60代女性です。半年ほど前から右膝の内側が痛み、階段の昇り降りや長く歩いた日の夕方に痛みが強まります。痛みを避けようと右脚を庇い左脚に体重を乗せて歩いていたところ、ここ1ヶ月は反対側の左膝の前面まで痛むようになってきました。以前整形外科を受診し変形性膝関節症の初期と言われ、湿布や注射で経過を見てきましたが改善せず、両膝とも悪くなる一方ではないかと不安です。かばう動作と逆側の膝の痛みには関係があるのでしょうか?
ただし、左膝の痛みは別の疾患が始まっているサインの場合もあります。
レントゲンだけでは判断が難しい場合もあるため、医療機関での診察で原因を確認することをお勧めします。
片方の膝をかばって逆側まで痛むときにまず押さえたいポイント
右膝が悪いはずなのに、いつの間にか左膝まで痛みが出てきた…という相談は決して珍しいものではありません。
「これは庇っていたせい?」「左膝も悪くなり始めているのでは?」と、両膝に痛みが広がっていくのは大きな不安につながりやすいですよね。
片方の膝の痛みをかばって歩き続けると、反対側の膝への荷重や荷重時間が増加し、歩行バランスの変化によって関節や周囲組織への力学的ストレスが大きくなります。
もともと逆側にも軽度の変形や半月板の傷みがあった方では、その負担が引き金となって痛みが表に出てくることもあります。
両膝が同時に悪くなったように見えても、左右で原因が異なる場合や、進行のスピードに差がある場合もあります。
自己判断で放置せず、膝の状態を確認することが大切です
少しでも不安を感じたら、まずは無料でんわ相談からお気軽にお問い合わせください。
膝をかばう歩き方で逆側の膝に痛みが出る主な原因
庇い歩きが逆側の膝に影響する仕組みは、医学的にも整理されています。
下記のような要因が単独で、あるいは重なって生じていると考えられます。
反対側の膝への荷重増加:痛む側を避けることで健側への荷重が増え、膝関節に加わる力学的ストレスが繰り返しかかる
歩行アライメントの崩れ:庇い歩きによって骨盤や股関節の動きが変化し、膝関節内側・外側への負荷バランスが崩れる
大腿四頭筋・お尻の筋力低下:痛む側の活動量低下によって左右の筋力差が生じ、健側への負荷増大や歩行パターンの変化につながる
もともとの変形性膝関節症や半月板損傷の進行: 反対側にも軽度の変化があったケースでは負担増で症状が表面化する
鵞足炎・腸脛靭帯炎などの二次的な炎症: 庇い歩きや姿勢の崩れから膝周りの腱・靭帯に炎症が起こることがある
今回のように反対側の膝の前面に痛みが出ている場合は、膝蓋大腿関節への負荷増加による膝蓋大腿関節症や、膝蓋下脂肪体炎、膝蓋腱炎などが関係していることもあります。
特に変形性膝関節症は両膝に進行することが多いとされ、片方の膝を強くかばう生活が長くなるほど反対側へのストレスも積み重なります。
「右膝の治療をしているうちに左膝も悪くなった」というケースも、決して珍しいものではありません。
また、左右で痛む場所が異なる場合のように、原因が片方ずつ別になっていることもあります。
両膝とも変形性膝関節症とは限らず、半月板や腱の炎症が混在しているケースもあるため、それぞれの膝で何が起きているかを切り分けて確認することが重要です。
関連: 変形性膝関節症の症状・原因・ステージ別治療方針の詳しい解説
反対側の膝の痛みを進めないために自宅でできる対処と避けたい動作
両膝に痛みが広がっている時期は、痛む側だけでなく「庇い方そのもの」を見直すことが回復のカギになります。
今すぐ無理なく取り入れられる工夫を整理してみましょう。
杖や手すりを使い、健側だけに体重が集中しないよう左右に分散させる
椅子からの立ち上がりや階段では左右の足を揃えて使う「揃え動作」を意識する
太もも前面(大腿四頭筋)とお尻の筋力トレーニングを左右両方で行い、筋力差を縮める
長時間の立ち仕事や買い物では、こまめに座って休む時間を確保する
痛みを我慢して「もう片方で支えよう」とする歩き方は、悪循環を強めるため避ける
杖を使用する場合は、痛みのある側と反対の手で持つことで、膝への負担軽減が期待できます。
痛みが強い時期は、階段や立ち上がりで左右の足を揃えて動作する方法も有効ですが、症状が落ち着いたら左右差を減らすリハビリを進めることが重要です。
庇い歩きを軽くするためには、痛む側のリハビリと、健側を含めた左右両方の筋力強化に取り組むことが重要です。
特に大腿四頭筋とお尻の筋肉は、膝の安定性と歩行バランスに直結する部位とされています。
また、サポーターや杖を使うことに抵抗を感じる方もいますが、悪循環を断ち切る期間限定の補助と捉えると、結果的に両膝の負担軽減につながります。
痛みが強いときに無理を重ねるよりも、こうした補助を活用するほうが負担軽減につながります。
関連: 変形性膝関節症の歩き方・筋トレ・食事による予防の詳しい解説
庇い歩きで両膝に痛みが広がったときの受診の目安
両膝に症状が広がってきたときは、自宅でのケアだけで様子を見続けるべきか、医療機関を受診した方がいいかの線引きに迷いやすいものです。
下記の目安と照らし合わせてみてください。
今すぐ受診すべきサイン: 体重をかけられない/膝が引っかかって動かない/強い腫れや熱感/外傷後の強い痛み/発熱を伴う
数日以内に受診を検討:庇い歩きを意識しても一方または両方の痛みが引かない/階段や立ち上がりで力が入らない
早めの受診を検討:夜間痛や安静時痛が続く
様子見でよい目安: 短時間の歩行や立ち仕事のあとに違和感が出る程度で、休めば数日で軽くなる場合
両膝に痛みが広がっている状態を放置すると、健側に負担が偏った歩き方が定着し、姿勢や腰・股関節への二次的な痛みにつながることもあります。
両膝に痛みが続く場合は、一度膝の状態を確認することをおすすめします。
「保存療法で経過を見てきたが両膝とも痛みが取れない」「次の治療の選択肢を知りたい」という方は、専門医に相談するのも一つの方法です。
当院でも、MRIと診察をもとに膝の状態を確認し、治療の選択肢についてご相談いただけます。
庇い歩きで生じた両膝の痛みに対する検査と治療の選択肢
両膝に痛みがある場合は、左右それぞれの膝で何が起きているかを切り分けて評価することが、その後の治療方針を決めるうえで重要になります。
レントゲン: 関節のすき間(軟骨のすり減り)や骨の変形を左右で比較できる
MRI: 半月板・靭帯・軟骨・骨内部の状態を詳しく評価でき、レントゲンでは映りにくい損傷を見つけやすい
超音波検査:関節液貯留や滑膜炎、腱・靱帯周囲の炎症を確認することもあります。
視診・触診・徒手検査: どの動作で痛むか、どの部位を押すと痛みが出るかを確認する
保存療法ではヒアルロン酸注射・薬物療法・運動療法・装具療法などが選ばれます。
これらでコントロールが難しい場合や、手術には踏み切りたくないという方の選択肢として、当院ではPRP-FDや培養幹細胞治療などの再生医療のご提案が可能です。
レントゲンだけでは分かりにくい軟部組織はMRIで詳しく評価することが原因特定の助けになります。
両膝の状態を詳しく知りたい方は、下記よりご相談ください。
関連: 膝のMRIとレントゲンの違いと役割の解説
この相談を見た方におすすめのQ&A
庇い歩きや左右差のある膝の痛みは、症状の出方や経過によって関心のあるテーマが分かれやすいものです。
手術後に反対側が痛む場合や、歩き始めに膝と股関節が連動して痛む場合、手術以外の治療を探している場合など、ご自身の状況と近いものがあれば、下記の相談事例もあわせてご確認ください。
関連: 片方の膝を手術した後に反対側の足が痛むときの考え方
関連: 歩き始めに膝と股関節が同時に痛むときに考えられる原因
関連: 変形性膝関節症で手術以外に痛みを改善する方法
まとめ
片方の膝を庇う歩き方が続くと、反対側の膝にも負担が積み重なり、両膝に痛みが広がる場合は少なくありません。
一方で、左右で原因が異なる場合もあり、両膝それぞれの状態を切り分けて評価することが大切です。
両膝の痛みが続く場合は、かばう歩き方による二次的な負担だけでなく、それぞれの膝に別の原因が存在する可能性もあるため、医療機関で評価を受けることが大切です。
一般の整形外科で治療を受けても両膝の痛みが改善されない方、まずどのような治療があるのか詳しく知りたい方は、当院でMRIをもとに再生医療を含めた選択肢をご相談いただけます。
関連記事: 膝関節の痛みや違和感の原因・仕組み・治療法の詳しい解説
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