膝の裏がピキッとした痛みの原因や主な病気を解説

更新日:2026.02.16

膝の裏に走る突然の「ピキッ」という鋭い痛みは、不意に現れて不安に感じますよね。デスクワークや運動不足、急に運動を再開した後など、思い当たる場面は人それぞれです。膝裏の痛みは放っておくと悪化することもあるため、早めに原因を知り、適切な対処法や受診の目安を把握しておきましょう。

今回は、膝の裏が「ピキッ」と痛む原因や関連する主な病気、セルフケア方法をわかりやすく解説します。すぐに受診が必要な危険な膝裏の症状も紹介しているので、症状に当てはめながらご覧ください。

膝の裏が「ピキッ」と痛む原因とは?

膝の裏に急に走る痛みは、関節やその周囲組織に異常が起きているサインかもしれません。膝の裏には靭帯・半月板・腱・筋肉・神経など、さまざまな組織が集まっており、損傷や炎症、圧迫などによって痛みが生じることがあります。

放置すると悪化するケースもあるため、痛みを感じたら早めの対処が大切です。まずは考えられる原因と、関連する主な疾患を確認してみましょう。

関連記事:膝の裏が痛い・腫れるのはなぜ?原因や治し方・ストレッチ方法を解説

膝の裏が「ピキッ」と痛むときに考えられる主な病気

ベーカー嚢腫(ベーカーのうしゅ)

膝の裏側にピンポン玉大のコブ(腫れ)ができ、曲げ伸ばしの際に痛みや圧迫感、突っ張る感じがある場合は、ベーカー嚢腫が疑われます。

ベーカー嚢腫とは、膝関節の滑液(関節液)が過剰に分泌・貯留し、膝裏の滑液包が膨らんだ状態です。

関節液が溜まる主な原因は以下のとおりです。

  • ・関節リウマチ
  • ・変形性膝関節症
  • ・半月板損傷
  • ・膝の使い過ぎ

ベーカー嚢腫自体は良性ですが、急激に大きくなると破裂することがあり、漏れた関節液がふくらはぎに炎症を起こすと、深部静脈血栓症に似た症状(強い腫れ・痛み)を引き起こすことがあります。

膝裏にコブができて痛む場合は、ひざ専門のクリニックで検査を受け、原因となる膝関節の炎症や損傷を確認しましょう。

関連記事:ベーカー嚢腫の原因と治療法について教えてください

半月板損傷(はんげつばんそんしょう)

スポーツ中の衝撃や転倒、急な方向転換によって膝に強い負荷がかかると、半月板損傷を起こすことがあります。半月板は膝関節内の軟骨で、裂けたり欠けたりすると、膝の痛みや腫れ、可動域の制限などの症状が現れるのが特徴です。

膝内部で何かが引っかかる感じや、膝が途中までしか曲げ伸ばしできなくなるロッキング現象が起きる場合は、損傷した半月板の一部が関節にはさまり込んでいる可能性があります。

半月板は一度損傷すると自然治癒が困難であり、放置すれば症状が悪化したり、変形性膝関節症のリスクが高まったりすることが知られています。

膝裏の鋭い痛みと可動域制限があるときは、早めにMRI検査などによる診断を受け、半月板損傷がないか確認しましょう。

関連記事:半月板損傷は自然治癒しない?保存療法から手術療法まで有効な治療法を解説

変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)

加齢や膝の酷使によって膝関節の軟骨がすり減り、関節に炎症が起こるのが変形性膝関節症です。中高年に多く、50代以上の約半数が何らかの膝の痛みを抱えているともいわれます。

初期には、動作を始めたときや階段の昇り降りの際に痛みが出て、休むと治まることが多いです。進行すると、慢性的な痛みや膝の腫れ(関節水腫)、可動域の低下が見られ、膝裏の痛みや突っ張り感につながることもあります。

さらに、病気が進行するとO脚変形などによって膝の後方にも負荷がかかり、膝裏の筋や腱へ痛みが広がることがある病気です。膝裏の痛みがあり、加齢や長年の膝負担に心当たりがある場合は変形性膝関節症の可能性があります。

適切な治療で進行を遅らせることもできるため、ひざ専門のクリニックで診断を受けましょう。

関連記事:膝軟骨の「すり減り」は変形性膝関節症【原因と治療法について】

関節リウマチ

関節リウマチは、免疫の働きが誤って自分自身の関節を攻撃することで起こる自己免疫疾患です。一般的には、以下のような部位に腫れや痛み、こわばりが現れるのが特徴です。

  • ・手指、足指
  • ・手首、足首
  • ・肘
  • ・膝

関節リウマチに伴う膝の症状は、進行により関節の変形をきたすこともあり、症状が軽い段階でも早めに医療機関で評価を受けることが重要です。
持病として関節リウマチがある方で、膝裏を含む膝周囲の痛みや腫れ、動作時の不快感が続く場合は、自己判断で放置せずに主治医に相談しましょう。
必要に応じて関節エコーやMRIなどを行い、炎症の程度や関節の状態を確認してもらうと安心です。

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深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)

長時間の移動や安静で血行が悪くなると、脚の深い静脈に血栓(血のかたまり)が生じることがあります。
これを深部静脈血栓症(DVT)といい、航空機内での発症例からエコノミークラス症候群とも呼ばれます。

膝裏からふくらはぎにかけて突然片脚だけが腫れ上がり、熱をもって痛むのが典型的な症状です。数日かけてゆっくり進行する場合もありますが、片方の脚にむくみや痛み、発赤は要注意です。

膝裏から下腿にかけての片脚の腫れと痛みを感じたときは、安易にマッサージなどせず(血栓が移動する恐れがあります)、血管外科や内科を受診しましょう。

後十字靭帯損傷(こうじゅうじじんたいそんしょう)

膝関節を構成する後十字靭帯は、膝の中央部を走る太い靭帯で、脛骨が後方へずれないよう支えるのが役割です。
交通事故でダッシュボードに膝を強打したり、ラグビーやサッカーで脛骨に前方から強い衝撃を受けたりすると、後十字靭帯が引き伸ばされ断裂することがあります。

後十字靭帯を損傷すると、受傷直後は激しい痛みと膝の腫れが起こるのが一般的です。急性期をすぎると、痛みや可動域が改善して歩行可能になることもあります。

しかし、靭帯が緩んだまま放置すると膝の不安定性(グラつき)が残り、階段の下りるときや下り坂で膝が抜けるような感覚につながります。

膝を強く打ったあとから膝裏にかけて痛みや違和感が続く場合や、膝の不安定感がある場合は、自己判断せずひざ専門のクリニックを受診し、適切な診断と治療を受けましょう。

関連記事:後十字靭帯損傷の放置は危険【症状・治療法・リハビリを解説】

反張膝(はんちょうひざ)

反張膝とは膝が真っ直ぐを通り越して逆方向に過度に反ってしまう状態です。先天的な関節の柔らかさや太もも前側の筋力低下、姿勢不良などさまざまな原因で生じます。

反張膝になると立っている姿勢で膝が反り、膝周辺の組織に常に不自然な負荷がかかります。その結果、膝のお皿の下あたりや膝の裏側に痛みが生じやすいのが特徴です。

反張膝は膝への負担が大きく、放置すると前十字靭帯損傷の危険因子にもなると報告されています。

すぐに受診が必要な危険な膝裏の症状

膝の裏が「ピキッ」と痛む原因はさまざまですが、迅速な医療処置が必要なケースも含まれます。そのため、必要に応じてMRI検査など精密検査を受け、原因を特定することが大切です。

以下のような症状が見られたら、我慢せず整形外科やひざ専門のクリニックを受診しましょう。

  • ・自力で歩行が困難なほどの激痛がある
  • ・膝裏にピンポン玉のような腫れがある
  • ・片足だけ腫れて熱をもっている
  • ・膝を曲げ伸ばしできない

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自力で歩行が困難なほどの激痛がある

自力で歩行が困難なほどの激しい痛みがある場合は、重大な損傷が起きている可能性があります。
膝裏に限らず膝全体の痛みが強く、足に力が入らず立ち上がれないときは注意が必要です。

例えば、前十字靭帯や後十字靭帯の断裂では、受傷直後から強い痛みと腫れが生じ、歩行が困難になることがあります。
また、膝の骨折でも鋭い痛みと著しい腫れが現れ、体重をかけることすら難しくなる場合があります。

こうした症状があるときは、早急に医療機関を受診し、専門医による診察や画像検査で原因を確認することが重要です。

膝裏にピンポン玉のような腫れがある

膝裏を触ったときに、ピンポン玉のような弾力のある腫れ(しこり)が感じられる場合は、ベーカー嚢腫の可能性があります。
ベーカー嚢腫自体は良性ですが、その背景には膝関節内の炎症によって関節液が溜まっている状態があり、注意が必要です。

さらに、嚢腫が大きくなると破裂し、痛みや腫れが強くなる恐れがあります。
膝裏の腫れがしこりのように触れる場合は、自己判断で揉んだり押したりせず、ひざ専門のクリニックを受診することが大切です。

片足だけ腫れて熱をもっている

片側のふくらはぎから膝裏にかけて腫れ、熱感を伴う場合、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)の可能性があります。
左右どちらか片方の脚だけが明らかにむくんで太くなり、押すと痛んだり、皮膚が熱かったりした場合は迷わず受診しましょう。

特に長時間のフライトや車移動の後、ギプス固定中、脱水状態が続いていた場合などは、発症リスクが高まります。

膝を曲げ伸ばしできない

膝裏の痛みとともに、膝の曲げ伸ばしがほとんどできない(可動域が大きく制限されている)場合は、関節内に異常が起きているサインです。
代表的な原因のひとつが、半月板損傷による「ロッキング」と呼ばれる状態です。これは、裂けた半月板の一部が関節の中にはさまり、膝が途中で引っかかったように動かなくなってしまう現象を指します。

また、急に膝がかたまってしまい、完全に伸びなくなったり、曲がらない状態になったりした場合は注意が必要です。
ほかにも、腫れ(関節水腫)によって痛みと張りが強くなり動かせなくなる可能性もあります。

いずれの場合も、自力で動かせない状態を放置するのは危険です。無理に動かそうとすると、症状や損傷が悪化することがあります。

膝の裏が「ピキッ」と痛くなった時のセルフケア

膝裏の痛みが軽度の場合、適切なセルフケアで症状の悪化を防げる場合があります。痛みの原因によってケアは異なりますが、膝への負担を減らし、炎症を鎮め、柔軟性を高めるといった基本的なアプローチが効果的です。

以下のセルフケアを試みつつも、痛みが悪化したり長引く場合は早めに専門医を受診しましょう。

  • ・安静に過ごし膝の負担を減らす
  • ・急性時は痛み部位を冷やす
  • ・適度に膝裏のストレッチやマッサージをする

ここでは、比較的軽い膝裏の痛みに対して、自分でできる対処法を紹介していきます。

安静に過ごし膝の負担を減らす

膝裏に痛みを感じたら、安静にして膝関節への負荷を減らすことが大切です。無理に運動や長時間の歩行を続けると、損傷や炎症が悪化する恐れがあります。

一時的に膝を伸ばして楽な姿勢で休めたり、可能であれば痛む脚を少し高く上げて横になったりしましょう。
また、体重をかけすぎないこともポイントです。歩行時は膝サポーターや杖を使ったり、痛みが強い場合は松葉杖を使ったりするといいでしょう。

ただし、安静とはいえ過度な長期安静は筋力低下を招くため、痛みが和らいだら次第に軽い運動を再開することも大切です。

急性時は痛み部位を冷やす

膝裏の痛みが現れた急性期(受傷直後や炎症が強い間)には、患部を冷やすことで痛みと腫れを和らげられます。
冷やすことで血管が収縮し、内出血や炎症の広がりを抑える効果が期待できます。

具体的には、氷嚢や冷却パックをタオルでくるんで膝裏に当て、15〜20分程度を目安に冷却するといいでしょう。これを1日に数回、痛みや腫れ具合に応じて繰り返します。

痛みが強い初期は、冷やしたり、休めたりして過ごすのが基本です。
ただし慢性的な膝裏の痛み(例えば変形性膝関節症の慢性期など)では、冷やすより温めた方がいい場合もあります。

急性の痛みか慢性的な痛みか判断が難しい場合は、自己判断せず医師に相談してみましょう。

適度に膝裏のストレッチやマッサージをする

痛みが落ち着いてきたら、膝裏周辺の筋肉をやさしくほぐすストレッチやマッサージを、無理のない範囲で行うとよいでしょう。膝裏にあるハムストリングス(太もも裏の筋肉)が硬くなると、膝の曲げ伸ばしに支障をきたし痛みの一因となることがあります。

ストレッチによって筋肉の柔軟性を高め、血行を促進することで、膝関節の動きが滑らかになり、痛みの軽減につながる場合があります。ただし、ストレッチやマッサージは痛みが和らいできた段階で行うものです。

セルフケアを続けても痛みが改善しない場合や、ストレッチ中に痛みが再び強くなる場合は、何らかの治療が必要な可能性もあるため医師に相談しましょう。

関連記事:膝が痛い方にはストレッチがおすすめ!寝ながら・座りながらの簡単ストレッチ4選

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膝裏の痛みが続く場合は病院に受診しよう

セルフケアを試みても膝裏の痛みが長引く、繰り返す、もしくは徐々に悪化しているようなら、我慢せず病院で診察を受けましょう。

整形外科やひざ専門のクリニックでは、MRI検査を行い痛みの原因を詳しく調べてくれます。MRIなら半月板や靭帯の損傷、軟骨のすり減り具合、血栓や腫瘍の有無まで把握でき、適切な治療方針の決定に役立ちます。

適切な診断と治療で、痛みのない健やかな膝を取り戻しましょう。当院でもMRIひざ即日診断を受け付けていますので、お気軽にご相談ください。

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