膝の骨がズキズキ痛んだり動かすたびに違和感を覚えたりすると、「年齢のせいだろうか」「何か病気なのでは」と不安に感じる方も多いでしょう。
はっきりしたケガがなくても膝の痛みは、軟骨や半月板、腱・靱帯損傷など原因はさまざまです。中高年の方に多い変形性膝関節症や、突然の激痛が走る骨壊死など、痛みの原因は多岐にわたります。
今回は、膝の骨が痛む主な原因や改善させる治療法、自宅でできるセルフケアをわかりやすく解説します。痛みの原因を整理し、適切な対処を考えるための参考にしてみてください。
目次
膝の骨が痛いのはなぜ?
膝関節は年齢や使いすぎにより、軟骨や腱・靭帯などに変性や炎症が起こりやすく、骨が痛いと感じる原因になります。日本では65歳以上の女性の約3割、男性の約2割が何らかの関節疾患を抱えるとされ、膝の痛みは特に多い悩みです。
はっきりしたケガがないにもかかわらず膝の骨に痛みを感じる場合、主に軟骨のすり減り(変形性膝関節症)や半月板・腱の損傷、靭帯炎など周辺組織の問題が考えられます。
以下のコラムでは、痛みの出る場所ごとに考えられる原因をわかりやすくまとめています。ご自身の症状と照らし合わせながら、参考にしてみてください。
関連記事:膝の痛みの場所【外側や内側など】から分かる!原因と痛い時の対処法
膝の骨に痛みが出る主な疾患
膝の骨に痛みを感じる場合、代表的な原因として次のような疾患が考えられます。
- ・変形性膝関節症
- ・半月板損傷
- ・鵞足炎
- ・腸脛靭帯炎
それぞれの特徴を理解し、ご自身の症状に当てはめながら確認してみましょう。
変形性膝関節症
変形性膝関節症とは、加齢に伴って膝の軟骨がすり減り、痛みや腫れ、膝の曲げ伸ばしの制限が起こる病気です。関節軟骨の変性により骨同士の接触や摩擦が生じ、徐々に骨が変形していきます。
変形性膝関節症は、はっきりしたケガがなくても年齢や長年の負担で発症し、特に中高年以降の女性に多いです。軟骨の質の低下や膝を支える筋力低下によって、関節への負荷が増大し、軟骨が少しずつすり減ることで炎症と痛みが生じます。
初期の段階では、膝を動かしたときの違和感程度ですが、進行すると正座が困難になり、安静時にも痛むようになります。
関連記事:膝軟骨の「すり減り」は変形性膝関節症【原因と治療法について】
半月板損傷
半月板損傷とは、膝関節内にあるC字形の軟骨組織の半月板が傷つく障害です。半月板は膝のクッションとして衝撃吸収や関節の安定化に関わる軟骨で、スポーツで膝をひねったり、中腰で重い物を持ったりした際に損傷しやすい部分です。
半月板が損傷すると膝の曲げ伸ばしで関節の内側に鋭い痛みが走り、膝の引っかかり感(ロッキング)を伴うこともあります。特に内側の半月板の損傷が多く、膝の内側の関節裂隙に圧痛(押すと痛み)が現れます。
レントゲンでは半月板の損傷は映らないため正確な診断にはMRI検査が有用です。半月板損傷は放置すると膝の不安定性から軟骨のすり減りが進み、将来的に変形性膝関節症のリスクを高めます。
関連記事:半月板損傷は自然治癒しない?保存療法から手術療法まで有効な治療法を解説
鵞足炎
鵞足炎(がそくえん)とは、膝の内側下部にある鵞足(がそく)と呼ばれる部分の滑液包の炎症による膝痛です。鵞足にある滑液包がランニングや階段昇降などの繰り返し動作で擦れて炎症を起こし、膝の内側やや下方にズキッとした痛みや腫れが生じます。
中高年の女性や肥満の方に多く、特に階段の昇降時や椅子から立ち上がる動作で痛みが強くなりやすいのが特徴です。
腸脛靭帯炎
腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)は、ランナー膝とも呼ばれる障害で、膝の外側に痛みが出るのが特徴です。腸脛靭帯炎はランニングや自転車など、膝の曲げ伸ばしを繰り返す運動で起こりやすく、スポーツ愛好者の膝外側痛の代表的な原因のひとつです。
発症の背景には、腸脛靭帯が膝の外側の骨(大腿骨外側上顆)付近でこすれたり圧迫されたりすることで周囲の組織に負担がかかり、炎症や痛みにつながることがあるとされています。
膝の骨の痛みを改善させる治療法
膝の骨が痛む原因に対しては、症状の程度や原因疾患に応じて、さまざまな治療法が選択されます。
- ・ヒアルロン酸注射
- ・手術
- ・再生医療
ヒアルロン酸注射
ヒアルロン酸注射は、変形性膝関節症などですり減った関節軟骨の動きを滑らかにする治療です。ヒアルロン酸注射により関節の潤滑性を高めつつ、自前のヒアルロン酸産生を促して関節の恒常性(関節内の環境が安定し、正常な状態を保とうとする働き)を整える効果があります。
主に痛みの軽減や炎症抑制、関節可動域の改善が期待でき、日本では膝の痛みに対する治療として広く行われています。ヒアルロン酸注射は、副作用が比較的少ないため、高齢者や胃腸障害でNSAIDs(痛み止めの内服薬)が使いにくい方にも適した保存療法です。
一方で、ヒアルロン酸注射は対症療法的な側面が強く、軟骨や半月板そのものを修復する治療ではありません。そのため、効果の持続期間には限りがあり、長期的な改善を目的とする場合には、他の治療法を検討する必要が出てくることもあります。
即効性には個人差があり、通常は1週間〜数週間おきに数回の注射を続けて徐々に効果が現れます。
関連記事:膝のヒアルロン酸注射について
手術
保存的な治療で痛みが改善しない場合や、関節の破壊が進行している場合には、手術が検討されます。変形性膝関節症に対する代表的な手術には、骨切り術と人工関節置換術があります。
骨切り術とは、脛骨や大腿骨を部分的に切り込み角度を変えることで、負担のかかる軟骨の部位をずらし痛みを軽減させる方法です。比較的若年の患者で関節の一部に変形が限局している場合に行われます。
人工関節置換術とは、損傷した膝関節の表面を金属やポリエチレン製の人工関節に置き換える手術です。重度の変形や疼痛で日常生活に支障が大きい高齢の患者に適応され、手術後は痛みの大幅な軽減や歩行能力の改善が期待できます。
いずれの手術も入院やリハビリが必要ですが、痛みが強くて歩くことが難しい場合には、有効な治療選択といえるでしょう。
関連記事:変形性膝関節症の手術【費用/タイミング/術後の入院期間】
再生医療
変形した軟骨や損傷した組織を修復することを目指す最先端の治療法として、再生医療が注目されています。当院では、PRP-FD(PFC-FD)や培養幹細胞治療といった再生医療を提供しており、比較的初期の段階から進行した状態まで、幅広い症状に対応可能です。
PRP-FD(PFC-FD)は、患者自身の血液を採取し、血小板由来の成長因子を高濃度に含んだ血漿を膝関節内に投与する治療です。また、培養幹細胞治療では、自己由来の幹細胞を用いて、膝関節内の組織環境を整え、修復を促すことを目的とします。
これらの治療は、膝関節内の軟骨や半月板、周囲組織の修復・再生を促すことで、痛みの軽減や生活の質の改善に有効であると報告されています。
膝の初期段階では、痛みを抑えることを目的とした対処療法が中心となる場合も少なくありません。しかし、当院で行う再生医療は、症状の原因となっている組織にアプローチできる点が特徴です。
そのため、保存療法で十分な改善が得られない場合や、将来的な手術をできるだけ避けたい方にとって、試してみる価値のある治療法です。
膝の骨が痛いとき自宅でできるセルフケア
膝の骨の痛みを和らげるために、自宅で試せるセルフケアもいくつかあります。
- ・急な痛みや炎症があるときは冷却する
- ・慢性的な痛みやこわばりには温めて血行を促す
- ・テーピングで膝関節のぐらつきを抑える
- ・筋トレとストレッチで膝を支える力を高める
- ・体重管理で膝への負担を減らす
セルフケアを適切に行うことで、症状の悪化を防げる場合もあります。ただし、痛みが長引く場合や原因がはっきりしない場合は、自己判断せず、MRI検査などの精密検査を含めて医療機関で相談することが大切です。
急な痛みや炎症があるときは冷却する
転んだ直後や膝に急性の痛み・腫れが生じたときは、患部を冷やして炎症を抑えましょう。冷たいタオルや氷嚢(ひょうのう)を痛む部位に当てると、痛覚が鈍くなって痛みを感じにくくなったり、血管が収縮して腫れを軽減したりする効果があります。
冷却は1回20分程度までにし、皮膚に直接氷を当てないようタオルで包みます。痛みが和らいできたら、冷やす頻度を減らしていきましょう。
慢性的な痛みやこわばりには温めて血行を促す
長期間続く膝の痛みや、朝起きたときのこわばり感がある場合は、患部を温めて血流を良くすることで症状改善が期待できます。
湯たんぽや蒸しタオルを膝に当てたり、入浴で膝を温めたりすると、局所の血行が促進され筋肉や腱がほぐれる効果があります。ただし、炎症が強い(熱感や腫脹がある)ときは温めると悪化する恐れがあるため、その場合は冷却を優先させましょう。
テーピングで膝関節のぐらつきを抑える
膝の不安定感やぐらつきがある場合は、テーピングによる関節の補強が有効です。伸縮性のあるテープ(キネシオテープなど)や非伸縮のホワイトテープを使い、膝のお皿(膝蓋骨)や関節の周囲に適切に貼ることで、関節のブレを抑えられます。
実際に変形性膝関節症患者を対象とした研究では、3日間膝にキネシオテープを貼付すると、痛み・こわばりの軽減と膝機能の改善が認められたとの報告があります。
テーピングは貼り方によって効果が大きく左右されるため、自己流で難しいと感じる場合は、整形外科や理学療法士に相談し、正しい方法を指導してもらうと安心です。
筋トレとストレッチで膝を支える力を高める
膝の骨にかかる負担を軽減するには、周囲の筋肉を鍛えて関節を支える力を高めることが大切です。特に太ももの前側にある大腿四頭筋は、膝を安定させる重要な筋肉です。大腿四頭筋は鍛えることで、膝関節の機能改善につながると報告されています。
大腿四頭筋を鍛えるには、椅子に座った状態で膝伸ばし運動や床に仰向けでの脚上げ(レッグレイズ)などから始め、徐々に筋力をつけましょう。また、ハムストリングス(太もも後ろ)やふくらはぎ等のストレッチも行い、関節の可動域と柔軟性を保つことも大切です。
筋トレとストレッチを続けることで、関節周囲の柔軟性と筋力バランスが向上し、膝への衝撃を和らげ、痛みの予防や再発防止につながります。
関連記事:【動画有り】変形性膝関節症に効く! 室内で簡単にできる筋力トレーニング
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体重管理で膝への負担を減らす
膝の骨の痛みと体重には深い関係があります。膝関節には歩行時で体重の約3倍、階段昇降では4〜5倍もの荷重がかかるとされ、体重が増えるほど膝軟骨のすり減りが進みやすくなります。
また、肥満の方は膝痛を発症しやすいだけでなく、変形性膝関節症が悪化しやすい傾向があります。そのため適正体重の維持は膝痛改善に不可欠です。
BMIが25以上では、将来人工膝関節手術が必要となるリスクが3倍以上に高まるとの報告もあります。このため医療現場では、体重の5%以上の減量を目標とした生活指導が行われているケースもあります。
急激な減量はかえって体調を崩す原因になるため、食生活の見直しと適度な運動習慣で無理なく体重を落とすことが大切です。
よくある質問
膝の骨がズキズキ痛むのは骨折ですか?
骨の強い痛みは、必ずしも骨折とは限りません。 骨折は転倒や衝撃など明確な外傷がある場合に起こり、激しい痛みとともに膝を動かせなかったり、体重をかけられなかったりします。
一方で、外傷がないのに膝の骨がズキズキ痛む場合、変形性膝関節症や半月板損傷、骨の一部の壊死など他の要因が考えられます。
いずれの場合も、痛みが強いときは自己判断せず、医療機関で画像検査などを検討しましょう。
レントゲンで異常がないのに骨が痛いのはなぜ?
レントゲン検査(X線)は骨の状態を写す検査です。軟骨のすり減りや半月板・靱帯・腱といった軟部組織の損傷はレントゲンには映りません。
例えば半月板損傷や軟骨の初期の変性では、レントゲン上は「異常なし」と判断されても、痛みや可動域制限が起こりえます。レントゲンで異常がないのに痛みが続く場合は、MRI検査や超音波検査を行うと原因が特定できる場合があります。
膝の骨の痛みは自然に治りますか?
膝の使いすぎによる一時的な炎症や筋肉疲労が原因の場合は、安静にしたり負担を減らしたりすることで、自然に痛みが軽快することもあります。
しかし、変形性膝関節症のように軟骨がすり減ってしまった場合、損傷した軟骨が自然に元通り再生することはありません。
そのため、放置していると痛みが慢性化したり、症状が進行したりする可能性があります。
痛みが続く場合や、徐々に悪化していると感じる場合は、早めに医療機関で原因を確認し、自分に合った対処法を見つけることが大切です。
膝の骨の痛みが続くときは放置せずに医師に相談しよう
膝の骨が痛みが長引く場合や悪化傾向にある場合は、我慢せず整形外科に相談しましょう。
骨や関節といった運動器の障害は要介護状態となる原因のひとつです。特に軽度のうちから適切に対策しないと、将来的に要支援・要介護につながる可能性があることも指摘されています。
膝の痛みが原因で歩くのをやめてしまうと、筋力が低下したり、関節が不安定になったりして、転倒や骨折のリスクが高まります。そのため、痛みを我慢するのではなく、今の膝の状態を正確に把握することが重要です。
ひざ関節症クリニックでは、MRIを用いた膝の即日診断により、痛みの原因や関節の状態を詳しく確認できます。気になる症状がある方は、ぜひご相談ください。
人工関節以外の新たな選択肢
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