「階段の上り下りで両膝が痛む」
「椅子から立ち上がる際に両膝が痛む」といったお悩みはありませんか。
片方だけでなく両膝に痛みや違和感が生じると、日常生活により大きな支障をきたしますよね。
両膝が同時に痛む場合、その背景には加齢に伴う軟骨の変化や生活習慣、あるいは全身性の疾患が隠れている可能性があります。放置して悪化させないためには、痛みの正体を知り、適切な対策を講じることが重要です。
本記事では、両膝が痛くなる主な原因や考えられる病気、自宅でできる予防法から、医療機関での治療選択肢まで詳しく解説します。痛みを諦めず、再びスムーズに歩ける毎日を目指すための参考にしてください。
目次
両膝が同時に痛むときに見られる症状と、片膝だけ痛むときとの違い
両膝が同時に痛む場合、特定の動作で痛みを感じることが多く、日常生活に支障をきたします。片膝だけの痛みとは異なる特徴や、左右対称に症状が出る際の見極めポイントを確認しましょう。
歩き始め・階段・正座
両膝の痛みを自覚する代表的な場面として、動作の開始時が挙げられます。例えば、朝起きて布団から出るときや、椅子から立ち上がろうとした瞬間に、両膝に重だるさや「ズキッ」とした痛みを感じることがあります。
また、階段の上り下りは平地を歩くよりも膝への負担が大きいため、両膝を交互に使う動作で痛みが強く出やすいのが特徴です。特に下りのほうが膝への衝撃を支える必要があるため、痛みを強く感じやすい傾向にあります。
正座のように膝を深く曲げる動作も、関節内部の圧力を高めるため、両膝に強い突っ張り感や痛みが生じやすくなります。
片方だけとの違い
片方の膝だけが痛む場合は、過去の怪我(靭帯損傷や半月板損傷など)や、仕事や趣味での偏った動作が引き金となっていることが少なくありません。
一方で両膝が同時に痛む場合は、加齢による関節の経年変化や、体重増加による負荷、O脚などの脚の形が関わっていることが多くなります。こうした「全身のバランス」に関連する要因が、強く影響している可能性が高いです。
片膝が痛むのをかばって生活しているうちに、反対側の膝に過度な負担がかかり、結果として両膝が痛くなるケースも多く見られます。左右のバランスが崩れると、歩行姿勢が乱れて腰や股関節など、他の部位にも痛みが波及する恐れがあるため注意が必要です。
左右対称に痛むとき
もし左右の膝が「全く同じ時期」に「同じような腫れや痛み」を持って現れた場合、単なる関節の摩耗だけでなく、炎症性の疾患を考慮する必要があります。
例えば、朝起きたときの足のこわばりが1時間以上続くような場合や、膝以外の手指などの関節も腫れている場合は、関節リウマチなどの免疫の異常が関係する疾患の可能性も否定できません。
両膝の痛みは、全身の状態を反映しているサインであることもあるため、「年だから仕方ない」と自己判断せず、症状の現れ方を慎重に観察することが大切です。
両膝が痛くなる主な原因
両膝が同時に痛む原因の多くは、長年の蓄積による膝への負担にあります。ここでは、主な3つの要因を詳しく見ていきましょう。
加齢による軟骨の変化
膝関節では、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の表面を「軟骨」が覆っており、クッションの役割を果たしています。しかし、軟骨は加齢とともに弾力性を失い、少しずつすり減っていく性質があります。
軟骨自体には神経が通っていないため、すり減り始めの段階では強い痛みを感じにくいのが特徴です。しかし、削れた軟骨の破片などが関節包の内側にある「滑膜(かつまく)」を刺激すると、炎症が起こると考えられています。この炎症が、膝の痛みの代表的な疾患である変形性膝関節症の症状の一因とされています。
変形性膝関節症は両膝に生じることも多く、加齢による変化や長年の負荷などが両膝に影響することで、両側に症状が現れる場合があります。
体重・筋力
膝は、歩行時や階段昇降時にかかる大きな荷重を支え続けています。体重が増えると、それだけ膝にかかる物理的な負担も増大します。一般的に、階段の昇り降りでは平地を歩くときよりも膝への負荷が大きくなるとされており、数キロの体重増加であっても膝にとっては大きな負担増となります。
同時に、膝を支えるための筋肉量も重要です。特に太ももの前側にある「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」が衰えると、関節にかかる衝撃を筋肉で吸収できなくなり、ダイレクトに軟骨や骨へ負荷が伝わってしまいます。
運動不足で筋力が低下し、一方で食事量が変わらず体重が増加するというサイクルは、両膝の痛みを悪化させる要因となります。
脚のかたち
日本人に多く見られる「O脚(内反膝)」も、両膝が痛くなる主要な原因の一つです。脚が外側に湾曲していると、歩く際に関節の内側にばかり荷重が集中します。
その結果、膝関節の内側の軟骨だけが早くすり減ってしまい、左右ともに内側の痛みが生じるようになります。こうした脚の形状は、長年の姿勢の癖や筋力バランスの偏りによって徐々に進行することが多いため、両膝同時に症状が出やすいのです。
また、靴の底がいつも外側ばかり減っているという方は、膝の内側に過度な負担がかかっているサインかもしれません。
両膝の痛みで考えられる主な病気
両膝の痛みを引き起こす病気にはいくつか種類があり、それぞれ治療法が異なります。代表的なものを挙げます。
変形性膝関節症
中高年の両膝の痛みで、頻度が高いとされるのが「変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)」です。
主な症状は、立ち上がりや歩き始めの痛み、膝に水が溜まる(関節水腫)、膝が完全に伸びきらない、といったものです。初期は休めば痛みが引きますが、進行すると常に痛みを感じるようになり、歩行が困難になることもあります。加齢や肥満、過去の怪我などが複合的に重なって発症します。
関節リウマチ
関節リウマチは、本来は外敵から体を守るための免疫システムが、自分自身の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。膝だけでなく、手指や足指の付け根、手首などの小さな関節に腫れや痛みが左右対称に出るのが大きな特徴です。
特に「朝のこわばり」が特徴的で、朝起きてからしばらくの間、体が動かしにくい状態が続きます。放置すると関節の破壊が進み、変形をきたす可能性があるため、早期の専門的な診断と治療が必要です。両膝の痛みとともに、微熱や倦怠感、他の関節の腫れがある場合は、この病気を疑う必要があります。
痛風・偽痛風
これらは、関節の中に「結晶」が溜まることで急激な炎症を引き起こす「結晶性関節炎」です。
痛風は血液中の尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続き、足の親指の付け根などに激痛が走ることで有名ですが、膝関節に起こることもあります。一方、偽痛風はピロリン酸カルシウムという結晶が沈着して起こり、特に高齢者の膝関節でよく見られます。
多くは片方の膝に突然の激痛や腫れが生じますが、稀に両膝同時に、あるいは交互に発症することもあります。これらは代謝の異常や加齢が背景にあるため、根本的な原因へのアプローチが必要です。
こんな症状は早めに受診を
両膝の痛みを「ただの疲れだろう」と放置している間に、症状が悪化する可能性があります。以下のサインがある場合は、早めの受診を検討しましょう。
すぐ相談したい症状
以下のような症状がある場合は、急性の炎症や重篤な疾患の可能性があるため、速やかに整形外科などの医療機関を受診してください。
- ・両膝が赤く腫れ上がり、熱を持っている
- ・両膝の激痛で一歩も歩くことができない
- ・両膝の痛みとともに、37.5度以上の発熱がある
- ・膝を動かすと、関節が引っかかるような強い引っかかり感(ロッキング)がある
- ・転倒や事故などの明らかな外傷の後に痛みが出た
特に発熱を伴う両膝の腫れは、関節内に細菌が入る「化膿性関節炎」などの緊急を要する病気の可能性もあるため、注意が必要です。
何科を受診するべき?
膝の痛みに関しては、まず「整形外科」を受診するのが一般的です。整形外科では、骨や軟骨、靭帯、筋肉などの運動器の専門的な検査を受けることができます。
もし検査の結果、関節リウマチなどの全身性疾患が疑われる場合には、リウマチ科や膠原病内科といった専門の診療科を紹介されることもあります。まずはお近くの整形外科で、現在の膝の状態を正確に診断してもらうことが第一歩です。

両膝が痛いときにやってはいけないこと
良かれと思って続けている習慣が、膝への負担につながることがあります。長く膝の健康を保つためにも、以下の2点に注意しましょう。
我慢して動かす
「両膝が痛いのは運動不足のせいだ」などと思い込み、無理にウォーキングを続けたり、階段を積極的に使ったりするのは危険です。炎症が起きている状態で無理に動かすと、さらに軟骨の摩耗を早め、炎症を悪化させてしまいます。
特に、歩くたびに痛みを感じるような時期は、膝にとって「休養」が必要です。運動は痛みが落ち着いてから、適切な方法で行うべきものです。「痛みを我慢して鍛える」という考え方は、膝関節においては逆効果になることが多いと理解しておきましょう。
自己流で対処する
自己流のマッサージやストレッチを過度に行うことも避けましょう。両膝の痛みの原因が「変形性膝関節症」なのか「炎症性疾患」なのかによって、適切な対処法は真逆になることもあります。
また、市販のサポーターを常に着用し続けることは、サポーターに頼りすぎることで筋力の低下につながる可能性があります。サポーターは必要な場面で適切に使用し、まずは専門医の診断を受けたうえで、ご自身の状態に合ったケアを行うことが大切です。
医療機関での検査と主な治療法
両膝の痛みが続く場合、医療機関ではどのような検査や治療が行われるのでしょうか。一般的な流れを解説します。
検査でわかること
整形外科を受診すると、まずは問診と触診が行われます。いつから痛むのか、どのような動作で痛むのかを詳しく伝えます。
- ・レントゲン検査: 一般的に最初に行われる検査です。骨の間隔(関節裂隙)が狭まっていないか、骨の端に「骨棘(こつきょく)」というトゲのような突起ができていないかを確認し、変形の進行度を判定します。
- ・MRI検査: レントゲンでは写らない軟骨、半月板、靭帯の状態、関節内の炎症や骨の内部のむくみ(骨髄浮腫)などを詳細に把握できます。膝の痛みの原因を詳しく調べたり、レントゲンではわからない異常を確認したりする際に役立ちます。
保存療法
多くの医療機関で最初に行われるのが「保存療法」です。これは手術をせずに症状をコントロールする方法です。
- ・薬物療法: 消炎鎮痛剤の飲み薬や塗り薬、湿布などを使用して炎症を抑えます。
- ・関節内注射: ヒアルロン酸などを関節内に注入し、関節の滑りを良くしたり炎症を和らげたりします。
- ・物理療法・リハビリ: 患部を温めたり、理学療法士の指導のもとで筋力トレーニングやストレッチを行ったりします。
保存療法は、痛みを軽減し、日常生活で膝を使いやすくすることを目的とした治療です。一方で、すり減った軟骨そのものを元の状態に戻す治療ではありません。そのため、症状や膝の状態によっては、治療を続けても痛みや変形が進行する場合があります。
再生医療という選択肢もある
「保存療法を続けているけれど、なかなか痛みが引かない」「でも、入院や手術は大がかりで不安がある」という方にとって、第3の選択肢となるのが「再生医療」です。
ヒアルロン酸注射などの一般的な保存療法だけでは、進行した両膝の痛みを根本から取り除くのが難しい場合があります。一方で、人工関節置換術などの手術は身体への負担が大きく、長期のリハビリテーションを必要とします。当院は、このような「手術は避けたいが、今の生活を改善したい」という方に対し、ご自身の修復力を活かすことで入院や手術を伴わずに改善を目指す、第3の選択肢としての再生医療をご提案しています。
「両膝が痛いから、歩けなくなるのは仕方ない」と諦める必要はありません。まずはご自身の膝が今どのような状態にあるのかを正しく知ることで、より良い治療の選択肢が見えてきます。

まとめ|両膝の痛みを放置するのは危険
両膝の痛みは、日々の移動や外出が負担になり、生活の質(QOL)に影響を及ぼすことがあります。一方で、症状や膝の状態によっては、保存療法だけでなく再生医療が治療の選択肢となる場合もあります。
「もう年だから」「両方痛いのは仕方がない」と諦める前に、一度ご自身の膝の状態を確認してみませんか。MRIなどの検査で膝の状態を詳しく評価し、その結果をもとに再生医療が適しているかどうかを判断することで、ご自身に合った治療法を検討できます。
膝の痛みでお困りの方は、お気軽にご相談ください。

人工関節以外の新たな選択肢
「再生医療」
変形性膝関節症の方、慢性的なひざの
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