「最近、正座をするたびに膝がズキッと痛む」
「立ち上がるときに膝がきしんで、恥ずかしい思いをしている」
「これって変形性膝関節症が始まっているサインなのかな」
このようなお悩みをお持ちの方は少なくありません。
この記事では、正座で膝が痛くなる主な原因・症状の確認方法・日常生活での対処法、そして病院への受診タイミングまでをわかりやすく解説します。
すでに痛みが強い場合はまず整形外科を受診することをおすすめします。
整形外科での治療で十分に改善しない・手術を避けたいとお考えの患者さまには、再生医療という選択肢もご紹介します。
目次
正座で膝が痛くなる主な原因
正座は膝関節を145° 〜 160°程度まで深く曲げる動作です。
この深い曲げにより、膝の軟骨・半月板・腱・滑液包など複数の組織に強い負担がかかります。正座で膝が痛む場合、以下のいずれかの疾患が関係していることが多いです。
変形性膝関節症
変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)は、膝の軟骨が徐々にすり減り、骨同士が接触することで痛みや炎症が生じる疾患です。
正座のように膝を深く曲げると、関節面への圧迫が増大するため、軟骨のすり減った箇所が強く刺激されて痛みが出やすくなります。
変形性膝関節症の初期段階では、動き始めの痛みや長時間歩いた後の鈍痛が主な症状です。
しかし症状が進行するにつれて、正座・しゃがむ・階段の上り下りといった膝を大きく曲げ伸ばしする動作で痛みが強くなっていきます。
大規模疫学調査であるROADスタディ(東京大学)の推計では、国内の変形性膝関節症の患者数は、X線診断による潜在的な患者を含めて約2,530万人に上るとされています。自覚症状を有する患者は約1,000万人と推定され、特に50代以降の女性に多く見られます。
軟骨は一度すり減ると自然には再生されにくい組織であるため、早めに原因を特定して適切なケアを始めることが大切です。
正座での痛みが繰り返す場合、変形性膝関節症を疑うサインのひとつと考えられます。朝起きたときの膝のこわばりや、動き始めの違和感などが重なる場合は、整形外科で確認することをおすすめします。
鵞足炎
鵞足炎とは、膝の内側のやや下にある「鵞足(がそく)」と呼ばれる部分で、腱やその周囲の組織に炎症が起こり、痛みが生じる疾患です。
鵞足部には、縫工筋・薄筋・半腱様筋という3本の筋肉の腱が集まっており、正座のように膝を深く曲げた姿勢や、膝を内側にひねる動作で過度な負荷がかかると炎症を起こしやすくなります。
鵞足炎の特徴は膝の内側の痛みです。
正座から立ち上がるとき、階段を下りるとき、長時間歩いたときなどに膝の内側がズキズキと痛む場合、鵞足炎の可能性があります。
変形性膝関節症と合併することもあり、膝の内側から広がるような痛みがある場合は、整形外科で原因を確認することをおすすめします。
走ることや自転車を多く使う方にも発症しやすい傾向があります。
治療の基本は安静と炎症のコントロールですが、炎症が長引いたり繰り返したりする場合は、根本原因にアプローチする治療が必要になります。
鵞足炎の症状・原因・回復期間については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶『鵞足炎とは?症状・原因・治し方・回復期間まで専門医がわかりやすく解説』
半月板損傷
半月板は膝関節のクッション役を担うC字型の軟骨組織です。
正座のような深屈曲の姿勢をとると、半月板に強い圧縮がかかり、損傷が悪化したり痛みが誘発されたりします。
半月板損傷の場合、正座や深くしゃがむ動作で膝の奥から「ズキッ」「ガクッ」とした痛みや違和感が生じるのが特徴です。
膝に水が溜まる、膝が完全に伸びない・曲がらないといった症状を伴うこともあります。
スポーツや転倒などの外傷によって起こる場合と、加齢による変性で徐々に生じる場合とがあります。
半月板はレントゲンには映らず、MRI検査で初めて状態を詳しく確認できます。
整形外科で「異常なし」と言われた場合でも、MRI未撮影であれば半月板の損傷を見落としている可能性があります。
正座で痛みが続く場合は、MRIによる精密検査を受けることをおすすめします。
膝を深く曲げたときの痛みの原因については、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
▶『膝を曲げた時の突然の痛み! 6つの原因と対処法 & ストレッチを解説』
その他に考えられる原因
正座での膝痛の原因は、上記以外にも考えられます。
- ・関節リウマチ:免疫の異常が関節を侵す疾患で、両膝の腫れ・朝のこわばりを伴うことが多い。
- ・滑液包炎:膝周囲の滑液包が炎症を起こした状態。正座を長時間続ける職業の方に見られることがある。
- ・膝蓋骨軟化症:膝のお皿の裏の軟骨が傷んだ状態。深く曲げると膝蓋骨への圧迫が増えて痛みが出やすい。
- ・痛風・偽痛風:尿酸や結晶が関節内に沈着して激しい炎症を引き起こす。急激な腫れや熱感を伴うことが多い。
膝の痛みが生じている場所ごとに考えられる原因については、こちらの記事で詳しくまとめています。
▶『膝の内側が痛いのはなぜ?原因となる鵞足炎や変形性膝関節症を解説』

正座の膝痛を自分で確かめる症状チェック
正座での痛みは「どこが・どのように痛むか」によって、原因疾患の特定に近づけます。
以下のチェックで、受診の優先度を判断してみましょう。
ただし、自己判断には限界があるため、あくまで参考としてお使いください。
痛みの場所から原因を絞り込む
膝の痛みは発生部位によって原因が異なります。
以下の表を参考に、ご自身の症状と照らし合わせてみてください。
| 痛む場所 | 考えられる主な原因 |
|---|---|
| 膝の内側(やや下) | 鵞足炎、変形性膝関節症(内側型) |
| 膝の内側・外側全体 | 変形性膝関節症、関節リウマチ |
| 膝のお皿まわり | 膝蓋骨軟化症、滑液包炎 |
| 膝の裏側 | ベーカー嚢腫(のうしゅ)、半月板損傷 |
正座という動作は膝全体に広く負荷をかけるため、複数の部位が同時に痛む場合も珍しくありません。
「内側が主に痛い」「お皿の周囲がじんじんする」など、痛みの中心となる場所を整形外科の医師に正確に伝えることで、診断の精度が高まります。
放置すると症状が進行するリスク
正座でのわずかな痛みを「歳のせい」「そのうち治る」と放置してしまう患者さまは少なくありません。
しかし変形性膝関節症や鵞足炎は、放置することで炎症が慢性化し、症状が広がる可能性があります。
特に変形性膝関節症は進行性の疾患です。
初期段階から中期・末期へと段階的に悪化していきます。
末期まで進行すると、日常生活の動作に支障をきたすだけでなく、選択できる治療の幅も狭まります。
早い段階で原因を特定し、適切な治療や生活習慣の見直しを行うことが、長期的な膝の健康を守ることにつながります。
鵞足炎も同様に、炎症が慢性化すると痛みが長く続くほか、周辺の筋肉や腱への負担が蓄積して複合的な症状につながることがあります。
「少し痛む程度」と感じている患者さまも、痛みが続く場合は整形外科での診察をご検討ください。
整形外科への受診が必要なサイン
以下に一つでも該当する場合は、早めに整形外科を受診してください。
- ・正座できない、または正座から立ち上がれないほどの強い痛みがある
- ・膝が腫れている、または熱感がある
- ・安静にしていても痛みが続く
- ・夜間に痛みで目が覚めることがある
- ・膝に水が溜まっている感覚がある
- ・膝がロックされたように動かなくなることがある(ロッキング症状)
- ・2週間以上、正座のたびに同じ場所が痛む
上記に該当しない場合でも、「最近正座が辛くなってきた」と感じたら、それは膝からのサインかもしれません。
まずは整形外科を受診して原因を確認することをおすすめします。整形外科で治療を続けても痛みが改善しない方や、手術を避けたいとお考えの方は、当院での再生医療もご検討いただけます。MRIひざ即日診断は完全予約制です。

正座の膝痛を悪化させないための対処法
正座での膝痛がある場合、まずは「炎症を悪化させない」ことが最優先です。
適切なセルフケアと生活習慣の見直しが、症状の進行を抑えるカギとなります。
ただし、セルフケアはあくまで補助的な手段であり、医師の診察を代替するものではありません。
安静と炎症コントロール
急性的な痛みや腫れがある場合は、まず安静を保ち、患部を冷やすアイシングを行うことが基本です。
1回15〜20分を目安に、1日2〜3回程度行います。ただし、冷やしすぎによる凍傷には注意が必要です。
タオルでくるんだ氷嚢や市販のアイスパックを使用してください。
炎症が落ち着いた段階では、温めることで血行を促し、筋肉のこわばりをほぐすことができます。
慢性的な痛みが続く場合は、入浴や温熱パッドを活用することも選択肢のひとつです。
なお、腫れや熱感がある急性期には温めを避け、アイシングを優先してください。
痛みが強い場合、市販の消炎鎮痛薬が一時的な痛みの緩和に役立つことがあります。
しかし薬で痛みを抑えているだけでは根本的な治療にはなりません。
痛みのサインを無視して無理に動かし続けると、症状が悪化する可能性があります。痛みが続いている場合や気になる症状がある場合は、まず整形外科へご相談ください。
ストレッチで周辺筋肉の柔軟性を高める
膝周辺の筋肉の硬さや筋力低下は、膝への負担を増大させる大きな要因です。
定期的なストレッチで筋肉の柔軟性を高めることは、膝への負担を和らげ、痛みの予防・改善に役立ちます。
鵞足部のストレッチ
椅子に浅く座り、片方の脚を前に伸ばした状態で、つま先を軽く外側に向けます。背筋を伸ばしたまま、上体をゆっくり前に倒し、太ももの内側から膝の内側にかけて伸びる感覚を10〜30秒ほどキープします。
強い痛みが出る場合は無理に続けず、すぐに中止して医師に相談してください。
大腿四頭筋のストレッチ
立った状態で、片方の足首を後ろから手でつかみ、かかとをお尻に引き寄せます。
太ももの前面(大腿四頭筋)に伸びる感覚を確認しながら15〜30秒キープします。バランスが取りにくい場合は壁に手をついて行いましょう。
ハムストリングスのストレッチ
仰向けになり、片方の膝を胸に引き寄せ、さらにゆっくり膝を伸ばします。
太ももの裏に伸びる感覚を確認しながら15〜30秒キープします。
膝の痛みに効果的なストレッチ方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶『膝が痛い方にはストレッチがおすすめ!寝ながら・座りながらの簡単ストレッチ4選』
日常生活での工夫と体重管理
正座は膝への負担が大きい動作のひとつです。
膝に痛みがある間は、椅子を使った生活様式へ切り替えることを検討してください。
やむを得ず正座が必要な場面では、正座補助用具を活用することで、膝への圧迫を大幅に軽減できます。
体重管理も大切です。
体重が1kg増えると膝への負担は約3〜4kg増えると言われています。適正体重を維持することで、膝への慢性的な負担を減らせます。
日々の食事管理と、水中歩行や自転車など膝に負担の少ない有酸素運動を組み合わせることをおすすめします。
また、靴の選択も見直しのポイントです。
クッション性の高い靴底のシューズを選ぶことで、歩行時の膝への衝撃を和らげることができます。
扁平足や外反母趾がある場合は、インソールを使用することで下肢アライメントが改善し、鵞足部への負担軽減にもつながることがあります。

整形外科ではどのような治療が行われるか
整形外科では、正座で膝が痛い場合に、まず問診や触診、必要に応じて画像検査を行い、痛みの原因を確認します。画像検査ではレントゲンで骨や関節の変形を確認し、必要に応じてMRIで半月板や靭帯、軟骨などの状態を詳しく調べます。
治療は、痛みの程度や原因に応じて、薬物療法や湿布、注射、リハビリテーションなどの保存療法を中心に行われるのが一般的です。
画像検査と正確な診断
整形外科では、問診・触診に加えてレントゲン撮影が行われます。変形性膝関節症の進行度は、レントゲンである程度確認できます。
一方で、半月板や靭帯、軟骨、滑膜などの軟部組織の状態は、レントゲンだけでは詳しく把握しにくい場合があります。そのような場合には、MRI検査が原因の確認に役立ちます。
MRI検査では、半月板損傷の有無や程度、滑膜の炎症、軟骨の変性、骨浮腫など、レントゲンでは確認しづらい情報を把握できることがあります。
「レントゲンで異常なし」と言われた場合でも、痛みが続いている場合や膝の引っかかり感・腫れなどがある場合は、MRI検査によって原因が見つかるケースもあります。
正確な診断と適切な治療につなげるためには、症状や診察結果に応じて、レントゲン検査やMRI検査を受けることが大切です。
薬物療法・注射療法
整形外科での代表的な治療のひとつが薬物療法です。
消炎鎮痛薬の内服・外用が痛みや炎症の抑制に用いられます。また、関節内へのヒアルロン酸注射は、関節の潤滑を助け痛みを和らげる効果が期待できます。
ただし、ヒアルロン酸注射の効果の持続期間には個人差があり、繰り返し打ち続けることで徐々に効果が薄れてくる場合もあります。
鵞足炎に対しては、鵞足部への局所麻酔薬やステロイドの注射が炎症を抑える目的で行われることがあります。
ステロイド注射は短期的な効果は期待できますが、繰り返しの使用は腱の組織を弱化させるリスクがあるため、使用回数には注意が必要です。
理学療法・リハビリテーション
膝周囲の筋力強化と関節可動域の改善を目的としたリハビリテーションも、整形外科での主要な治療アプローチです。
大腿四頭筋を強化することで、膝関節への負担を軽減し、痛みの改善・再発防止に効果が期待できます。
鵞足炎に対しては、内転筋・ハムストリングスの柔軟性改善を目的としたリハビリが行われます。
正座での痛みが軽度〜中等度の段階では、こうした保存療法を継続することで症状が落ち着くケースも多くあります。
ただし、リハビリや薬物療法などの保存療法を3〜6ヶ月続けても十分な改善が見られない場合や、痛みが悪化している場合は、改めて膝の状態や痛みの原因を確認し、次の治療選択肢を検討することが大切です。
整形外科で改善しない場合の選択肢
整形外科での保存療法を続けても十分に改善しない場合、次の選択肢として手術療法または再生医療が挙げられます。
それぞれのメリット・注意点を正しく理解したうえで選択することが大切です。
手術療法の選択肢と注意点
変形性膝関節症が重度まで進行した場合、高位脛骨骨切り術や人工膝関節置換術といった手術が検討されます。
手術療法は痛みの根本的な改善が期待できる一方で、入院・リハビリ期間、術後の合併症リスク、人工関節の耐用年数など、さまざまな側面を十分に理解したうえで判断する必要があります。
「手術は怖い」「できれば自分の膝を温存したい」と考える方も少なくありません。特に高齢の方や持病のある方では、体への負担や術後の生活も含めて慎重に検討することが大切です。
特に高齢の患者さまにとっては、手術や全身麻酔に対するリスクも考慮が必要です。そのような場合に、近年注目されているのが再生医療です。
再生医療という選択肢
再生医療とは、患者さま自身の血液や脂肪から採取した成分を活用し、損傷した組織の修復を促す治療法です。代表的なものに、PRP療法と幹細胞治療があります。
PRP治療は、患者さまの血液を遠心分離して得られる血小板を多く含む血漿を、膝関節に注射する治療です。血小板に含まれる成長因子の働きにより、炎症の軽減や組織修復の促進が期待されています。
当院では以前PRP治療を提供していましたが、現在は変形性膝関節症の治療法として、PRP-FD(PCF-FD™)を提供しています。
血液からPRPを生成するところまでは同じ工程ですが、PRP-FD注射では、そこから血小板由来の成長因子を抽出し、高濃度に加工したものを使用します。これにより、一般的なPRP療法と比べて成長因子を約2倍含むとされています。
また、幹細胞治療は、患者さまの脂肪から採取した幹細胞を培養・増殖させてから患部に投与する治療です。幹細胞から分泌されるサイトカインや成長因子によって、炎症の抑制や組織修復の促進、関節内環境の安定化を図り、関節機能の改善や維持を目指します。変形性膝関節症や半月板損傷に対して適用されることがあります。
再生医療は自由診療となります。今までの治療に限界を感じている方、手術は避けたいという方にとって、選択肢の一つとなる治療です。
再生医療の詳細については、こちらの記事でわかりやすく解説しています。
ひざ関節症クリニックでの受診について
ひざ関節症クリニックは、再生医療専門クリニックとして、整形外科での治療で十分な改善が得られない患者さまや、慢性的な膝痛にお悩みの患者さま、できるだけ手術を避けたいと考えている患者さまに対し、再生医療の適応可否や期待できる効果についてご提案しています。
全国11拠点・膝の専門医31名体制で、これまでに44,900例を超える再生医療を実施してきた実績があります。
診察はMRIデータに基づいて行われるため画像情報をもとに患者さまの膝の状態を詳しく評価できます。
膝の痛みでお悩みの患者さまは、まずは無料電話相談または初診のご予約からお気軽にお問い合わせください。MRIひざ即日診断は完全予約制です。

まとめ
この記事では、正座で膝が痛くなる主な原因として変形性膝関節症・鵞足炎・半月板損傷などを解説し、それぞれの症状の特徴・セルフケアの方法・受診の目安・整形外科での治療・そして再生医療という選択肢まで幅広くお伝えしました。
正座での膝の痛みは加齢とともに進行しやすく、早期に原因を特定して対処することが、長期的な膝の健康を守ることにつながります。
整形外科での治療で改善が見られない方や、手術をできる限り避けたいとお考えの方は、再生医療専門クリニックへのご相談を選択肢のひとつとしてご検討ください。

人工関節以外の新たな選択肢
「再生医療」
変形性膝関節症の方、慢性的なひざの
痛みにお悩みの方は是非ご検討ください。
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