半月板損傷の重症度はどう見極める?グレード分類と段階別の治療・回復期間の目安

半月板損傷の重症度はどう見極める?グレード分類と段階別の治療・回復期間の目安

更新日:2026.07.21

膝を深く曲げたときの痛みや、関節に何かが挟まるような引っかかり感。
半月板損傷と言われたものの、ご自身の状態がどのくらい重いのか分からず、不安を感じていませんか。この損傷は、傷の大きさや部位、形によって重症度が分かれ、それに応じて治療法や回復までの期間も変わってきます。
この記事では、半月板損傷の重症度がどのように決まるのかを、MRIによるグレード分類や段階別の症状、治療方針と回復期間の目安とあわせて解説します。ご自身の半月板損傷の重症度を理解し、適切な対応を考える手がかりとして、ぜひ参考にしてみてください。

半月板損傷の重症度は何で決まるのか

半月板損傷の重症度は、損傷の大きさ・損傷した部位・断裂の形という3つの要素によって、総合的に判断されます。

「重症度」と一口に言っても、痛みの強さだけで決まるわけではありません。症状が軽くても損傷が進んでいることもあれば、その逆もあります。まずは、重症度がどのような要素で評価されるのかを整理しておきましょう。

そもそも半月板とはどのような組織か

半月板(はんげつばん)とは、太ももの骨(大腿骨:だいたいこつ)とすねの骨(脛骨:けいこつ)の間にある、C字形をした軟骨組織です。膝の内側と外側に1つずつあり、衝撃をやわらげるクッションの役割と、関節を安定させる役割を担っています。

この組織が傷つくと、痛みや腫れ、膝の引っかかり感、ロッキング(膝が急に動かなくなる症状)などが起こることがあります。半月板損傷そのものの症状や原因の全体像については「半月板損傷の症状・検査・治療の総合ガイド」で詳しく解説しています。

重症度を左右する3つの要素

半月板損傷の重症度を考えるうえで、医療現場では主に次の3点が見られています。

・損傷の大きさ(断裂が小さくとどまっているか、広い範囲に及んでいるか)
・損傷した部位(半月板の外周部(関節包に近い部分)は血流が比較的保たれているため修復しやすい一方、中央部は血流が乏しく自然治癒しにくいと考えられています。)
・断裂の形(縦・横・水平・変性など、どのように裂けているか)

なかでも血流の有無は、回復のしやすさに関わる重要な要素と考えられています。

半月板損傷の重症度を評価するグレード分類とMRI

MRIでは一般的にStoller分類(グレード0〜3)が用いられますが、この分類はMRI画像上の信号変化を示すものであり、半月板損傷の重症度そのものを表すものではありません。実際の治療方針は、MRI所見に加え、断裂の形や大きさ、部位、症状などを総合的に判断して決定されます。

レントゲン(X線)では骨は写りますが、軟骨である半月板は写りにくいという特徴があります。そのため、半月板の重症度を詳しく確認するにはMRI検査が用いられます。

MRIによるグレード分類(グレード0〜3)の考え方

MRIで見られる半月板の状態は、一般的にグレード0〜3の段階で評価されます。それぞれの目安は次の通りです。

・グレード0:信号変化がみられない、正常な状態
・グレード1:半月板の内部にとどまる、点状のわずかな変化
・グレード2:半月板の内部に線状の変化があるものの、表面までは達していない状態
・グレード3:変化が半月板の表面まで達しており、断裂と判断される状態

グレード1〜2は、加齢に伴う変性(へんせい)でも見られることがあり、必ずしも強い症状を伴うとは限りません。一方、グレード3は断裂として扱われ、症状が出やすい傾向があるとされています。

重症度を評価するときに見られるポイント

ただし、半月板の重症度は画像所見だけで決まるものではありません。画像上の変化に加えて、痛みの程度や膝の可動域(動かせる範囲)、引っかかりやロッキングの有無などをあわせて、医師が判断していきます。

そのため、同じグレードであっても、重症度は人によって異なります。最終的な診断は、画像検査だけでなく、問診や膝の動き・痛みの確認などを含めて総合的に医師が判断します。

重症度別にみる半月板損傷の症状の目安

半月板損傷の症状は、軽度・中等度・重度といった重症度の段階によって、現れ方や強さが異なる傾向があります。

ここでは、それぞれの重症度でみられやすい症状の目安を紹介します。症状の現れ方には個人差があるため、目安のひとつとして参考にしてください。

軽度のときにみられる症状

軽度の段階では、膝を深く曲げたときや、ひねる動作をしたときに、違和感や軽い痛みを感じる程度のことが多いとされています。

・しゃがんだときに膝の奥に違和感がある
・特定の動作のときだけ、膝の内側や外側が痛む
・運動の後に軽い腫れが出るが、安静で落ち着く

この段階では日常生活への支障が小さいため、受診をためらう方も少なくありません。しかし痛みが軽くても損傷が進むことはあるため、気になる症状が続く場合は早めに医療機関を受診することが大切です。

中等度でみられる症状

中等度になると、痛みが日常的になり、膝の動かしにくさを感じる場面が増えてくる傾向があります。

・歩行や階段の昇り降りで痛みが出る
・膝の曲げ伸ばしがスムーズにいかない
・膝に水がたまる(腫れが繰り返す)

膝に水がたまる症状については、▶膝に水がたまる原因と対処法でも触れています。こうした症状が続く場合は、保存療法に加えて、より詳しい検査が検討されることがあります。

重度・見逃したくない重症のサイン

重度の損傷では、断裂した半月板が関節内に挟まり、膝の動きが大きく制限されることがあります。

特に注意したいのが、ロッキングと呼ばれる症状です。これは膝が急に動かなくなり、曲げ伸ばしができなくなる状態を指します。ロッキングが起きる場合、損傷した組織が関節内で引っかかっている可能性が考えられ、重症のサインの一つとされています。ロッキングは重症例でみられる代表的な症状の一つですが、重症でも起こらない場合があり、逆に比較的小さな断裂でも断片が関節内で挟まることで生じることがあります。

ロッキングの詳しい仕組みは、▶半月板損傷で起こる膝のロッキングとはで解説しています。

歩くのがつらい、膝が伸びない・曲がらない、強い腫れが引かないといった症状がある場合は、自己判断で様子を見ず、速やかに医療機関を受診しましょう

半月板損傷 重症度別の治療方針と回復期間の目安

半月板損傷の治療法は重症度に応じて選択され、回復までの期間も、軽度か重度かによって変わってきます。

ここでは重症度別に、どのような対応が選ばれやすいか、回復の目安とあわせて見ていきます。治療法そのものの詳しい内容は、▶半月板損傷の保存療法から手術療法までの解説をご覧ください。

軽度:保存的な対応と回復期間の目安

軽度の半月板損傷では、まず手術をせずに経過をみる保存療法が選ばれることが多いです。安静や投薬、リハビリテーションなどを組み合わせ、炎症を抑えながら膝の機能の回復を図ります。

回復期間には個人差がありますが、軽度であれば1〜3ヶ月程度が一つの目安とされています。ただし、痛みが軽くなっても損傷そのものが元通りに修復しているとは限らないため、自己判断で中断せず、医師の指示のもとで進めることが大切です。リハビリの具体的な方法は、▶半月板損傷のリハビリで行うべき方法で紹介しています。

中等度〜重度:手術が検討されるケースと回復の流れ

保存療法で改善が見られない場合や、ロッキングなどで日常生活に支障が出ている場合には、手術が検討されることがあります。手術には縫合術や切除術などがあり、どの方法が選ばれるかは損傷の状態によって異なります。それぞれの内容は、前述の関連記事で詳しく解説しています。

手術を行った場合、スポーツへの復帰までは4〜6ヶ月程度が目安とされることが多いですが、損傷の程度や手術の内容、リハビリの進み具合によって幅があります。どの治療が適しているかは、重症度や生活への支障の度合いをふまえて、医師と相談しながら決めていくことになります。

部位・原因による重症度の違い

同じ半月板損傷でも、損傷した部位や原因によって、症状の出方や経過に違いがみられます。

重症度を理解するうえでは、「どこを」「なぜ」傷めたのかという視点も参考になります。

① スポーツによる「外傷性損傷」

激しい着地や急ストップなどでひざに強い力が加わって起こるもので、若い世代に多くみられます。外傷性損傷では内側・外側のいずれにも起こります。特にACL損傷では外側半月板損傷を伴うことが多く、日本人では円板状半月板が比較的多いことから外側半月板損傷がみられるケースもあります。

② 加齢による「変性断裂」

長年の使用によって半月板がもろくなり、日常生活の何気ない動作の中で少しずつ傷んでいくもので、中高年以降に多くみられます。ひざの内側は外側に比べて動きが小さく体重の負担が集中しやすいこと、また日本人はO脚気味の人が多いことから、年齢によるすり減りでは「内側半月板」を痛めるケースが多いです。

若い人のスポーツによる怪我であれば、受傷した瞬間に強い痛みや腫れが出るためすぐに気づけます。しかし、中高年以降の「変性断裂」は、はっきりとしたケガの記憶がないまま、気づかないうちに進行していることが少なくありません。

ひざの内側・外側のどちらに痛みがあるか、そしてどの重症度にあるかによって、リハビリで様子を見るか、手術を検討するかの治療方針が大きく変わります。「年齢のせいだから」と放置せず、違和感が続く場合は一度整形外科でしっかりとした検査を受けておくと安心です。

当院の半月板損傷へのアプローチ

ひざ関節症クリニックでは、MRIを用いた検査と専門医の診察によって膝の状態を確認し、再生医療を中心とした治療を提供しています。

半月板損傷は、重症度や生活への影響によって適した対応が異なります。まずはご自身の膝が今どのような状態にあるのかを正確に知ることが、治療を考える第一歩になります。

MRIひざ即日診断と専門医による状態のご説明

当院では、MRIひざ即日診断によって膝の状態を確認し、その場で専門医が画像をもとに、今の膝の状態と今後の見通しをわかりやすくご説明しています。半月板損傷と言われたものの自分の重症度がよく分からない、という方も、まずはお気軽にご相談ください。

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PRP-FD・培養幹細胞治療という選択肢

当院は再生医療を専門とするクリニックです。再生医療には、ご自身の血液を活用するPRP-FD(PCF-FD™)治療や、ご自身の脂肪由来の細胞を用いる培養幹細胞治療があります。いずれも関節への注射によって、関節内の炎症やダメージへアプローチし、膝の痛みや機能改善が期待される治療として注目されています。

再生医療は、保存療法と手術療法の間に位置づけられる選択肢の一つです。効果の現れ方には個人差があり、自由診療となるため費用は医療機関によって異なります。手術はできるだけ避けたいという方にとって、治療をあきらめる前に検討できる選択肢の一つと考えられます。再生医療の内容や種類については、▶再生医療の種類と特徴の解説で詳しくご紹介しています。

まとめ|半月板損傷は重症度に応じた早めの対応が回復への近道

半月板損傷の重症度は、損傷の大きさ・部位・断裂の形という3つの要素によって決まり、MRIのグレード分類や症状の現れ方をもとに軽度〜重度に分けて判断されます。重症度に応じて保存療法から手術まで治療方針や回復期間の目安も異なるため、痛みや引っかかりが続くときは、自己判断で様子を見ず早めに検査を受けることが大切です。

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よくある質問

半月板損傷は重症度によってどのくらいで治りますか?

回復期間は重症度や治療法によって異なります。軽度で保存療法の場合は1〜3ヶ月程度、手術を行った場合はスポーツ復帰まで4〜6ヶ月程度が一つの目安とされています。ただし、組織の修復の進み方には個人差があるため、医師と相談しながら経過をみていくことが大切です。

MRIでグレード2と言われました。手術は必要ですか?

一般的にグレード2は、変化が半月板の表面まで達していない状態を指すことが多く、すぐに手術が必要になるとは限らないとされています。まずは保存療法が検討されることが多いですが、症状の強さによって対応は異なるため、専門医の診察を受けて判断することをおすすめします。

半月板損傷の重症度が高いと必ずロッキングが起きますか?

必ず起きるわけではありません。断裂した半月板が関節内に挟まらなければ、損傷があってもロッキングが起きないこともあります。一方で、損傷が比較的小さくても、はがれた組織が動くことでロッキングが生じるケースもあります。

加齢による半月板の変性も重症度に含まれますか?

加齢に伴う変性も、MRI上ではグレード1や2として評価されることがあります。変性による断裂は急な強い痛みを伴わないこともありますが、放置すると進行する場合があるため、膝の不調が続くときは一度検査を受けておくと安心です。

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