膝に水が溜まったらすぐ抜くなどの対処を! 専門医が理由を解説

膝に水が溜まったらどうすべき? 専門医が原因と対処法を解説

公開日:2022.02.14
更新日:

膝の痛みにお悩みの方によく見られる “膝に水が溜まる” という現象。なぜこのようなことになるのか? もしなった場合、どう対処すべきか? 痛みを早く取り除くためにぜひ押さえておいていただきたいポイントを、専門医が解説します。

情報提供医師

武藤 真隆 医師

武藤 真隆 医師(名古屋ひざ関節症クリニック 院長)

日本整形外科学会認定 専門医

「膝の水」とは何か?

膝の水とはそもそもどういうものか? どうして溜まってしまうのか?
まず前段として、こうした点をわかりやすく解説します。

膝関節の構造

膝関節の構造

関節とは、一言で言うと骨と骨のつなぎ目です。身体を自由に動かすには、このつなぎ目がスムーズに動かなくてはいけません。そのため、関節には動きをスムーズにする様々な工夫が施されています。
例えば、骨の先端部は軟骨というスベスベした組織で覆われていますし、骨と骨の間には軟骨成分でできた半月板というクッション材も存在します。加えて、関節全体は関節包という袋で包まれており、その内側は滑膜という、これもまたスベスベした膜で覆われています。さらにその膜の中は、関節液というヌルヌルと少し粘り気のある液体で満たされています。
このように、膝関節内部は、滑らかな動きを可能にし、衝撃から膝を守るための仕組みが何重にも備わっているのです。

「膝の水=関節液」とは?

膝の水は「関節液」という液体です。関節液には、関節の動きを滑らかにする潤滑油の役割と、軟骨組織に栄養を届ける役割があります。
関節液はどなたの膝の中にも存在しますが、「膝に水が溜まる」のは、その量が異常に増えてしまった状態と考えてください。通常1〜3mL程度なのですが、多い人だと30mL以上にまで増えてしまうことがあります。
関節液の量を調節するのは滑膜です。滑膜は、新しい関節液を作って分泌すると同時に、古い関節液を回収する働きを担っています。なんらかの理由でこの新陳代謝のバランスが崩れ、関節液の回収が追いつかなくなった時、膝に水が溜まります。

関節液の役割

膝に水が溜まる原因は炎症

関節液の新陳代謝がうまくいかなくなるのは、滑膜の炎症に起因することがほとんどですが、中高年の方の場合、原因疾患として最も多いのは変形性膝関節症です。軟骨組織がすり減り、そのかけらが滑膜を刺激して炎症を引き起こします。
このほか、リウマチや通風、半月板や靱帯の損傷などがきっかけになることもあります。

膝の水を抜くとクセになる?

膝の水が溜まりすぎた場合に炎症が起こる仕組み

膝の水を抜くとクセになるので抜きたくないとおっしゃる方が時々いらっしゃいますが、それは間違いです。
何度抜いても水が溜まるという場合、それは膝の炎症が続いているからであって、抜くこと自体が悪影響を与えているわけではありません。逆に溜まった水を放置すると、水の中に含まれるサイトカインが炎症と痛みをさらに悪化させる恐れがあります。
ですから、必要以上に膝の水が溜まりすぎた場合には、なるべく早めに水を抜いてあげて、それと同時に水が溜まる原因を突き止めて、その原因を素早く取り除くことが大切です。

膝の水は自然に治るの? 解決法は?

必要以上に膝の水がたまりすぎた場合には、まずは水を抜いてください。水を抜くことで、膝の腫れや重だるさといった症状がまず緩和されます。同時に抜いた関節液の状態を確認したり、必要に応じてMRIの撮影を行うなどして関節内部の状態を正しく把握します。そうして水が溜まる原因を突き止めた上で、その原因に即した治療を行うことが重要です。
放置しても、自然に解決することはありません。

膝の水のセルフチェック法

膝に水がたまると、膝全体に腫れぼったさが出たり、重苦しくだるい違和感が生じます。たまった水の量が多いと、膝の曲げ伸ばしもしづらくなるでしょう。そんな症状を覚えたら、水が溜まっているかどうかセルフチェックしてみてください。
まず膝を伸ばして床に座り、片方の手で膝の少し上を膝のお皿の方に向かって押さえます
次に、もう片方の手でお皿の骨を軽く押します
もし水が溜まっていれば、異物感(膝の中に何かあるような、お皿の骨が浮くような感じ)があります。

膝の水のセルフチェック法

膝の水に対するセルフケアはOK?NG?

膝に水が溜まったかもしれないと気づくと、今すぐ何かしないと!と不安になる方も多いでしょう。ただ、良かれと思って行った対処が逆効果になってしまうこともあります。
例えば、温める or 冷やすという処置です。原因が膝のケガによるもので急性期であれば、冷やす処置が正解で温めるのは厳禁。逆に変形性膝関節症などの慢性疾患の場合、冷やすと痛みの症状なども悪化しかねないため、温めるのが正解です。ちなみに湿布は消炎鎮痛効果を得ることが目的なので、温湿布でも冷湿布でもさほど違いはありません。
マッサージも血流改善の効果は期待できますが、膝関節の炎症の原因になる疾患も様々あり、ケガなどの場合は正しくマッサージを行わないと損傷を悪化させる可能性も考えられます。まずは病院を受診して水を抜き、原因に沿った治療法やセルフケア方法を医師に確認することをおすすめします。

抜いた水の状態と予測される原因

炎症の原因は、水の色や状態を見させていただくことでおおよそは特定できます。
正常な関節液は黄色みのある透明ですが、変形性膝関節症が原因の場合、その黄色がやや濃くなります。
水の色が赤い、もしくは褐色の場合は、骨折、半月板損傷、靱帯断裂等の外傷で内出血が原因であることも多いです。
白濁しているときは、感染症や痛風を疑います。

■抜いた水の色と考えられる原因

抜いた水の色 考えられる原因
褐色・赤色 骨折、半月板損傷、
靭帯損傷などの外傷
白濁色 感染症、痛風
濃い黄色で透明 変形性膝関節症

膝の水を抜いた後の注意点

「膝の水を抜いても痛みが消えない」とご相談いただくことがあります。先にもお伝えした通り、膝の水を抜くことで、腫れや重だるさの改善は図れます。ただし、根本的な原因である関節炎の治療を行わなければ痛みは改善されません。一時的に楽にはなるかもしれませんが、炎症を起こしていれば膝の痛みも水たまりも再発します。
そして、膝の水を抜いた後に痛みが引かない事象には、もうひとつ考えられる理由があります。それは、感染です。処置を行ってから数時間は注射針を刺した痛みが残りますが、自然に消えていきます。しかし、何時間たっても痛みが残ったり発赤や熱を帯びたりした場合は、処置の際に体外の細菌に感染した疑いがあるため、病院を受診することをおすすめします。

原因を特定するのに有効なMRI検査

「膝に水が溜まる」と一口に言っても、元になっている原因は様々です。原因を特定して適切な治療を行わない限り、炎症は収まらず、何度抜いても水は溜まり続ける可能性があります
その原因を突き止めるために、当院ではMRI検査を重視しています。MRI検査では、膝を構成する様々な組織の状態を細かく把握することが可能です。
以下に掲載したのは、実際に水が溜まった膝のMRI画像と、その状態を解説した動画です。
当院では、このような適応診断に基づいた治療を行っています。詳しくは以下のMRIひざ即日診断をご覧ください。
MRIひざ即日診断

長期間膝痛に悩まされている方、何度も膝に水が溜まるとお困りの方は、ぜひ当院にご相談ください。

はじめてのご来院

コラムのポイント

  • 膝に水が溜まる原因は滑膜の炎症
  • 膝に水が溜まった場合は、早めに水を抜く必要がある
  • 自然治癒はしないため、原因の特定と適切な治療が必要

人工関節以外の新たな選択肢
「再生医療」

変形性膝関節症の方、慢性的なひざの
痛み
にお悩みの方は是非ご検討ください。

よくある質問

膝に水が溜まったときに自分でできる対処法はありますか?

アイシングやサポーター、筋トレ・ストレッチ、マッサージなどがありますが、まずは病院の受診をおすすめします

自分で簡単にできる対処法もネットで紹介されていますが、原因によっては逆効果になることも考えられます。次のような対処法がありますが、できればまずはお近くの整形外科の受診をおすすめします。

■患部をアイシングする(冷やす)
患部のアイシングは急性期(ケガをした直後)の炎症を抑える効果があります。保冷剤や氷嚢を使って、痛みのある部分を冷やしましょう。

■サポーターを着ける
サポーターは、ひざにかかる負担の軽減し、痛みを抑える効果が期待できます。
サポーターに関しては以下のコラムも参考にご覧ください。
膝サポーターは変形性膝関節症に効果的?【効果・選び方・デメリット】

■筋トレ・マッサージ
マッサージの血行促進効果により、痛みの軽減が期待できます。太ももやお尻のマッサージが効果的です。
マッサージや筋トレについては以下のコラムもご参考にご覧ください。
【動画で解説】膝が痛いときのおすすめマッサージ

ひざに水か溜まっているときに、自覚症状はありますか?

自覚症状としては、以下が考えられます。
・膝に痛みを感じる
・腫れや熱感がある
・膝のお皿に違和感(ぷかぷか浮いたような感覚)がある
また、炎症が強い場合は微熱が出ることも考えられます。違和感があれば、なるべく早めに整形外科へ受診しましょう。
当院でも、原因の特定ができるMRI検査と、専門医による診断が受けられる「MRIひざ即日診断」をご用意しております。以下よりぜひお問い合わせください。
MRIひざ即日診断

膝に溜まった水は放置するとどうなりますか?

放置してしまうと、膝の炎症と痛みがさらに悪化する可能性があります。

「膝の水を抜くとクセになる」と一部では言われており、水を抜かずに放置すべきか、お悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
膝から何度抜いても水が溜まるのは炎症が続いているためで、水を抜くこと自体が膝に悪影響を及ぼすことはないのでご安心ください。むしろ、膝の水が溜まりすぎた場合に放置してしまうと、水の中に含まれるサイトカインが炎症と痛みをさらに悪化させる恐れがあるため、膝の水はなるべく早めに抜くようにしましょう。

膝の水を抜くだけでは根本的な問題解決にはなりません。水の量を正常な状態に戻すとともに、根本的な原因への対処が必要です。膝に水が溜まったら、自己判断で放置せず、早めの段階で診察を受けていただくことをおすすめします。

当院ではMRIひざ即日診断を行っておりまます。膝の炎症の原因特定にMRI検査は不可欠ですので、ぜひ一度検査を受けていただくことをおすすめします。

MRI検査の詳細はコチラ
MRIひざ即日診断

ウォーキングは変形性膝関節症で、膝に水が溜まるのを防ぐのに有効ですか。

膝に水が溜まるのを直接防ぐことはできませんが、変形性膝関節症の症状の緩和や予防には効果が期待できます。

痛みがない、あるいは歩行時痛が軽度であればウォーキングは推奨できます。
ウォーキングにより膝を支える筋力の増強、体重減少などの効果が期待でき、このことは膝への負担軽減につながるからです。
ただし、坂道や階段の昇降は避けるようにしましょう。また痛みが激しい場合は無理をしないでください。

<ウォーキング時のポイント>
①背筋を伸ばし、アゴを少し引き、目線を5〜6mを見る。
②軽くお腹を引き締めて歩きはじめる。
③歩幅は、足が着地する際に膝が曲がる程度になるように意識する。
④足はかかとから着地し、そのまま親指の付け根に体重を移動させるように動かす。
⑤腕は足の動きに合わせて軽く振る
⑥首はまっすぐに保って揺らさないように意識する。

歩き方を間違えると変形性膝関節症の症状を悪化させてしまい、膝に水が溜まるのが早まってしまう可能性があるので、正しい姿勢で負担がかからない程度のウォーキングがおすすめです。

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