をはじめとする膝痛治療の専門クリニックです。なかなか引かない膝の腫れ・痛みでお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

はじめてのご来院

コラムのポイント

  • 膝が腫れる原因は変形性膝関節症や半月板損傷、痛風などさまざま。
  • 症状によって、アイシングやマッサージなどの応急処置が有効
  • 腫れが引かない場合は放置せず、早めに医師に相談を

よくある質問

膝のお皿の上が腫れて痛みがあります。どんな病気が考えられますか?

膝のお皿が関係する膝蓋大腿関節症や膝蓋上滑液包炎、または変形性膝関節症の疑いがあります。
膝蓋大腿関節(しつがいだいたいかんせつ)とは、膝のお皿と呼ばれる膝蓋骨と太ももの骨である大腿骨からなる関節です。膝蓋上滑液包はその膝蓋骨の周辺にある袋状の組織です。膝蓋大腿関節症や膝蓋上滑液包炎は、スポーツ時の衝撃や、加齢で膝の負担が蓄積し、骨が変形することで炎症が起こる病気です。
また、腫れや痛みの症状であれば変形性膝関節症も考えられます。骨同士がぶつかり合って炎症を起こしている可能性があります。
放置していると症状が悪化してしまう場合もあります。まずはなるべく安静にして、早めにお近くの医療機関への受診することをおすすめします。

膝の辺りがブヨブヨしています。原因は何ですか?

膝周辺がブヨブヨして腫れている場合、膝に水がたまっているもしくは、変形性膝関節症、関節リウマチや痛風、偽痛風の疑いがあります。
この他にも転倒などで膝に強い衝撃が加わったり、捻ったときに発症することがあります。

症状が同じでも膝の状態を見てみないことには、原因を特定できないため、まずは医療機関で見てもらうとよいでしょう。膝の痛みの原因を正確に把握したい方には、MRI検査がおすすめです。触診やレントゲンでは気づきにくい膝の腫れの原因をしっかり把握することができます。
当院でも「MRI即日診断」をご用意しておりますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。

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