膝の痛みの原因はさまざまで、スポーツや仕事による負担、加齢による軟骨のすり減り、ケガ、さらには他の疾患が関係している場合もあります。特に、膝が急に痛いと感じた場合は、原因が分からず不安に感じる方も多いでしょう。「このまま様子を見ていいのか」「病院を受診すべきか」と迷うケースも少なくありません。
本記事では、膝が急に痛い原因として考えられる主な疾患について、症状の特徴やなりやすい人の傾向、注意すべきポイントを整形外科の観点から解説します。また、各疾患ごとに症状チェックも紹介しています。
複数当てはまる場合は、該当する疾患の可能性があるため、早めの受診を検討しましょう。

目次
- 膝が急に痛む原因は?応急処置と受診の目安
- まずやること(当日〜48時間)
- すぐ受診したい症状
- どの動き・どこが痛いかで原因が絞れる
- 【膝を動かし始めると痛い】変形性膝関節症
- 症状チェック
- こんな人は要注意!
- 【膝の曲げ伸ばしが痛い】半月板損傷
- 症状チェック
- こんな人・シチュエーションは要注意!
- 【膝の関節が安定せず痛い】 靭帯損傷
- 症状チェック
- こんな人・シチュエーションは要注意!
- 【膝の内側が痛い】鵞足炎
- 症状チェック
- こんな人は要注意!
- 【膝の外側が痛い】腸脛靭帯炎(ランナー膝)
- 症状チェック
- こんな人は要注意!
- 【膝の前面が痛い】膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
- 症状チェック
- こんな人は要注意!
- 【膝の裏が痛い】ベーカー嚢腫
- 症状チェック
- こんな人は要注意!
- 【膝以外の関節も痛い】 関節リウマチ
- 症状チェック
- こんな人は要注意!
- 【膝が急に腫れて痛い】痛風
- 症状チェック
- こんな人は要注意!
- 【膝の裏がむくんで痛い】深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)
- 症状チェック
- こんな人は要注意!
- 膝が急に痛い原因・部位からわかる疾患 一覧
- 膝の内側が急に痛い原因
- 膝の外側が急に痛い原因
- 膝の裏が急に痛い原因
- 膝が急に痛いときのセルフケア
- 安静にする
- 冷やす・温める
- サポーター・テーピング
- 膝が急に痛いときの治療法
- 薬物療法
- 関節腔内注射
- 運動療法
- マッサージ/ストレッチ
- 装具療法
- 再生医療
- その他の治療法
- 膝が急に痛む原因は病院で検査を
膝が急に痛む原因は?応急処置と受診の目安

膝が急に痛くなったときは、原因を細かく探す前に「今すぐ危ないサインがないか」と
「当日どう動くべきか」を先に押さえるのが安全です。
ポイントは、外傷の有無・腫れや熱感・体重をかけられるかの3つです。
まずやること(当日〜48時間)
まずは痛みが出る動きを減らし、膝への負担を一段下げます。
特に、階段・しゃがみ込み・ランニング・ジャンプなどは一旦中止してください。
腫れや熱感がある場合は、冷却を優先します。
タオル越しに10〜15分を目安に冷やし、痛みが強い日は数回に分けて行います。
可能であれば、膝を少し高くして休むと、腫れが落ち着きやすくなります。
痛みが強い日は、無理にストレッチやマッサージで動かそうとせず、まずは負担を減らすことを優先してください。
すぐ受診したい症状
次のような症状がある場合は、自己判断で様子を見続けず、早めに整形外科で相談するのがおすすめです。
✅体重をかけられない、歩くのがつらい
✅強い腫れ・熱感・赤みがある
✅膝が伸びない、曲げ伸ばしで引っかかる
✅痛みが急に強くなってきた、日常生活に支障がある
✅ふくらはぎの腫れや強い痛みを伴う、息苦しさや胸の痛みがある(この場合は早めに医療機関へ)

どの動き・どこが痛いかで原因が絞れる
急に膝が痛む場合、痛みが出ている場所や状況によって、原因の方向性が異なります。
たとえば「膝の内側が痛い」「スポーツ後に痛む」といった場合は鵞足炎、「膝の外側が痛い」「歩行時に痛みが出る」といった場合は腸脛靭帯炎(ランナー膝)の可能性があります。
以下から痛む部位や動作ごとに、膝が痛む原因を解説していきます。
【膝を動かし始めると痛い】変形性膝関節症
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ることで痛みが生じる疾患です。軟骨は膝への衝撃を和らげるクッションの役割を担っていますが、加齢や負担の蓄積によって徐々に摩耗していきます。変形性膝関節症では、長時間座った後の立ち上がりや歩き始めなど、膝を動かし始めるタイミングで痛みを感じる「始動時痛」がよくみられます。これは、軟骨の摩耗や関節内の炎症によって、動き始めに関節へ負担がかかりやすくなるためです。進行すると、膝関節(大腿骨と脛骨)が直接こすれ合い、骨の変形や炎症が起こることがあります。その結果、膝が急に痛いと感じたり、腫れや水がたまるといった症状が現れることがあります。60代以降に多くみられ、日本では潜在的な患者数が3,000万人以上と推定されている代表的な疾患です[1]。
日本人は骨格的にO脚傾向が多いため、膝の内側に負担が集中し、内側の痛みとして現れるケースが多いとされています。
症状チェック
□膝を動かし始めると痛みが出る(立ち上がりや歩き始めなど)
□痛みで膝の曲げ伸ばしが難しい(正座や階段の昇り降りなど)
□膝に水が溜まる
など
こんな人は要注意!
□年齢が60代以降(ほとんど運動をしない方は特に注意)
□女性(患者数は男性の2倍ほど)
□肥満体型
□過去に膝のケガをしている(半月板損傷、靭帯損傷、骨折)
など

【膝の曲げ伸ばしが痛い】半月板損傷
半月板は、大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨で、膝の内側と外側に1つずつ存在します。激しい運動などで膝に強い衝撃がかかると半月板にヒビが入り、炎症を起こして痛みを感じるようになります。また、加齢によって半月板が変性し、高齢の方はちょっとした衝撃で損傷が起こりやすくなるので注意が必要です。損傷する半月板が内側か外側かによって、痛みの出る場所が変わります。
関連コラム ▷ 半月板損傷の症状とは?痛みの原因や治療法について解説
症状チェック
□膝の曲げ伸ばしで痛みや引っ掛かりがある
□膝が動かなくなる時がある(ロッキング)
□膝に水が溜まる
など
こんな人・シチュエーションは要注意!
□サッカーやバスケットボールなどのスポーツをしている(急な切り返しの動作で半月板に強い衝撃が加わる)
□交通事故や転んだなどで膝に強い力が加わった
□年齢が60代以降
など
【膝の関節が安定せず痛い】 靭帯損傷
膝には前十字靭帯・後十字靭帯・内側側副靱帯・外側側副靱帯の4つの靭帯があり、大腿骨と脛骨をつないで関節の安定性を保っています。スポーツ中の接触や転倒、交通事故などで強い衝撃が加わると、これらの靭帯が損傷し、痛みが生じます。損傷した靭帯の部位によって、膝の前・後ろ・内側・外側など、痛む場所が異なるのが特徴です。
関連コラム ▷ 後十字靭帯損傷の放置は危険【症状・治療法・リハビリを解説】
特に20〜30代では、半月板損傷と並んで靭帯損傷が原因となるケースも少なくありません。レントゲンでは異常が見つからず「膝関節捻挫」と診断されることもありますが、実際には靭帯損傷が隠れている場合もあります。膝が急に痛いものの原因がはっきりしない場合は、MRI検査などによる精密検査で確定診断を行うことが重要です。

症状チェック
□ケガをした時に衝撃音と強い痛みが生じた
□痛みと腫れで膝がうまく動かせない
□関節が安定せず歩きにくい
など
こんな人・シチュエーションは要注意!
□ラグビー、サッカーなど、接触プレーが多いスポーツをしている
□バスケットボールやスケートボードなど、ジャンプすることが多いスポーツをしている
□交通事故や転んだなどで膝に強い力が加わった
など
【膝の内側が痛い】鵞足炎
鵞足(がそく)は脛骨の内側に位置し、膝の曲げ伸ばしに欠かせない筋肉(縫工筋、薄筋、半腱様筋)がついている部位のことです。膝に負担がかかるスポーツをしている人に多く、準備運動不足や無理なフォームでのプレー、運動不足の解消のため急に運動を始めるなど、前準備なしに行う急な動きや体にとって無理な動きが原因となります。
関連コラム ▷ 鵞足炎とは?症状・原因・治し方・回復期間まで専門医がわかりやすく解説
症状チェック
□膝の内側を押すと痛みがある
□運動後、膝の内側に痛みが出る
□膝に腫れや熱感がある
など
こんな人は要注意!
□バスケットボール、サッカー、水泳の平泳ぎなど、膝から下を外側にひねる動作の多いスポーツをしている
□あまり準備運動をせずにスポーツをしている
□急に激しい運動を長時間行うことがある
など
【膝の外側が痛い】腸脛靭帯炎(ランナー膝)
腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)はお尻の筋肉から脛骨にかけて、太ももの外側に存在する靭帯です。膝の屈伸運動を繰り返すことで靭帯と骨の間に摩擦が生じ、炎症を起こします。マラソンなどの長距離ランナーに発症することが多く、別名「ランナー膝」とも呼ばれています。
関連コラム ▷ 膝外側の痛みはランナー膝? 症状緩和のストレッチから最新治療までご紹介
症状チェック
□運動中や運動後、膝の外側に痛みが出る
□歩行時に膝の外側が痛む(症状進行時)
など
こんな人は要注意!
□長距離のランニングやマラソン競技をしている
□無理な運動やトレーニングをしている(オーバーユース)
など
【膝の前面が痛い】膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
膝蓋腱(しつがいけん)は膝のお皿(膝蓋骨)と脛骨の間にあり、膝を伸ばす動きをサポートする部位です。ジャンプや急な走り込みなど、膝の曲げ伸ばしを頻繁に繰り返すことで負荷がかかり、損傷します。ジャンプ動作を繰り返す競技(バスケットボールやバレーボールなど)をしている人に多く、別名「ジャンパー膝」とも呼ばれています。
上記の腸脛靭帯炎とともに代表的なスポーツ障害のひとつで、10~20代の男性の膝の痛みの原因に多いとされる疾患です。
症状チェック
□運動時に膝の前面(お皿の下の方)が痛む
□膝の前面を押すと痛みがある
□膝の前面が腫れ、熱を持っている
など
こんな人は要注意!
□バスケットボールやバレーボールなど、ジャンプ動作が多いスポーツをしている
□無理な運動やトレーニングをしている(オーバーユース)
など
【膝の裏が痛い】ベーカー嚢腫
膝の裏にある関節液(滑液)を含んだ滑液包が炎症を起こし、膨らむ疾患です。過剰な摩擦や圧迫が加わると炎症が起こり、圧迫感や痛み、腫れなどが生じます。悪性の腫瘤ではありませんが、放っておくと破裂することもあるので注意が必要です。
関連コラム ▷ 膝の裏が痛い原因や考えられる病気は?ベーカー嚢腫や変形性膝関節症を解説
症状チェック
□膝の裏が腫れ、違和感がある
□膝を曲げる時に圧迫感がある
□膝の裏に鈍痛がある
など
こんな人は要注意!
□関節リウマチの持病がある
□変形性関節症の持病がある
□運動などでひざを酷使する
など
【膝以外の関節も痛い】 関節リウマチ
免疫の異常によって関節で炎症が起き、腫れや激しい痛みが生じる疾患です。手足の指の関節や膝、ひじ、股関節などに起こります。症状が進行すると軟骨や骨が破壊され、関節が変形してしまいます。関節を曲げ伸ばしして動かすと、痛みが強くなります。
症状チェック
□膝以外の関節にも痛みがある(指や肩など)
□痛みがさまざまな関節に移動している
□多くの関節が腫れ、熱を持っている
など
こんな人は要注意!
□30~50代の女性に多く発症すると言われているが、明確な原因は不明

【膝が急に腫れて痛い】痛風
体内で尿酸が過剰になることで関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こす疾患ですある日急に膝に激痛が起こり、歩けないほどの痛みが数日間続きます。プリン体が多く含まれる肉などの食品やビールなどのアルコール飲料の摂り過ぎが原因としてよく知られています。
症状チェック
□急に膝が腫れ、激痛が起こった
□膝の激痛が続き、歩くのも困難
など
こんな人は要注意!!
□ビールなどのアルコールをよく飲む男性
□食事がいつも高カロリーで肥満気味の男性
など
【膝の裏がむくんで痛い】深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)
深部静脈血栓症は長時間同じ姿勢を続けることで足の血流が悪くなり、血栓ができる疾患です。飛行機の長時間のフライトで起こりやすいことから、別名「エコノミークラス症候群」と呼ばれています。同じ姿勢を続けた後、膝の裏に突然腫れやむくみが生じ、痛みを伴う場合はこの疾患である確率が高いです。血流にのって血栓が肺で詰まってしまうと呼吸困難になり、命に危険が及ぶこともあります。
症状チェック
□長時間同じ姿勢をして、膝裏に痛みが出た
(2~3日後に遅れて症状が出ることも)
□膝の裏が腫れ、強いむくみがある
など
こんな人は要注意!
□長距離の移動で飛行機や新幹線、高速バスなどに乗ることが多い
□デスクワークで長時間同じ姿勢を続けることが多い
など
膝が急に痛い原因・部位からわかる疾患 一覧
痛みを感じるようになった背景の他に、痛みを感じる場所からある程度の原因を推測することも可能です。

膝の内側が急に痛い原因
膝の内側の痛みの原因は、変形性膝関節症、鵞足炎(がそくえん)、疲労骨折、内側側副靭帯損傷、半月板損傷(内側)、タナ障害のいずれかであることが多いです。痛みを感じる状況と考えられる疾患は以下のとおりです。
| 内側に痛みを感じるシーン | 考えられる原因 |
| 膝を動かし始めた時 | 変形性膝関節症 |
|---|---|
| 膝を曲げた時 | 鵞足炎(がそくえん) 疲労骨折 |
| 押したら痛い時 | 内側側副靭帯損傷 |
| 水が溜まっている時 | 半月板損傷(内側) |
| 動かした時に音がする時 | タナ障害 |
膝の内側の痛みを訴える方によく見られる身体的特徴
- O脚
- 筋力不足
- 筋肉が硬い
膝の内側の痛みの原因、自宅でできる対処法などの詳細はこちらのコラムで詳しくご紹介しています。
▶膝の内側が痛いのはなぜ?原因となる鵞足炎や変形性膝関節症を解説
膝の外側が急に痛い原因
膝の外側の痛みの原因は、腸脛靭帯の炎症(ランナー膝)、外側半月板の損傷、外側側副靭帯の損傷のいずれかであることが多いです。これらのどれに該当するかに関しては、どの部分を押すと痛むのかが判断材料になります。
| 腸脛靭帯の炎症 (ランナー膝) |
外側半月板損傷 | 外側側副靭帯損傷 | |
| 痛みを感じる部位 | 腸脛靭帯と大腿骨の接触面 | 膝の皿の真下のやや外側 | 大腿骨と腓骨の繋ぎ目 |
| イラスト | ![]() |
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膝の外側の痛みの原因、治療法、ストレッチについてはこちらのコラムで詳しくご紹介しています。
▶膝外側の痛みはランナー膝? 症状緩和のストレッチから最新治療までご紹介
膝の裏が急に痛い原因
膝の裏が急に痛い場合、変形性膝関節症、関節リウマチ、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)、ベーカー嚢腫、後十字靭帯損傷、反張膝、リンパの循環不良、腓腹筋(ひふくきん)損傷のいずれかであることが多いです。考慮すべきは「膝の裏がどうなっているか」「どのような動作で痛むか」です。
腫れていたりコブになっていたりするのか、曲げた時と伸ばしたときのどちらが痛むのか、歩行時か座った時に痛むかなども重要な判断材料になります。
| 膝裏の状態/ 痛みを感じる動作 |
考えられる原因 |
| 腫れている | 変形性膝関節症 関節リウマチ 深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群) |
|---|---|
| コブになっている | ベーカー嚢腫 |
| 伸ばしたときに痛む | 後十字靭帯損傷 反張膝 |
| 曲げたときに痛む | リンパの循環不良 |
| 歩行時に痛む | 腓腹筋(ひふくきん:ふくらはぎの筋肉)の損傷 |
膝裏の痛みに関してはこちらのコラムで詳しくご紹介しています。
▷膝の裏が痛い原因や考えられる病気は?ベーカー嚢腫や変形性膝関節症を解説
膝が急に痛いときのセルフケア
安静にする
まず痛みが出る動作を避け、膝への負担を軽減することが重要です。過度な運動や長時間の歩行は控え、できるだけ安静を保ちましょう。ただし、完全に動かさない状態が長く続くと筋力低下を招く可能性もあるため、日常生活に支障のない範囲で無理なく過ごすことが大切です。必要に応じて、松葉杖などを使用して膝への負担を軽減することも検討しましょう。
冷やす・温める
炎症や腫れ、熱感がある場合は、氷嚢や保冷剤を用いて患部を冷やす(アイシング)ことで、痛みや炎症の軽減が期待できます。1回あたり15〜20分を目安に、2〜3時間おきに冷やすようにしましょう。氷や保冷剤を直接肌に当てると凍傷のリスクがあるため、タオルなどで包んで使用することが大切です。
一方で、慢性的な膝の痛みやこわばりがある場合は、温めて血行を促進する方法が適しています。筋肉の緊張が和らぐことで、痛みの軽減や関節の動かしやすさの改善が期待できます。
サポーター・テーピング
サポーターやテーピングを活用することで、膝関節を安定させ、動作時の負担を軽減することができます。膝を曲げると痛い場合の補助としても有効です。サポーターは関節を支えて動きを安定させるほか、保温によって血流を保ち、痛みの軽減につながることがあります。冷えによって症状が悪化しやすい場合にも適しています。テーピングは膝関節を適度に固定し、動きの中でかかる負担を分散する役割があります。日常生活で使用する場合は、伸縮性のあるテープを選ぶことで動きを妨げにくく、継続しやすくなります。
膝が急に痛いときの治療法
膝の痛みに対する治療法をご紹介します。まずは手術を行わない治療である「保存療法」を行い、膝の経過を見ることが多いです。

薬物療法
抗炎症や鎮痛効果のある薬で炎症と痛みを抑えます。症状が軽い場合は、数週間程度の服用や塗布で膝の痛みがなくなることもあります。鎮痛効果のある薬は、痛みの緩和に効果が期待できますが、副作用の心配があるため長期間の使用は推奨されていません。上記で挙げた膝の疾患のほぼすべてで、まずは薬物療法を行っています。
免疫の異常が原因である関節リウマチの場合は、膝の痛みを取り除く以外に抗リウマチ薬や副腎皮質ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬などを用いた治療を行います。
膝の裏に血栓ができる深部静脈血栓症の場合は、血栓を溶かす薬剤を投与して処置します。
関節腔内注射
注射薬には、鎮痛と炎症抑制効果のあるステロイド、軟骨を保護する作用があるヒアルロン酸があります。
ステロイドの鎮痛作用はヒアルロン酸注射より即効性がありますが[2]、繰り返し使用すると副作用のリスクがあるため、常用はできません。ヒアルロン酸注射は軟骨が損傷する変形性膝関節症や半月板損傷、関節リウマチの方に対して行い、定期的な使用によって膝の痛みの緩和と、膝関節の滑りをよくする効果が期待できます。
関節腔内注射については、こちらのコラムで詳しく解説しています。
▷膝のヒアルロン酸注射はいつまで続けるべき? 効かないときの対処法
運動療法
筋トレなどによって足に筋力をつけ、膝への負荷を軽減する治療法です。筋力不足で膝に負担がかかった結果生じた変形性膝関節症や半月板損傷、鵞足炎、腸脛靭帯炎、膝蓋腱炎の方におすすめの治療法で、ご自宅でも行っていただくことができます。
運動療法については、こちらのコラムで詳しく解説しています。
▷【動画有り】変形性膝関節症に効く! 室内で簡単にできる筋力トレーニング
▷半月板損傷のリハビリ【自宅でできる13の方法】
マッサージ/ストレッチ
運動療法の効果を最大限に引き出すには、膝周辺の筋肉を柔らかくほぐし、可動域を広げるようなマッサージ、あるいはストレッチを行うことが大切になります。
具体的には、大腿直筋(大腿四頭筋の一つ)、大腿二頭筋、大腿筋膜張筋といった筋肉のマッサージが効果的です。
これらのマッセージ方法については、こちらのコラムで詳しく解説しています。
▷【動画で解説】膝が痛いときのおすすめマッサージ
装具療法
膝サポーターを装着することで、膝の負担を軽減し痛みを緩和する治療です。膝を安定させて痛みを防ぎ、変形性膝関節症や靭帯損傷、関節リウマチの治療などで用いられます。
膝サポーターの効果については、こちらのコラムで詳しく解説しています。
▷膝サポーターは変形性膝関節症に効果的?【効果・選び方・デメリット】
再生医療
再生医療は、保存療法で十分な効果が得られない場合や、手術以外の治療法を検討したい方に選択肢のひとつとなる治療法です。当院の再生医療には、ご自身の血液から作製したPRP-FD(PFC-FD™)と、ご自身の脂肪から採取・培養した幹細胞を用いる培養幹細胞治療があります。膝関節内に注射することで、関節内の炎症を抑え、痛みの改善を目指す治療です。比較的体への負担が少なく、日帰りで実施できるケースが多い点も特徴です。ただし、適応や効果には個人差があるため、医師と十分に相談したうえで検討することが重要です。
膝の再生医療については、こちらのコラムで詳しく解説しています。
▷変形性膝関節症の最新治療 ~膝の痛みが続く場合に検討される再生医療
その他の治療法
・膝の水抜き
膝の裏に水が溜まって腫れるベーカー嚢腫は、水を抜いて経過観察を行います。変形性膝関節症や半月板損傷、靭帯損傷なども膝の炎症で水が溜まっている場合は水抜きを行います。
膝が急に痛む原因は病院で検査を
膝が急に痛くなる要因には、膝の使いすぎやスポーツによる負担、事故やケガ、加齢による変化、過去の疾患などが挙げられます。原因がはっきりしないままでも、痛みが一時的に軽くなることがあるため、「様子を見てもよいのでは」と考える方も少なくありません。しかし、膝の痛みは初期の段階であれば比較的軽い治療で改善が期待できる一方、放置することで症状が進行し、治療期間が長引いたり、慢性的な痛みにつながることもあります。膝の痛みが長引く場合や、徐々に強くなっている場合は、症状が軽度であっても早めに医療機関で検査を受けることをおすすめします。
当院では膝の状態が気になる方向けに、MRIひざ即日診断をご用意しております。
膝の状態を検査したいという方は、以下のリンク、もしくはお電話よりお気軽にお問い合わせください。

膝の痛みのご相談をご希望の方は、はじめての来院予約からご予約いただけます。
コラムのポイント
- 膝の痛みにはさまざまな原因がある
- 症状をチェックすることで、原因はある程度予測可能
- 痛みが続いたり悪化するようであれば、医療機関で早期の検査を
よくある質問
20代でも膝が急に痛くなることはありますか?
20代で膝が急に痛くなる主な原因としては、以下の疾患が考えられます。
・ジャンパー膝
・膝関節捻挫
・膝蓋骨脱臼
軽症でも、違和感を放置すると症状が進行し、さらに重篤な疾患に発展する恐れがあります。スポーツなどで膝関節に大きな衝撃を繰り返し与えるようなら、半月板損傷や靭帯損傷の原因となります。一度の損傷が軽微でも、それが蓄積すると炎症の慢性化によって修復が進まない、又は症状が進行する可能性があるのです。場合によっては変形性膝関節症に発展することも考えられるので、早めに受診されることをおすすめします。
膝が急に痛むとき、すぐに治る方法はありますか?
膝の痛みの原因によって対処法は異なるため、「すぐに治る方法」が一概にあるわけではありません。
ただし、炎症や腫れ、熱感がある場合は安静にし、患部を冷やす(アイシング)ことで痛みの軽減が期待できます。迷った場合は「腫れ・熱感があるときは冷やす」を目安にするとよいでしょう。一方、腫れや熱感がなく、慢性的なこわばりが中心で動かすと楽になる場合は、温めることで症状が和らぐこともあります。
痛みが強い場合や長引く場合、違和感が続く場合は、自己判断で無理に動かさず、早めに医療機関を受診することが重要です。原因に応じた適切な治療を受けることで、症状の早期改善につながります。
膝が急に痛いときは何科を受診する?
基本は整形外科です。
膝の痛みは、半月板・靭帯・関節内の炎症など原因が幅広く、診察と必要に応じた検査で切り分けることが改善への近道になります。
痛みが強い、腫れや熱感がある、歩行がつらい場合は早めの受診を検討してください。
当院では、膝の状態が気になる方に向けて、MRIによるひざの即日診断をご用意しております。
レントゲンでは分かりにくい半月板や靭帯、関節内の状態まで詳しく確認できるため、「原因をはっきりさせたい」「今の膝の状態を知りたい」という方にも適しています。
▶MRIひざ即日診断
歩けるけど膝が急に痛い。様子見でいい?
歩ける場合でも、痛みが続く・繰り返すときは、原因によっては早めの対応が必要になることがあります。
目安として、安静や冷却で数日たっても改善しない、階段や立ち上がりで支障が続く、痛みが強くなってきた場合は、整形外科で相談するのがおすすめです。
一方で、腫れや熱感が強い、膝が伸びない、歩くのがつらいほど痛い場合は、様子見より受診を優先してください。
膝が急に痛むとき、すぐに治る方法はありますか?
膝の痛みの原因によって対処法は異なるため、「すぐに治る方法」が一概にあるわけではありません。
ただし、炎症や腫れ、熱感がある場合は安静にし、患部を冷やす(アイシング)ことで痛みの軽減が期待できます。迷った場合は「腫れ・熱感があるときは冷やす」を目安にするとよいでしょう。一方、腫れや熱感がなく、慢性的なこわばりが中心で動かすと楽になる場合は、温めることで症状が和らぐこともあります。
痛みが強い場合や長引く場合、違和感が続く場合は、自己判断で無理に動かさず、早めに医療機関を受診することが重要です。原因に応じた適切な治療を受けることで、症状の早期改善につながります。
右膝(片方)だけ急に痛いのはなぜ?
片方だけ痛い場合でも珍しくはなく、利き足や体重のかけ方、直前の動作(ひねり・着地・走りすぎ)などで負担が偏っていることがあります。
半月板や靭帯、使いすぎによる炎症など、原因はさまざまです。
痛みが続く、腫れや熱感がある、歩行に支障がある場合は、原因の切り分けのため受診して確認すると安心です。
30代でよくある膝が痛い原因はなんですか?
30代では、スポーツや日常生活での負担の蓄積によるケガや炎症が原因となるケースが多く見られます。代表的なものとしては、半月板損傷や靭帯損傷、腸脛靭帯炎(ランナー膝)などが挙げられます。運動中のひねり動作や、急な負荷の増加によって発症することが多く、違和感や軽い痛みを放置すると悪化することもあります。痛みが続く場合は、早めに整形外科を受診することが大切です。
60代以降の方に多く見られる、膝の痛みの原因はありますか?
60代以降では、加齢に伴う関節の変化によって痛みが生じるケースが多く、特に変形性膝関節症が代表的です。関節の軟骨がすり減ることで炎症や痛みが生じ、進行すると膝の変形や歩行困難につながることもあります。また、筋力の低下や関節の柔軟性の低下も膝への負担を増やす要因となります。早い段階から適切な運動療法や治療を行うことで、症状の進行を抑えることが重要です。
参考
人工関節以外の新たな選択肢
「再生医療」
変形性膝関節症の方、慢性的なひざの
痛みにお悩みの方は是非ご検討ください。
関連するひざの疾患
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