「変形性膝関節症は自力で治るの?」「すぐにでも病院に行くべき?」
と悩んでいませんか?
変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減って痛みが出る病気で、中高年の方に多くみられます。結論から言うと、変形性膝関節症を自力で治すことは難しいですが、適切なセルフケアで痛みを軽減し、進行をゆるやかにできる可能性があります。
本記事では、変形性膝関節症の症状を和らげるためにできる運動や生活習慣の工夫、やってはいけないことを紹介します。あわせて、整形外科を受診すべき目安まで、専門的な視点からわかりやすく解説します。
目次
- 変形性膝関節症を自力で治すことは可能?
- すり減った軟骨は自然には戻らない|進行を抑えることは可能
- そもそも変形性膝関節症とは?膝の軟骨がすり減る病気
- 変形性膝関節症の症状を和らげるために役立つセルフケア|運動療法
- 鍛えたいのは太ももの前側|大腿四頭筋を支える運動
- こわばりを和らげるストレッチ
- 膝への負担が少ないウォーキングや水中運動
- 変形性膝関節症の症状を和らげるために役立つセルフケア|運動以外の工夫
- 体重を減らすと膝の負担は軽くなる
- 筋肉と骨を支える食事のとり方
- 膝に負担をかけない生活動作の工夫
- サポーター・杖・靴で膝を守る
- 変形性膝関節症でやってはいけない動作・習慣
- 膝に負担をかける動作を避ける
- 自己流のケアで悪化させないために
- セルフケアの限界|こんなときは整形外科を受診
- 受診を考えたい膝のサイン
- 病院で行う変形性膝関節症の治療法
- 保存療法|運動療法・薬・ヒアルロン酸注射
- 手術療法|骨切り術・人工膝関節置換術
- 手術を避けたい方の選択肢|再生医療
- まとめ|変形性膝関節症はセルフケアで進行を抑えつつ、悪化サインは専門医へ
変形性膝関節症を自力で治すことは可能?
変形性膝関節症は、すり減った軟骨そのものを元へ戻すことは難しいものの、運動や体重管理等の適切なセルフケアを続けることで、症状の進行を抑え、痛みを和らげることが期待できます。
すり減った軟骨は自然には戻らない|進行を抑えることは可能
膝の軟骨は血管が乏しく、一度すり減ると自然に修復されにくい組織です。そのため「完全に元どおりにする」ことは難しいです。
適切なセルフケアによって痛みの軽減や症状の進行を緩やかにすることが期待できます。
特に、膝まわりの筋肉を維持・強化し、関節への負担を減らすことで、痛みが和らぎ、日常生活を送りやすくなる方も少なくありません。
実際に、運動療法や体重管理は、変形性膝関節症の診療ガイドラインにおいても推奨されている基本的な対策の一つとされています。
変形性膝関節症は、進行の程度によってできることが変わります。初期は立ち上がりや歩き始めに痛む程度ですが、中期になると階段や正座がつらくなり、末期には安静時にも痛みが出て歩行が難しくなることもあります。進行の速さには個人差があり、適切なケアや治療で進みをゆるやかにできる場合もあります。初期から中期のうちにケアを始めるほど、進行を抑えやすくなります。
初期のサインを見逃さないために、こちらの記事もご覧ください。
そもそも変形性膝関節症とは?膝の軟骨がすり減る病気
変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)は、膝関節のクッションである軟骨がすり減り、骨どうしがぶつかって痛みや変形が起こる病気です。加齢や肥満、筋力の低下、O脚などが重なって進むと考えられています。
特に中高年の女性に多くみられる傾向があります。変形が進むと、見た目にも脚がO脚に曲がってくることがあり、歩き方にも影響します。痛みをかばって膝を動かさずにいると、筋力が落ちてさらに膝に負担がかかり、悪循環につながることもあります。だからこそ、痛みと上手につき合いながら膝を動かす工夫が大切です。
原因や症状の全体像をくわしく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
▶膝軟骨の「すり減り」は変形性膝関節症【原因と治療法について】
変形性膝関節症の症状を和らげるために役立つセルフケア|運動療法
自分でできる変形性膝関節症の対策として、まず取り組みたいのが運動療法です。膝を支える筋肉を保つことは、痛みの軽減と進行予防の土台になり、保存療法の中でも第一に勧められる方法とされています。
痛みがあると動かすのが不安になりますが、適切な運動はむしろ膝を守ることにつながります。ただし、強い痛みや腫れがあるときは無理をせず、医療機関に相談しながら進めることが大切です。
鍛えたいのは太ももの前側|大腿四頭筋を支える運動
膝を安定させるうえで重要なのが、太ももの前側にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん:膝を伸ばすときにはたらく筋肉)です。この筋肉が弱ると、膝のぐらつきや痛みが出やすくなります。
代表的なのが、椅子に座って片脚をゆっくり伸ばし、数秒キープして下ろす運動です。膝に体重をかけずに鍛えられるため、痛みが気になる方でも取り組みやすい方法です。もうひとつ手軽なのが、あおむけで脚を伸ばしたまま10センチほど持ち上げ、数秒キープする運動です。いずれも無理のない回数から始め、回数や負荷は痛みの程度に合わせて医療機関の指示のもとで調整していきましょう。
こわばりを和らげるストレッチ
太ももの裏やふくらはぎが硬くなると、膝の曲げ伸ばしがしづらくなります。お尻の筋肉や股関節周囲の柔軟性を保つことも膝への負担軽減につながります。入浴後など体が温まったタイミングで、太もも裏を中心にゆっくり伸ばすと、こわばりがやわらぎやすくなります。
反動をつけず、心地よく伸びる程度で20〜30秒ほどかけて伸ばすのがポイントです。ふくらはぎを伸ばすときは、壁に手をついて片脚を後ろに引き、かかとを床につけたまま体重を前にかけます。勢いをつけて伸ばすと筋肉を傷めることがあるため、呼吸を止めずにゆっくり行いましょう。
膝への負担が少ないウォーキングや水中運動
運動は痛みがない範囲で継続することが大切です。週2~3回程度の筋力トレーニングと、ウォーキングなどの有酸素運動を組み合わせるとより効果が期待できます。平らな道でのウォーキングは、膝への負担が比較的少なく、続けやすい運動です。歩くときは痛みが出ない距離から始め、少しずつ時間を延ばすとよいでしょう。
膝の痛みが強い方には、水中ウォーキングもおすすめです。水の浮力で膝にかかる体重がやわらぐため、痛みを抑えながら筋肉を動かせます。運動は一度に頑張るより、毎日少しずつ続けることが長続きのコツです。具体的な運動の手順は、動画付きで次の記事にまとめています。
▶【動画有り】変形性膝関節症に効く! 室内で簡単にできる筋力トレーニング
変形性膝関節症の症状を和らげるために役立つセルフケア|運動以外の工夫
膝を守るセルフケアは、運動だけではありません。体重・食事・生活習慣の見直しは、運動と並んで膝の負担を減らす大切な要素です。日々の小さな積み重ねが、痛みの出にくい膝づくりにつながります。
体重を減らすと膝の負担は軽くなる
歩くときや階段の上り下りでは、膝に体重の数倍もの負荷がかかるとされています。そのため、わずかな減量でも膝にかかる負担は軽くなります。
無理な食事制限ではなく、運動と食生活の見直しを組み合わせ、少しずつ適正体重に近づけることが大切です。体重管理は、運動療法と並ぶ有効な対策として知られています。膝に痛みを抱える方ほど体重の影響を受けやすいため、食べすぎた翌日に軽く調整するなど、ゆるやかな習慣づけがおすすめです。
筋肉と骨を支える食事のとり方
膝を支える筋肉や骨の健康を維持するためには、十分なたんぱく質やカルシウムを摂ることも重要です。
また、適正体重を維持することは膝への負担の軽減につながります。日頃から栄養バランスの良い食事を意識し、無理のない範囲で体重管理に取り組むことも、膝の健康を保つための大切なセルフケアの一つです。
膝に負担をかけない生活動作の工夫
日本の暮らしでは、正座や床への座り込みなど、膝を深く曲げる動作が負担をかけがちです。椅子やベッドを意識的に使う生活に切り替えると、膝への負担を減らせます。
階段では手すりを使い、痛むときは一段ずつゆっくり下りると安心です。長時間同じ姿勢で座り続けると膝に負担が集中しやすくなるため、ときどき立ち上がって膝を軽く動かしましょう。また、冷えると痛みが強まる方は、膝まわりを温かく保つこともおすすめです。
サポーター・杖・靴で膝を守る
膝のぐらつきや不安感が強いときは、サポーターで膝を支えると動きやすくなることがあります。歩くときの痛みが強い場合は、杖を使って膝にかかる体重を分散させるのも有効です。
靴は、クッション性があり足に合ったものを選びましょう。かかとが安定し、底にほどよい厚みのある靴は、歩行時の衝撃をやわらげ、膝への負担軽減につながります。これらの道具は、痛みの強い時期を乗り切るための心強い味方になります。
変形性膝関節症でやってはいけない動作・習慣
よかれと思って続けている習慣が、かえって膝の負担になっていることがあります。悪化を防ぐには、膝に負担をかける動作を避けることも自力ケアの一部です。
膝に負担をかける動作を避ける
深いしゃがみ込みや正座、ジャンプやダッシュなど膝へ強い衝撃が加わる運動は、膝に強い負荷をかけます。痛みがあるときは、こうした動作をできるだけ控えましょう。重い物を持つときは膝だけでなく体全体を使い、膝への負担を分散させると安心です。
また、痛みを我慢して長時間歩いたり、重い荷物を持って動き続けたりするのも禁物です。膝に腫れや熱があるときに無理に動かすと、炎症が長引くことがあります。腫れが気になるときの対処は、次の記事も参考になります。
自己流のケアで悪化させないために
強く揉む自己流のマッサージや、熱を持っている膝を温める行為は、かえって炎症を強めることがあります。腫れや熱があるときは冷やし、落ち着いていれば温めるなど、状態に合わせた対応が必要です。
市販の痛み止めや湿布は一時的に症状をやわらげますが、使い続けても原因が解決するわけではありません。痛みが強いときに長時間の入浴や激しい運動を続けるのも避けましょう。自己流の対処を続けて痛みが繰り返すときは、早めに医療機関を受診しましょう。膝の痛みは我慢するほど悪化することもあるため、早めの対応が将来の膝を守ることにつながります。
セルフケアの限界|こんなときは整形外科を受診
セルフケアは膝を守るうえで役立ちますが、すべてを自分で治せるわけではありません。次のようなサインがあるときは、整形外科の受診を検討しましょう。 軽い痛みでも、繰り返したり長引いたりする場合は早めの相談が安心です。
受診を考えたい膝のサイン
✅ 安静にしていても膝の痛みがおさまらない
✅ 痛みのため歩くのがつらい
✅ 膝が腫れていて、触ると熱を感じる
✅ 膝がぐらついて不安定に感じる
✅ 膝が引っかかり、スムーズに曲げ伸ばしできない
✅ 膝が完全に伸びない・曲がらない
これらのサインは、変形性膝関節症の進行や、半月板損傷(はんげつばんそんしょう)など別の原因が隠れている可能性があります。特に膝の腫れや熱感は炎症が起きているサインで、自己流のケアで様子をみるより、原因を確かめることが回復への近道です。夜眠れないほどの痛みや、急に膝が動かしにくくなった場合は、早めの受診をおすすめします。
当院でも、膝の痛みの原因がわからないというご相談を多くいただきます。そうした際には、MRIひざ即日診断で詳しく調べ、何が原因でどう対処すればよいかをわかりやすくご説明しています。「まずは相談だけでも」という方には、無料電話相談もご用意しています。

病院で行う変形性膝関節症の治療法
セルフケアで痛みが十分に改善しないときは、医療機関での治療が選択肢になります。治療は大きく保存療法・手術療法・再生医療に分かれ、それぞれ目的や体への負担が異なります。
保存療法|運動療法・薬・ヒアルロン酸注射
一般の整形外科でまず行われるのが保存療法です。運動療法や減量の指導に加え、痛み止めの内服や外用薬、関節の動きを滑らかにするヒアルロン酸注射などが組み合わされます。
ヒアルロン酸注射は、関節の動きを滑らかにして痛みをやわらげる目的で行われます。効果の程度や持続期間には個人差があります。保存療法は手軽に始められる一方、すり減った軟骨そのものを元どおりにするものではなく、痛みがぶり返すこともあります。それでも、運動療法や体重管理は進行を抑える土台として、多くの方にとって有効な対策です。
手術療法|骨切り術・人工膝関節置換術
保存療法で痛みが改善せず、関節の変形が進んでいる場合には手術が検討されます。代表的なのが、すねの骨を切って脚の角度を整える高位脛骨骨切り術(こういけいこつほねきりじゅつ)です。傷んだ膝関節を金属などの人工関節に置き換える人工膝関節置換術(じんこうしつかんせつちかんじゅつ)もあります。
手術は重症例で改善が期待できる方法です。一方で、入院や数か月単位のリハビリが必要で、体への負担も小さくありません。手術後は膝の動きを取り戻すためのリハビリが欠かせず、回復までの期間は手術の種類や状態によって異なります。そのため、手術はできるだけ避けたい、将来の手術をできるだけ先に延ばしたいと考える方も多くいらっしゃいます。
手術を避けたい方の選択肢|再生医療
「手術はできるだけ避けたい」「保存療法だけでは改善が難しい」という方に、選択肢のひとつとして検討されるのが再生医療です。
再生医療は、関節内で起きている炎症やダメージに伴う痛みの軽減を目的に、膝の関節内へ直接注射を行う治療です。ご自身の血液や細胞の力を活用し、炎症の抑制や組織の修復を促すことが期待されます。当院では、血液から成長因子を濃縮したPRP-FD(PFC-FD™)治療と、自己の脂肪由来の幹細胞を用いる培養幹細胞治療を提供しています。
日帰りで治療ができ、ご自身の血液や細胞を用いるため拒絶反応のリスクは低いとされています。期待できる効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。担当医とよく相談し、ご自身に適した治療法かどうかを確認したうえで検討することが大切です。
保存療法・手術療法・再生医療には、それぞれ目的や体への負担、入院の要否に違いがあります。ご自身に合った方法を考える整理として、3つの治療法の特徴を比較表にまとめました。
治療選択肢比較表
※スクロールできます
| 治療法 | 主な目的・内容 | メリット | デメリット | 入院の有無 |
|---|---|---|---|---|
| 保存療法 (運動療法・薬・ヒアルロン酸注射など) | 痛みや炎症を抑える (対症療法が中心) | 手術をせず手軽に始められる。 | 根本的な改善につながらないことがあり、痛みがぶり返すケースもある。 | 不要 |
| 手術療法 (骨切り術・人工膝関節置換術など) | 傷んだ関節の構造的な修復・矯正 | 重症例で根本的な改善が期待できる場合がある。 | 入院や数か月単位のリハビリが必要で、体への負担が大きい。 | 必要 |
| 再生医療 (PRP-FD注射・培養幹細胞治療など) | 炎症の抑制・組織の修復を促す | 日帰りで治療が完結し、ご自身の血液や細胞を用いるため拒絶反応のリスクが低いとされる。 | 自由診療のため費用は医療機関により異なり、効果には個人差がある | 不要 |
治療ごとのメリット・デメリットは、次の記事でもくわしく解説しています。
まとめ|変形性膝関節症はセルフケアで進行を抑えつつ、悪化サインは専門医へ
変形性膝関節症では、すり減った軟骨を自力で元の状態に戻すことは難しいものの、運動や体重管理、生活習慣の見直しなどのセルフケアによって、痛みの軽減や症状の進行を緩やかにすることが期待できます。一方で、安静時の痛みや腫れ、歩くつらさ等支障が出ている場合は、セルフケアだけで対応せず、早めに整形外科などの専門医に相談することが大切です。
「もう歳だから」「手術しかないと言われた」と諦める必要はありません。大切なのは、ご自身の膝の状態を正確に知り、医師と相談しながら自分に合った治療法を検討することです。当院は再生医療を専門とし、手術を避けたい方のご相談にも親身にお応えしています。
ご自身の膝の状態を正確に知ることが、適切な治療の第一歩です。当院では、待ち時間なく膝の詳しい状態がわかる「MRIひざ即日診断」を実施しています。

人工関節以外の新たな選択肢
「再生医療」
変形性膝関節症の方、慢性的なひざの
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