膝裏がぽっこり腫れる原因は?ベーカー嚢腫など考えられる病気と治し方・受診の目安

膝裏がぽっこり腫れる原因と治し方、受診の目安をわかりやすく解説します。

更新日:2026.06.24

膝の裏に、ぽっこりとしたふくらみがある。
曲げると突っ張る感じや、コブのようなしこりに触れる。
「いつのまにか膝裏に丸い腫れがある」と気になっていませんか?
膝裏のぽっこりした腫れは、ベーカー嚢腫(のうしゅ) の可能性があります。膝の関節液が裏側の袋に溜まり、コブのような膨らみができる状態です。多くは強い痛みを伴いませんが、変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)などの病気が背景にあるケースも少なくありません。
本記事では、膝裏がぽっこり腫れる原因と治し方、受診の目安をわかりやすく解説します。

膝裏がぽっこり腫れる代表的な原因「ベーカー嚢腫」

膝裏のぽっこりした腫れで、まず考えたいのがベーカー嚢腫(のうしゅ)です。多くは中高年に起こりますが、年齢に関係なく発症することがあります。

ここでは、ベーカー嚢腫の正体と、初期に出やすい症状、背景にある膝の病気との関係を順に整理します。

ベーカー嚢腫とは

ベーカー嚢腫とは、膝の裏側にある滑液包(かつえきほう:関節の動きを滑らかにするための袋状の組織)に関節液が過剰に溜まり、コブのようなふくらみができた状態です。

膝関節は関節包(かんせつほう)という袋で包まれ、内部は関節液で満たされています。何らかの原因で関節内に炎症が起こると関節液が増え、その圧力で膝裏の滑液包に液体が押し出されるとされています。これが膝裏でピンポン玉のようなしこりとして触れるようになります。

ふくらみの大きさは、米粒ほどの小さなものから、ゴルフボール大まで幅があります。柔らかく弾力があり、膝を伸ばすと張りが強くなる傾向があります。

初期は痛みが出にくく、違和感や張り感から始まる

ベーカー嚢腫の初期は、強い痛みを伴わないことが多いとされています。「曲げると裏側が突っ張る」「正座やしゃがみ込みがしづらい」「膝裏に違和感がある」といった、軽い症状から始まる傾向があります。

ふくらみが大きくなると、周囲の筋肉や血管・神経を圧迫し、鈍い痛みやだるさが現れることがあります。まれに嚢腫が破裂し、内部の液体がふくらはぎ側に漏れ出ると、急な腫れや熱感、強い痛みが生じるケースもあります。

「痛くないから大丈夫」と放置してしまいがちですが、ふくらみが続く場合は、背景にある膝の病気の有無を確認しておくことが大切です。

多くは変形性膝関節症など膝の病気に伴って起こる

ベーカー嚢腫の多くは、単独で起こるのではなく、膝関節内の別の病気に伴って二次的に発生するとされています。代表的な背景疾患は、変形性膝関節症や半月板損傷(はんげつばんそんしょう)です。

これらの疾患では、軟骨のすり減りや組織の損傷によって関節内に慢性的な炎症が生じやすくなります。炎症で関節液の分泌が増え、その液が膝裏に押し出されることで、ベーカー嚢腫が形成されると考えられています。

つまり、膝裏の腫れだけを抜いても、背景の病気が残っていれば再発しやすい点に注意が必要です。腫れの原因を正確に把握するためには、医療機関での診察をお勧めします。

ベーカー嚢腫以外で膝裏がぽっこりする原因(症状の出方別)

膝裏のぽっこりとしたふくらみは、ベーカー嚢腫だけが原因ではありません。しこりの硬さ・痛みの有無・出ている側によって、疑われる原因が変わります。

ここでは、症状の出方別に代表的な原因を3つに分けて整理します。当てはまるタイプから読み進めてください。

痛みのないむくみが両側にあるとき:リンパ・水分の滞り

「膝裏が左右ともふっくらして見える」「夕方になるとパンパンに張る」など、痛みを伴わない両側のむくみは、リンパや水分の滞りによる可能性があります。

膝の裏には膝窩(しっか)リンパ節と呼ばれるリンパの通り道があります。長時間の立ち仕事や運動不足、冷えなどで流れが滞ると、周辺に水分が溜まりやすくなるとされています。皮膚を指で押すとへこみが残るタイプのむくみは、この傾向が強い特徴です。

このタイプは、休息や軽い運動、入浴で改善することが少なくありません。ただし、片足だけ急に腫れた、強い痛みや熱感を伴う場合は、別の病気が隠れている可能性があるため、自己判断で放置せず医療機関で確認することが大切です。

硬く触れるしこりが片側にあるとき:ガングリオン・脂肪腫

片側だけ、コリッとした硬めのしこりがある場合は、ガングリオンや脂肪腫(しぼうしゅ)など、関節液とは別の腫瘤が考えられます。

ガングリオンは、関節や腱の周りにできるゼリー状の液体が詰まった袋で、米粒大からピンポン玉大まで大きさは様々です。脂肪腫は皮下の脂肪組織にできる良性のしこりで、触ると柔らかく動きやすい性質があります。いずれも痛みが少ないものの、神経を圧迫するとしびれや違和感が出ることがあります。

ベーカー嚢腫との見分けは、触診や超音波(エコー)検査で判別できる場合が多いとされています。ふくらみが大きくなる、硬くなる、しびれが広がるといった変化があれば、整形外科を受診することをおすすめします。

動かすと違和感が出るとき:変形性膝関節症・半月板損傷で関節液が増えるケース

膝を曲げ伸ばしすると膝裏に違和感、傷みが出るが出る、引っかかるような感じがある場合は、半月板損傷が背景にある可能性があります。

半月板は、膝関節の中でクッションの役割を担う軟骨組織です。スポーツや日常動作の繰り返し、加齢などで損傷すると、関節内で炎症が起こり、関節液が過剰に分泌されることがあります。その液が膝裏に押し出され、ベーカー嚢腫として腫れて見えるケースも少なくありません。

なお、半月板損傷に限らず、変形性膝関節症など膝関節内に慢性的な炎症を起こす病気でも、同じように関節液が増えて膝裏に腫れが現れることがあります。

このタイプでは、膝裏のふくらみだけでなく、曲げ伸ばし時の引っかかり、膝が伸びきらない感じなど、関節内のトラブルを示すサインが同時に出ていることがあります。

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膝裏がぽっこりしているときの直し方|症状の強さで判断する対処と受診の目安

膝裏のぽっこりとしたふくらみへの対処は、症状の強さによって優先順位が変わります。痛みのない違和感だけのときと、痛みや熱感を伴うときでは、取るべき行動が異なります。

ここでは、自分で様子を見てよい範囲と、すぐに受診すべきサインを切り分けて解説します。

痛みがないとき:負担を減らして経過を見る

ぽっこりとしたふくらみはあるものの痛みや熱感がない場合は、膝に負担をかけない過ごし方を心がけながら、しばらく経過を見るのが基本です。

正座や深いしゃがみ込みなど、膝を強く曲げる姿勢は嚢腫を圧迫しやすく、違和感が強まることがあります。立ち仕事や歩行が長くなる日は、こまめに休憩を挟み、膝を伸ばして横になる時間をつくると、関節内の圧が抜けやすくなります。

軽い負担調整でふくらみが小さくなることもあるとされています。ただし腫れが大きくなる・痛みが出てきたといった変化があれば、自己判断で続けず医療機関で確認することをおすすめします。

張り・違和感や軽い痛みがあるとき:冷却・安静と避けたい動作

膝裏のぽっこりとした腫れに張り感や軽い痛みがあるときは、冷却と安静を優先します。

腫れや熱感がある日は、タオル越しに10〜15分を目安に冷やし、痛みが強い動作はいったん控えてください。階段の上り下り、長時間の立ちっぱなし、重い荷物を持っての歩行は、膝裏に圧をかけやすい動作です。

避けたいのは、痛みのあるぽっこりとした膝裏を無理にマッサージで押し込むことです。嚢腫の壁に強い力が加わると、内部の圧が高まり破裂につながる可能性があるため、自己判断で強い刺激を加えないことが大切です。痛みが続く場合は、整形外科の受診をおすすめします。

こうなったらすぐ整形外科へ(緊急サイン)

次のような症状があるときは、自己判断で様子を見ず、速やかに整形外科を受診してください。

✅ ぽっこりとしたふくらみが急に大きくなった、または急に痛みが強くなった
✅ 膝裏だけでなくふくらはぎまで腫れが広がり、熱感や赤みがある
✅ 触ると熱を持ち、皮膚が赤くなっている
✅ 膝が伸びない・曲がらない、引っかかって動かない
✅ 足のしびれや力の入りにくさがある

特に膝裏のぽっこりにとどまらず、ふくらはぎまで腫れて熱感や赤みを伴う場合は注意が必要です。深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう:エコノミークラス症候群)などとの見分けが欠かせません。息苦しさや胸の痛みを伴うときは、迷わず救急受診してください。

受診したら何が行われる?(触診・超音波・MRI)

整形外科を受診すると、まずは触診でぽっこりとした膝裏のふくらみの位置・硬さ・大きさを確認します。次に、超音波(エコー)検査で内部に液体が溜まっているか、嚢腫の壁の状態はどうかを評価します。

医療機関では、診察(視診・触診・エコーなど)を組み合わせて状態を評価していきます。症状によっては、MRIなどさらに詳しい検査をすることになる可能性もございます。

当院では、MRI画像等用いて、痛みの原因を詳しく診断する「MRIひざ即日診断」をご用意しています。膝裏の腫れが続いてお悩みの方は、医療機関への相談をご検討ください。

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整形外科での治療の選択肢

膝裏のぽっこりした腫れの治療は、原因と症状の強さに応じて段階的に選びます。多くの場合、まずは保存療法から始め、改善が得られない場合に手術を検討する流れです。

ここでは、保存療法・手術療法、そして慢性的な膝の痛みに対する選択肢としての再生医療について、目的と限界を順に整理します。

保存療法(薬・関節液吸引・運動療法・体重管理)

保存療法は、膝関節の炎症を抑え、原因となる病気の進行を緩やかにすることを目的とした治療です。膝裏の腫れに対しても、まず第一選択となります。

具体的には、消炎鎮痛薬の内服、サポーターによる固定、膝裏の嚢腫内に溜まった関節液を注射器で吸引する処置などが行われます。あわせて、運動療法や体重管理が並行して指導されることが一般的です。これらは変形性膝関節症をはじめとする膝の病気に対し、ガイドラインで推奨される第一選択として位置づけられています。

ただし、保存療法には限界もあります。関節液を吸引しても背景の炎症が残っていれば再び液が溜まるケースが少なくないとされ、根本的な改善には背景疾患そのもののコントロールが欠かせません。痛みがぶり返す、ふくらみが繰り返す場合は、治療方針の見直しが必要です。

手術療法

保存療法を続けても症状が改善しない場合や、嚢腫が大きくなって神経や血管を圧迫し、強い痛みやしびれ、歩行障害が出ているときには、手術療法が検討されます。

手術には、嚢腫そのものを切除する方法と、関節鏡(かんせつきょう)を用いて膝関節内の原因病変を治療する方法があります。近年は、嚢腫だけを切除しても背景疾患が残れば再発しやすいため、関節鏡視下手術で原因となっている半月板損傷や滑膜の炎症を同時に治療する方針が一般的とされています。

手術療法の限界としては、入院やリハビリが必要で、体への負担が大きい点が挙げられます。仕事や家事への復帰までに時間がかかること、術後に痛みや可動域制限が残る場合があることも、事前に理解しておきたいポイントです。「できれば手術は避けたい」と考える方には、次に紹介する選択肢を含めて検討する余地があります。

慢性的な膝痛に対しての選択肢としての再生医療

「手術はできるだけ避けたい」「保存療法だけでは改善が難しい」——このような方に、選択肢のひとつとして検討される治療法が再生医療です。再生医療は一般に、関節内で起きている炎症やダメージによる痛みの改善を目的に、膝関節包へ直接注射を行う治療です。ご自身の血液や細胞を用いるため拒絶反応のリスクは低いとされ、日帰りで実施できます。炎症の抑制や組織の修復への作用があり、保存療法・手術と並び、膝痛治療の選択肢の一つとして検討されます。

膝裏のぽっこりした腫れが繰り返し起こる場合、その背景に変形性膝関節症や半月板損傷など関節内の炎症が隠れていることがあります。
原因となる疾患によって治療法は異なりますが、膝の痛みや炎症に対しては、再生医療という選択肢があります。

再生医療は自由診療のため、費用は医療機関によって異なります。

また、どの治療にもいえることですが、治療効果には個人差があります。まずは医師の診察を受け、膝の状態や症状の原因を正しく確認したうえで、ご自身に合った治療法について相談することが大切です。

まとめ

膝裏の違和感を「年齢のせい」「そのうち治る」と放置すると、背景にある変形性膝関節症が進行し、数年単位で軟骨のすり減りが進んでいくケースもあります。気づいたときには歩行や正座に支障が出ていたというお話を伺うことも少なくありません。

ただ、「もう歳だから」「手術しかないと言われた」と諦める必要はありません。大切なのは、ご自身の膝の状態を正確に知り、医師と相談しながら適切な治療法を検討することです。当院では当院は再生医療を専門とし、手術を避けたい方のご相談にも親身にお応えしています。

当院でも膝裏の腫れや痛みの原因がわからないと、ご相談をいただくことが少なくありません。ご自身の膝の状態を正確に知ることが適切な治療の第一歩です。当院では、待ち時間なく膝の詳細な状態がわかる「MRIひざ即日診断」を実施しております。

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