ひざ痛治療のコラム

変形性膝関節症の重症度(グレード)はどう決まるか | 整形外科専門医コラム

公開日:
更新日:2021.12.13

変形性膝関節症の治療を開始するにあたって、まず必要になるのが事前アセスメント。原因の特定の他、治療前の重症度(グレード)を正確に把握することが重要です。これによって、今後の治療方針を具体的に決定できますし、長期的な展望の見通しも立ちます。
では、変形性膝関節症において、重症度はどのようにして決定されるのでしょうか。
ここでは代表的な指標(KLグレード分類)について解説するとともに、検査方法、治療方法など変形性膝関節症について詳しくご説明いたします。

情報提供医師

尾辻 正樹 医師

尾辻 正樹 医師(横浜ひざ関節症クリニック 院長)

日本整形外科学会認定 専門医

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう・へんけいせいひざかんせつしょう)とは、膝軟骨のすり減りの影響から関節内に炎症が起きて痛みが生じるという、膝の代表的な疾患です。

50〜60代での発症が多く、変形性膝関節症による膝の痛みを抱えている人は国内だけでも推定1,000万人、痛みを自覚していなくてもレントゲン検査の所見上での患者数を含めると、3,000万人とも言われています[1]

変形性膝関節症の初期症状で多く見られるのが、膝が痛くて階段の上り下りがつらいしゃがんだり正座したりの動作が難しくなってきた立ち上がろうとすると膝がこわばる(固まる)といった症状です。
こうした症状に心当たりはあるものの、老化現象だから仕方ないとお思いの方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、変形性膝関節症は、放置するとどんどん進行してしまいます。
関節表面を覆う軟骨だけでなく、半月板や骨自体にも損傷が及ぶことで強い痛みに加えて歩行が困難になることも。早期の治療が大切です。

原因

変形性膝関節症の原因には、はっきりと原因が特定できない一次性のものと、ひざ関節周囲のケガや病気が影響している二次性のものがあります。
半月板損傷や靭帯損傷、捻挫や骨折といった過去の外傷や、関節リウマチや偽痛風などの病気が関係する場合は二次性に分類されますが、多くは原因が明確にはできない一次性の変形性膝関節症です。
一次性は50〜60代の発症が多いことから、老化の影響が第一に考えられます。次いで多いのが、関節への負担を軽減している膝周りの筋力の低下膝への荷重が大きくなる肥満なども、大きな原因です。
他にも、性別(日本整形外科学会によると男女比は1:4)、膝に負担の大きいスポーツ歴、遺伝子、O脚なども変形性膝関節に関係していると考えられています。こうした要素が複合的に変形性ひざ関節症の発症と関係しているのです。

検査方法

膝の痛みが何によるものか診断するために行う検査としては、問診・視診・触診・徒手検査(筋力を判定する理学検査)に続き、レントゲン検査が一般的です。必要があれば、MRI検査や血液検査、関節液検査も行われます。

レントゲン診断でわかる《グレード》とは?

変形性膝関節症の重症度を判定するための基準には、レントゲン写真を活用します。その中で最も一般的な指標はグレードと言われるKellgren-Laurence分類(以下KL分類)です。KL分類は主に関節軟骨の減少具合と骨棘(こっきょく)の程度によって重症度を分類します。
グレードは関節の隙間の大小によって1から4まで分類されており、2以降に該当すると変形性膝関節症と診断されます。
なぜ関節の隙間に着目するかというと、この隙間には軟骨があり、軟骨がすり減ることは、症状の悪化を意味するからです。

レントゲン診断の限界とMRI診断

グレードを示すKL分類ではレントゲン写真から得られる情報をもとに重症度を分類しますが、実はそれだけでは病態の全貌が分かるわけではありません。変形性膝関節症では軟骨や半月板の状態が症状に大きく影響しますが、レントゲンではこれらを確認することができないためです。
実際、強い痛みのために夜間十分に寝られず、歩行も困難になっているような方でも、レントゲン写真によるKL分類のみで判断すると「初期段階」と判定されてしまうことがあります。
つまり、KL分類だけに基づいて治療方針を決定してしまっては、状況を見誤る危険性が高いのです。こうしたリスクを回避するために、最近では多くの医療機関でMRI検査などを併用して、総合的に事前診断を行っています。

また、MRI検査では、軟骨、半月板、靭帯といった組織の状態のみならず、骨髄浮腫の有無を確認できる点が大きなメリットです。これが認められると、変形性膝関節症の進行が早く、将来人工関節が必要となるリスクが高くなるとの報告もあります[2]。MRI検査を併用することで、今後の病状の進行具合を予測するための、重要な情報を得られるのです。

治療方法

変形性膝関節症の治療法は大きく保存療法と手術療法の2種類に分かれます。症状や病態、生活スタイルによりどちらかを選択します。

保存療法

変形性膝関節症の保存療法には、運動療法薬物療法物理療法装具療法などがあります。なかでも、変形性膝関節症の治療としてエビデンスが確立されているのが、運動療法。国内外の変形性膝関節症ガイドラインでも症状の改善に効果的であるとして、高く推奨されています。膝に負荷がかからない体操からウォーキングや水泳などまで様々ですが、膝の状態によってどの方法が良いかは異なるため、医師や理学療法士の指示を受けて行うことが大切です。
ただし、運動療法を行うにも痛みが強くては体を動かす事はできません。この場合、消炎鎮痛薬の服用やヒアルロン酸注射などの薬物療法、電気や超音波機器を使った物理療法などで、痛みの軽減を図ることができます。また、ニーブレースやサポーターを装着することで、膝関節への負担を軽減し、運動をしやすい環境を整える装具療法も効果的です。

メリット デメリット
薬物療法 保険適応で治療が受けられる 継続的に治療を受ける必要がある
物理療法 運動以外で運動機能の活性化が期待できる 痛みや可動域が改善しないこともある
装具療法 痛みの軽減が期待でき、動きやすくなる 装具がないと痛みが緩和されない
運動療法 膝関節の負担要因(血流や体重)の改善 適切な方法でないと逆効果になることも

 

手術療法

変形性膝関節症の病期がグレードⅢ以上のケースや、保存療法を6ヵ月以上続けても効果が見られないケースの際は手術療法を検討することがあります。あくまで目安なので、例えばグレードⅡでも、生活がままならないくらいの強い痛みが出ている場合などでは、手術を提案されることはあります。
手術の種類は、関節鏡視下手術、高位脛骨骨きり術、人工膝関節置換術の3つ。

関節鏡視下手術は、内視鏡を挿入し、損傷した半月板や軟骨の毛羽立ちを切除する手術です。早ければ2〜3日での退院が可能なため、手術の中ではもっとも低侵襲ですが、この処置で改善が期待できるのは軽度の病態のみです。
高位脛骨骨切り術は、脛骨を切開して金属プレートなどを差し込み、骨の傾きを矯正するという手術。O脚が進行したケースに検討されることが多い手術ですが、適応はこの場合、関節の外側が正常に保たれているケースに限られます。関節を温存できる利点はありますが、骨の癒合には時間がかかるため、3週間ほどの入院が一般的です。
そして、変形性膝関節症の治療法として最終手段となるのが、膝関節を人工物に置き換える人工膝関節置換術です。損傷部分を取り除く手術なので痛みの大幅な改善がのぞめますが、人工物ゆえに15〜20年ほどでインプラントを入れ替える再置換手術を行う必要があります。

【変形性膝関節症の各手術と特徴】

メリット デメリット
関節鏡視下手術 傷がちいさく入院も短い 大幅な改善が難しく重度の症状は適応外
高位脛骨骨切り術 自分の関節を温存できる 骨が癒合するまでに時間がかかる
人工関節置換術 大幅な痛みの改善と歩行回復が期待できる 人工物ゆえに寿命があり感染にも弱い

 

再生医療という選択肢

上記にご紹介した保存療法と手術療法は、保険適応で受けられる治療方法です。ただ、変形性膝関節症には、自由診療で提供されている先進的な治療法もあります。そのひとつが、自己組織を用いて損傷した臓器や組織、機能の修復を目指す技術を用いた再生医療です。
再生医療と聞くと大学病院や専門機関で研究されている技術をイメージされるかもしれません。

しかし変形性膝関節症に対しては、抗炎症作用[3]や疼痛抑制[4]が報告されている再生医療が、すでに一般に向けても提供されています。それが、血液に含まれる血小板とその成長因子に着目したPRP療法や特定の細胞に分化していない幹細胞(なかでも脂肪由来幹細胞)を活用した培養幹細胞治療です。

これらの再生医療はグレード3〜4の患者さまへの治療においても一定の効果が認められ、その報告は日本再生医療学会誌にも掲載されています[5]。つまり、保険診療の薬物療法では痛みがコントロールできなくなったケースにおいても、効果を期待できるケースがあるということです。そのため、侵襲の大きな人工関節などの手術による治療を、可能な限り遅らせるうえで有効な選択肢になり得ると考えています。

薬物療法やヒアルロン酸注射で治療しているものの、なかなか改善が見られない、しかし人工関節などの手術はしたくない。そんな方の判断材料として再生医療という選択肢を是非、頭にいれていただければと思います。

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