膝のMRI検査で何がわかる? 知っておきたいMRIとレントゲンの違い

公開日:2021.11.10
更新日:

ひざのMRI検査に不安を抱いている方はいらっしゃいませんか。MRIと聞いて、一体どんな検査なの? 大掛かりな検査だったらどうしよう?
と心配してしまう方も多いはず。
そこで今回は、なぜレントゲンだけではなくMRIをおすすめするのか。MRIで何が分かるのか。実際にMRI診断を受けた患者さまの症例を交えてご紹介します。MRI検査はひざの痛みの原因を特定し、解決に導く治療の前準備です。ひざのMRI検査を控えている方や、検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

情報提供医師

武藤 真隆 医師

武藤 真隆 医師(名古屋ひざ関節症クリニック 院長)

日本整形外科学会認定 専門医

MRIとは?

MRI写真

MRIとは、Magnetic Resonance Imagingの略語で、正式には核磁気共鳴画像法(かくじききょうめいがぞうほう)と言います。MRIという強力な磁石でできた機械に身体を入れて、磁気の共鳴で体内の組織の状態を映し出します。そうやって撮影された情報から、体内にある問題を特定し、疾患や治療法の判断に役立てます。MRIの画像は、磁石と電波によって画像を生成するため、CT検査やレントゲンのような放射線被曝の心配がありません。
MRIというと体内にあるがんの有無や脳の検査などのイメージがあるかもしれませんが、一般の整形外科でも頻繁に用いられています。

ひざのMRI検査で何がわかるの?

ひざの検査では、靭帯や半月板の損傷、軟骨がすり減る変形性膝関節症という進行性の疾患が疑われた場合に使用します。MRI画像から、半月板や靭帯がどのくらい傷ついているか、軟骨のすり減り具合や、骨の内部の炎症などを確認することができます。

MRIとレントゲンの違い

MRIよりレントゲンの方が耳馴染みがあるという方は多いのではないでしょうか。レントゲンとは、放射線を身体に照射して撮影する検査のことです。骨の異常や関節の隙間の消失、O脚などはレントゲン検査で観察できます。
ただし、レントゲンで分かるのはあくまで骨の外見のみ。骨の内部まではわかりません。一方、MRIは骨以外の組織(半月板や軟骨、靭帯)まで映し出します。そのため、半月板損傷や、変形性膝関節症の進行状態をより詳細に把握することが可能で、レントゲンでは膝の痛みの原因が分からなかったけれどMRI検査で判明するということも少なくありません。
また、画像検査にはCTで撮影する方法もありますが、CTは特に脳や肺、腹部などの検査に優れています。骨の情報が得られるので整形外科でも用いることはありますが、レントゲン同様、半月板損傷や靭帯損傷の有無を把握するのは困難です。
半月板損傷のケースでは断裂も様々なので、治療方針を考える上でもMRIは有用となってきます。変形性膝関節症は、進行度によって治療方針が異なることがありますが、MRI検査をすることで、病態に合わせた最適な治療法を検討することができるのです。

MRI レントゲン
右ひざの画像 右ひざのMRI画像 右ひざのレントゲン画像
特徴 骨の内部や骨以外の組織の撮影が可能 骨の外見のみの撮影が可能
確認可能な
膝の組織
・骨
・半月板
・筋肉
・靭帯
・軟骨など
・骨(膝蓋骨・大腿骨・脛骨)
メリット ・放射線被曝しない
・骨以外の組織の状態もより詳細に把握することができる
・骨の異常や関節の隙間の消失などがわかる
・検査時間が短い(15分程度)
デメリット ・検査時間が長い(30分~1時間程度)
・体の中に金属がある場合は検査できない(ペースメーカーなど)
・放射線被曝する
・骨以外の組織の状態が確認ができない

スクロールできます

MRIひざ即日診断

実際の解説動画でMRI診断を疑似体験!【症例1】

言葉では分かりにくい点もあるかと思いますので、実際のMRI動画でどんなことを確認して、どう判断するのかをご紹介しましょう。
近い症状や境遇をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。ご自分のひざをイメージしながらご覧になってみてください。

まずは50代後半の男性患者さまのケースをご紹介します。
登山やジョギングがご趣味という方で、徐々に痛みが出てきて整形外科を受診されたそうです。これまでヒアルロン酸注射や鎮痛剤などの保存療法を続けておられましたが、痛みが思うように改善されず来院されました。
MRI画像からは、内側半月板の損傷、なかでも後ろ側が断裂していることが分かります。さらに、膝上に少しお水が溜まっているのが確認できます。
このように、骨や関節のすき間などに大きな異常は認められない場合、痛みの原因を特定するのにMRIはとても有効です。

変形性膝関節症と診断された方のMRI診断【症例2】

次にご紹介する患者さまは、78歳の女性。20年も前から両ひざの痛みに悩んでいたと言います。近所の病院で何回もヒアルロン酸注射を打ち続けてきましたが、痛みが改善することはありませんでした。
かかりつけの病院で相談しても「加齢だからしかたない」「人工関節しかない」と言われ続けてきたそうです。
痛みはどんどん強くなるものの、それでも「人工関節にはしたくない!」という、とても強い想いを持たれていたこちらの女性。まずはひざ痛みの原因を知るためにMRI検査を受けられました。

変形性膝関節症の末期と確定診断

変形性膝関節症末期のMRI画像

右ひざの内側に骨棘(こつきょく)と呼ばれる、骨の異常を確認。これは骨がトゲのように変形する、変形性膝関節症の代表的な画像所見です。
また、画像の囲み部分は、本来なら半月板が見られるはずの関節の隙間が、完全に消失している状態を示します。この情報から、変形性膝関節症の末期という確定診断になりました。

O脚の度合いも測定

MRI画像から見るO脚の度合い

同時に、O脚の度合いも測定しました。大腿骨と脛骨の外側の角度を測定することで、どれくらいO脚が進行しているか診断することができます。個人差はありますが、このような値が目安です。
・180°以上……O脚
・176°前後……正常
・176°以下……X脚
こちらの患者さまの角度は、184°つまり、O脚であると言えます。

半月板損傷もMRI画像で明確に

MRI検査でわかる半月板損傷

骨や軟骨の表面がすり減っているだけでなく骨の内部にもMRIで白く映る骨の炎症の骨髄浮腫が見られ、相当のダメージを受けていることが分かりました。
さらにMRIで半月板を見やすい条件に設定にして確認したところ、ひざ関節の外側にも深刻な異常が見られました。丸で囲んだ部分をご覧ください。黒い三角形は半月板です。その中に白い線をご確認いただけるでしょうか。これは半月板断裂の所見。内側の半月板がMRI画像から消失しているのは確認できていましたが、外側の半月板もMRI検査によってここまで損傷していることがわかったのです。

変形性膝関節症で半月板損傷を合併していることは多く、当院でもよく見られるケースです。海外ではレントゲンで変形性膝関節症の所見が見られる被験者にMRI検査を行ったところ、痛みやこわばりなどの症状がない群でも半月板断裂の有病率が60%だったという報告もあります[1]

触診では分からない、ひざの水たまりも

膝に水が溜まった状態のMRI画像

MRIはひざ関節を正面からだけでなく、いろんな角度でスライスして観察することができます。こちらもそのひとつ。膝蓋骨(ひざのお皿)の位置でひざ関節を輪切りにしています。
こちらの角度から見ると、水がたまった部分が白く映し出され、炎症によって起こった関節水腫が認められました。たまっている水の量が少ないと触診ではわからないことがあります。このような状態もMRIなら映し出すことができます。
結果、このようなMRIの所見から、患者さまは変形性膝関節症の末期の中でも深刻な進行具合であることが判明。人工関節だけは避けたいという強い思いから、当院の再生医療を選択されました。

こんなに気軽! 今どきのMRI検査事情

さて、みなさんはMRI検査にどんなイメージをお持ちでしょうか? 病院で先生に勧められる以外で受けられるの? 予約とか順番待ちとかめんどくさくない? そんな疑問や不安があるかもしれませんが、それは少し前の話。今はとても気軽に、しかもスムーズに、検査から診断まで受けることができます。

1.待ち時間は不要

MRI検査は待ち時間不要

例えば、総合病院や大学病院などでMRI検査を予約しようとした場合、かなり先まで埋まっていて、1ヵ月以上かかることも少なくありません。
理由は、ひざが直接的に生死に関係していないから。緊急度の高い脳や心臓などの検査が優先されるためです。しかし、今はMRI検査だけの専門施設が存在します。各医療機関で完備すると診断との兼ね合いもあり混雑してしまいますが、検査を独立させることでその問題を解消。
また、日本全国にその施設がいくつもあり、診断は近所で受けてから病院に向かうなどの融通も利きます。つまり、受けたいときに待ち時間なく受けられるというわけです。

2.検査から診断までが1日以内に完了

検査から診断までが1日以内

検査施設と実際に診てくれる病院が別だと、検査とは別の日程を確保しなければいけないと思う人もいるでしょう。ですが、そんな心配もありません。
MRI検査を受けた直後、そのデータは病院へ転送されます。患者さまは検査を終えたその足で、診断してくれる病院に行くだけ。1日のうちに検査から診断までを終えることができます。

3.MRI画像はセカンドオピニオンにも使用可能

MRI画像でセカンドオピニオン

MRIに限らず、検査画像は医療機関が所有するところが一般的でしょう。ですが、ここでご紹介しているMRI検査の場合、患者さまに検査結果をお渡しすることも可能です。
つまり、診断を受けたあとにセカンドオピニオンを求めたい場合、再度その病院で検査を受けなくても、持ち込みデータで診てもらうことができるということ。追加費用をかけることなく、別の医療機関を利用することが可能なのです。

ひざの痛みにお困りなら、まずMRI検査を

ひざの痛みの原因がわからずお悩みなら、MRI検査を受けることをおすすめします。MRIを撮ることで、半月板損傷や靭帯損傷、骨壊死など膝の痛みの原因を特定、その後の治療もスムーズになり、効果も早く実感できるでしょう。
当院では前段で紹介した、検査から診断まで待ち時間なくスムーズに受けられる、MRIひざ即日診断がございます。ご相談いただいた際には、何が原因で、今後どうすれば良いかを分かりやすくご説明しています。ご興味がある方は下記リンク、またはお電話でもご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。

MRIひざ即日診断

コラムのポイント

  • ひざのMRI検査では、半月板・軟骨・靭帯の損傷具合を確認する
  • レントゲンと違い、骨の内部まで撮影できるので変形性膝関節症の進行状態も把握できる
  • MRI検査で膝の痛みの原因を特定することが、膝痛改善の近道

よくある質問

膝のMRIを撮影して体に悪い影響はありませんか?

MRIの検査時に発する磁場は、体に有害な影響を与えることはありません。
MRIは電磁波の共鳴を使って体内を画像化する医療機器ですが、この磁場の中に入っても生身の体に有害な影響はありません。また、放射線を使わないのでCT検査やレントゲンのような放射線被曝の心配もありません。
ただし金属や電子機器などは電磁波に反応して熱を帯びることがあるため、検査前に取り外しや身体の内部に入っていないかなどの細心の注意が必要です。そのため、検査室に入る前の問診の時に、検査やお身体に影響が出るもの(貼り薬・入れ歯・補聴器・アクセサリー・眼鏡など)は必ず脱いだり外したりするよう促されます。また、入れ墨やボディペイント、メイクやカラーコンタクトの顔料に金属が含む場合があり、これらにより火傷を負う恐れがあるため検査前はきちんと申告してください。
(※ペースメーカー・脳動脈瘤クリップ・人工弁・ステント・避妊リング・インプラントなどが埋め込まれている方の検査の実施は主治医の判断が必要となります)

より詳しい診断をするため造影剤を使用する場合は、造影剤のリスクが考えられます。下記のような方は注意が必要となるためご確認ください。該当しない場合は、基本的にはMRI検査による体への悪影響は考えにくいのでご安心ください。

・気管支喘息を患ったことのある方
・造影剤にアレルギーをお持ちの方
・薬剤や食べ物にアレルギーのある方

閉所恐怖症で狭くて暗い空間が怖いと感じるため、膝のMRIを受けるときに不安症状やパニックにならないか心配です。

膝関節のMRI検査では”膝を撮影”するので、頭まで機器に入ることは極めて少なく、目の前の圧迫感はさほどなく受けていただくことが可能です。
MRI検査の一般的なイメージは、狭い空間に頭から入っていく印象が強く、閉所恐怖症の方はご不安かと思います。ただ膝関節の検査の場合、症状を診断するために必要となる撮影部位は膝になります。そのため、MRIのドーナツ状の部分に入るのは検査する部位だけです。つまり、撮影時は足からMRIに入ることになるので、頭はMRIから出ている状態になります(ただし、身長によっては頭まで入る場合もあります)。
万が一、気分が悪くなったり、恐怖心が強く出てしまう場合は無理をせず緊急時のためのブザーがありますので、そちらでお知らせください。また検査前、事前に検査施設のドクターや検査技師の方に、不安を相談することも安心して検査を受けるための方法のひとつです。

膝痛で整形外科を受診しますが、膝のMRI検査でわかること(何がわかるのか)教えてください。

半月板損傷や、変形性膝関節症の進行状態をより詳細に把握することができます。
MRIはレントゲンと違い、骨以外の組織(半月板や軟骨、靭帯、筋肉)まで映し出し、正確な症状や病名を診断することが可能です。
たとえば、骨や軟骨の表面がすり減っているだけでなく、骨の内部にも相当のダメージを受けていることまで把握することができます。また、MRIはひざ関節を正面からだけでなく、いろんな角度でスライスして膝内部を観察することができます。そのため、触診では分からない膝の水のたまり具合も確認することができ、症状に合わせた治療法の選択も的確に行うことができます。

MRI検査にご興味がある方はこちらをご覧ください。
MRIひざ即日診断予約

膝のMRI検査はどのくらいの料金が掛かりますか

当院のMRIひざ即日診断では検査だけだと、8,000円程度です。
当院の場合は、一般的な自費によるMRI検査よりも少ないご負担検査が可能です。自費でMRI検査を受ける場合は、25,000〜40,000円ほどの検査費用が目安です。また、3割負担の保険診療の場合5000円程度といわれていますが、MRI検査は撮影部位やフィルムの枚数、保険の種類(または自費診療かどうか)によって患者様の負担額が異なります。
MRIやレントゲンの撮影画像は通常は医療機関で保管されますが、当院では検査データをCD-Rで差し上げており、お持ち帰りいただいております。

膝のMRIを受けることのできない人はどのようにすれば良いですか。

MRI検査が受けられない方は、X線を使用したレントゲン検査やCT検査により撮影・診断を行います。
レントゲン検査やCT検査では骨の外見から骨の異常や関節の隙間の消失、O脚など(脚の骨格の付き方)の診断をすることができます。レントゲン写真でも膝の骨が部分的に棘のように変形している状態の確認ができれば、こうした症状から変形性膝関節症の診断をつけることも可能です。
さらにCT検査では、骨や靭帯の動きを3D(三次元画像)で映し出すことも可能で、360°ありとあらゆる角度から状態をより詳しく観察することで治療に役立てることができます。

膝のレントゲンでは異常は無いのに痛みがあり不安です

レントゲンで異常が無いならMRI検査での原因特定をおすすめします
レントゲンで異常が認められなくても、MRIで原因が特定できるケースは珍しくありません。それは、レントゲンとMRIでは違う方法で別の事象を見ているからです。レントゲンでは主に骨の形状を確認できるため、骨折や関節の変形具合などはよく分かります。ただ、骨以外に関節を構成する半月板や靭帯などの軟部組織はレントゲンではチェックできないためMRIで検査する必要があります。また、膝の痛みには炎症や出血、水腫(膝の水たまり)も関係していることが多く、そういった様々な情報もMRI画像からは得ることができます。
どちらが優れた検査というわけではありませんが、膝の痛みを治療するためには、まず原因を特定することが最優先です。それが分からないと適切な治療法を検討することができません。
レントゲンで異常がなくても痛みはお辛いでしょうから、主治医に他の検査方法をご相談してみてはいかがでしょうか? もしくは当院でも提携施設でMRI検査が可能ですので、セカンドオピニオンにご利用ください。原因を特定し、ご希望を伺いながら適した治療法をご提案させていただきます。

人工関節以外の新たな選択肢
「再生医療」

変形性膝関節症の方、慢性的なひざの
痛み
にお悩みの方は是非ご検討ください。

効かなかったら、どうしよう・・・

この歳でもできるのかしら?

話だけでも聞いてみたい

今の状況を詳しく知りたい

リスクはない?

あなたの膝の痛み、再生医療の不安、まずはご相談ください。

ひざ関節症クリニック|全国11拠点|治療実績14,000例|整形外科専門医21名所属

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