膝サポーターは変形性膝関節症に効果的?【効果・選び方・デメリット】

公開日:2022.01.06
更新日:

「膝が痛いからサポーターを使う」とはよく聞きますが、膝サポーターの効果について、正しく知っていますか? 膝のサポーターは種類も多く、どう選んだらよいか迷ってしまう人も多いですが、きちんと役割を理解することで、その効果も大きく変わってきます。
今回はそんな膝サポーターの効果や選び方、デメリットまで、当院での事例を交えて解説します。

情報提供医師

尾辻 正樹 医師

尾辻 正樹 医師(横浜ひざ関節症クリニック 院長)

日本整形外科学会認定 専門医

膝サポーターとは?なぜ装着するの?

膝サポーターイメージ

膝サポーターは、装着することで膝を固定し、膝関節の働きを助けるアイテムです。
体重を支える役割を持つ膝関節は、全身の関節の中で最も負担がかかり、それ故に痛めやすい部位でもあります。そこを固定することで、過度な動きの抑制衝撃の吸収関節の動きを助ける役割を果たし、痛みの緩和や膝への負担の軽減につながります。
バスケットボールやバレーボールなどのジャンプを多用するスポーツする方や、膝関節が劣化し、日常生活で痛みを感じる方に使用されるケースが多くなっています。

サポーターは高齢者の方にもおすすめ

サポーターはスポーツをする方が使用するイメージが強いかもしれませんが、膝に痛みがある高齢者の方にもおすすめです。高齢になってくると膝が不安定になったり、痛みに悩まされる方が少なくありません。高齢者の方もサポーターを着用することで膝が安定し、痛み緩和の効果が期待できます。

膝サポーターに期待される効果

サポーターを着けることで膝の痛みが緩和されるのは、主に3つの作用と関係があります。

①膝の冷えを防ぐ

変形性膝関節症の痛みには、保温が大切です。膝が冷えてしまうと血流が滞り、痛みを感じやすくなります。骨折や靭帯損傷などの怪我をした場合は応急処置として足を冷却しますが、変形性膝関節症の痛みには保温、と覚えておきましょう。東京医科歯科大学の名誉教授である宗田大先生も、著書の中で「膝の痛みに対しては、保温が基本である」と述べています[1]。膝をサポーターで覆うことで、冷えを防止しましょう。サポーターには吸湿発熱素材でできているものもあるので、保温を重視したい人は素材も確認してみるといいかもしれません。

②膝を安定させる
変形性膝関節症は、進行する過程で軟骨がすり減っていく病気です。軟骨がすり減ることで膝に痛みを感じるようになり、痛まないように膝をかばうことで筋力が低下します。そうすると膝関節が不安定になり、歩行時にぐらつくようになってしまうのです。サポーターで膝をしっかり固定することで筋肉の代わりとなり、安定した歩行が可能になります。また、膝関節が安定することで、膝にかかる負担も軽減され、変形性膝関節症の進行の抑制にも効果的です。

③触圧覚を刺激する
触圧覚(しょくあつかく)とは、皮膚に何かが触れたり圧力が加わるような刺激に対する感覚のことです。触圧覚は、痛みを感じる痛覚よりも早く脳に伝わると言われています。変形性膝関節症で歩行時に痛みを感じるような方は、サポーターで触圧覚を刺激することで、痛覚の反応を遅らせ、痛みを感じにくくなることが期待されます。ただし、強く圧迫しすぎてしまうとうっ血してしまう可能性があるので、きつくない程度に、ゆったりと加圧するようにしましょう。

変形性膝関節症になったらサポーターを使用すべき?

変形性膝関節症は進行性の疾患ですが、適切な治療によって進行を遅らせることは可能です。その中心となるのが運動療法[2]

変形性膝関節症の方は、運動をしないでいると炎症が悪化し、痛みが増すことがわかっています[3]。しかし、膝の痛みや動かしにくさがあると、運動に対してなかなか前向きになれず運動不足になってしまうことも少なくありません。すると膝を支える筋力が低下したり、体重増加で膝への負担がさらに多くなり、痛みが増幅してしまうという悪循環に陥ってしまいます。
そのような場合は、膝のサポーターを着用し、積極的に運動を行っていくことで、変形性膝関節症の進行を遅らせ、好循環を作ることができるのです。

変形性膝関節症の悪循環と好循環

正しい選び方

そうはいっても市販されているサポーターの種類も多く、どのように選んでいいのかわからない方も少なくないと思います。そのような場合は下記の2点を参考にしてみてください。

①医療用、スポーツ用など用途に合ったものを選ぶ

サポーターは、大きく日常動作補助タイプ保温タイプ高通気タイプ加圧タイプと用途が分けられています。
どのようなときにサポーターが必要か、ご自身の生活スタイルを考えて選ぶのが良いでしょう。たとえばスポーツの際に使うサポーターは、通気性がよく膝の曲げ伸ばしがしやすいストレッチ素材のものがおすすめですが、変形性膝関節症のように不安定な膝を支えたい場合は、膝の動きをベルトでしっかり締め、安定させるようなタイプのサポーターを選ぶ、などです。
ただし、ひざ専用でも変形性膝関節症のための商品とは限らないので、その点はご注意ください。

②使用感の良いものを選ぶ

用途に合っていても、大きすぎたり小さすぎたりすれば効果は弱くなってしまいますし、着けていて不快感があれば継続的な使用ができなくなるかもしれません。必ず、ご自身に合っていると感じるものを使うようにしましょう。
サポーターの用途と使用感の2つに問題がなく、十分に役割を果たしていると思われる場合、価格やデザインは不問ですし、変形性膝関節症専用のものである必要もありません。

サイズのはかり方
正しいサイズのサポーターを選ぶ為に、まず自分の膝のサイズを測りましょう。服のサイズ表記と同じ感覚で選んでしまうと合わないと感じることがありますので注意が必要です。
※製品によって測り方が指定されている場合はそちらに従ってください。

①椅子に座って軽く膝を曲げる。
②膝頭の周囲にメジャーを回して測る。
③対応サイズが表記されている商品を選ぶ。(〇cm=Sサイズ等)

種類形状
膝サポーターの形状は「筒状のもの」「ベルト状のもの」に分かれます。
筒状サポーターは足から入れて膝の位置まで上げて装着するタイプで、固定する力は劣るものの、保温力や付けやすさが大きな魅力。また、リーズナブルな価格のものが多かったりすることも特徴です。一方でベルト状サポーターは、ベルトのように巻いて使用します。締め付け具合を調整することができ、比較的強めに固定することができます。

膝サポーターのデメリットと注意点

サポーターをつけることでデメリットが生じることもあります。
変形性膝関節症の程度は人それぞれです。サポーターをしても膝の痛みが強く運動がつらい場合は、一度中止して医療機関に相談しましょう。また、サポーターを使用しても効果が感じられない、使用前より痛みが強くなった、という場合も使用を中止し、医療機関に相談されることをお勧めします。

デメリット

他の部分への負担が大きくなる
膝は歩いたりしゃがんだりする時に衝撃を分散させる役割を果たします。そのため膝を固定してしまうとかえって他の部分に負担がかかるようになってしまい、足首や腰など、他の部位にも痛みが出てくる場合もあります。

筋肉の衰え
ひざが痛むからと長期にわたり使用していると、足周りの筋肉が衰えてしまいます。サポーターに頼り切らずに適度な運動をすることも大切です。

注意点

締めすぎに注意
しっかり膝を固定するためにサポーターを締めすぎてしまうと、圧迫痛やうっ血を引き起こす可能性があります。サポーターは締めすぎに注意し、着用時はきつくない程度にゆったりと加圧するようにしましょう。

傷や湿疹がある場合は使用しない
膝の周りに傷や湿疹などの異常があるときは、症状が悪化する可能性があるため、サポーターの着用を控えましょう。サポーターの着用によって皮膚にかゆみなどの異常が出た場合は使用を中止し、医療機関に相談してください。

あくまで治療の補助としての使用を推奨

膝サポーターイメージ

最後に、サポーターを使っても変形性膝関節症が治るわけではない、ということにはご留意ください。サポーターの装着自体は、治療とは言えません。目的としては、運動療法を行える環境を整え、変形性膝関節症の進行を遅らせるために必要な筋肉を衰えさせないこと。あくまで補助として使用するようにしましょう。

自分に合ったものを見つけるまでは試行錯誤となりますが、痛みを緩和できれば、あとは積極的に運動を行い、好循環を作り出すのみです。具体的な運動の方法については、下記関連記事をご参照ください。

※病院やリハビリ施設などで、医師や理学療法士などから運動療法の指示を受けている場合は、その指示に従ってください。指示を受けていないという人も、一度確認を取っておくと安心です。

当院の受診をご希望の方は、下記よりお問い合わせいただけます。

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コラムのポイント

  • サポーターの着用は痛みの緩和や膝への負担の軽減に効果的
  • 自分に合ったサポーターを選ぶことが大切
  • あくまで治療の補助としての使用しましょう

よくある質問

膝のサポーターはつけっぱなしの方が良いのでしょうか?

運動時や歩行時のみ着用するようにしましょう。
膝を安定させることで痛みが緩和するため、ずっとつけていたいかもしれませんが、それはかえって逆効果です。膝関節を固定する目的のサポーターの場合、長時間つけっぱなしにすると血行が悪くなることが考えられます。それでは膝への負担が増してしまいますし、うっ血や圧迫通が生じることもあります。また、サポーターは筋肉の働きを補助する役割もあるため、つけたままの生活で膝周りの筋力が落ちてしまう可能性も。膝関節を守る意味でも筋力維持は必須のなので、着用するのは運動やウォーキングなどの膝に負荷がかかるような動作のときだけ着用し、安静時には外すようにしてください。
ただ、膝を温める目的で使用している保温用のサポーターの場合は、その限りではありません。冷えを感じたり、冷えた室内などでは着用しておくことをおすすめします。

膝サポーターの効果を感じないときはどうすれば良いですか?

適切な治療を選択し直す必要があります。
サポーターで痛みをコントロールできなくなっているということは、膝の状態が悪化していることが考えられます。関節を補助する目的で使用を継続しながらも、膝の状態に適した痛みや関節自体の治療方法に変えることを検討しましょう。

変形性膝関節症の場合、痛みには内服薬や外用薬、ヒアルロン酸注射がありますが、すでにこのような薬物療法とサポーターを併用されている方は多くいらっしゃるかと思います。その上で痛みがコントロールできないとなると、手術の適応となっている可能性が高いでしょう。手術にも、関節は温存して傾斜を整える高位脛骨骨切り術と、関節自体を人工パーツに置き換える人工関節置換術があります。また近年では、患者さま自身の体内に存在する細胞や成分を活用した再生医療も広がりを見せています。

どんな治療法が適しているかは、患者さま一人ひとりで違ってきます。まずは痛みの変化を放置せずに、医師に相談してください。当院でも、患者さまのライフスタイルに適した治療法などをご提案することが可能です。治療するか決まっていなくてもご相談いただけますので、お気軽にご連絡ください。その際はまずMRI検査で現状を詳しく診断しご説明いたしますので、こちらからご予約ください。
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