「膝の軟骨は一度すり減ると、もう増えないのでしょうか」
「食事やサプリで膝軟骨を増やす方法はありますか」
「手術以外に、軟骨の修復過程に働きかける治療法はあるのでしょうか」
このような疑問をお持ちの患者さまは非常に多くいらっしゃいます。
膝軟骨は血管が乏しい組織で、皮膚の傷のように自然に元通りになりやすい組織ではありません。そのため、食事やサプリだけで膝軟骨そのものを明確に増やすと考えるのは慎重であるべきです。
この記事では、膝軟骨を増やす方法はあるのか、食事やサプリでできること、軟骨の修復過程に働きかける治療法、すり減りを進めないための考え方を解説します。
すでに膝の痛みがある場合は、自己判断で対策を続けるだけでなく、状態に応じて膝の専門医に相談することも検討しましょう。
目次
- 膝軟骨を自力で増やすことは難しい
- 膝軟骨は血流が乏しく修復しにくい組織
- 「増やす」より「守る」と「痛みを抑える」が現実的
- 食事で膝軟骨は増やせる?
- コラーゲンやたんぱく質は「体づくりの材料」
- 体重管理は膝軟骨を守るうえで重要
- 「膝にいい食べ物」は過信しない
- サプリで膝軟骨は増える?
- グルコサミンとコンドロイチンの位置づけ
- サプリと医療の違いを理解する
- サプリを選ぶ前に確認したいこと
- 軟骨の修復過程に働きかける治療法はある?
- 保存的な治療は痛みと負担を減らすために行う
- 手術では軟骨損傷への処置が検討されることがある
- 再生医療は修復過程への関与を目的とした選択肢
- 膝軟骨がすり減る原因は軽く押さえておく
- 加齢や体重、膝への繰り返し負担が関係する
- 痛みがある場合は「軟骨の量」だけで判断しない
- 膝軟骨を守るために今日からできること
- 太ももの筋肉を保つ
- 膝に負担がかかる動作を減らす
- 情報を見極めて受診のタイミングを逃さない
- よくある質問
- 膝軟骨は食べ物で増えますか?
- グルコサミンやコンドロイチンで軟骨は増えますか?
- 再生医療で膝軟骨は増えますか?
- 軟骨のすり減りを放置するとどうなりますか?
- まとめ
膝軟骨を自力で増やすことは難しい
まず知っておきたいのは、膝軟骨は「食べれば増える」「運動すれば元に戻る」と単純に考えにくい組織だという点です。インターネット上ではさまざまな情報が見つかりますが、医学的根拠を踏まえて判断することが大切です
膝の軟骨を自力で明確に増やす方法は、現在のところ確立されていません。
そのため、基本的には膝関節の痛みの改善や関節機能の維持、軟骨のすり減りの進行をできるだけ抑えることを目的とした対策を組み合わせて行います。
膝軟骨は血流が乏しく修復しにくい組織
膝軟骨は、大腿骨と脛骨の表面を覆い、関節がなめらかに動くように助ける組織です。
クッションのような役割を持ち、歩く、階段を上る、立ち上がるといった動作で膝にかかる負担を受け止めています。
ところが、関節軟骨には血管や神経がほとんどないため、損傷したときに修復材料が届きにくい特徴があります。
皮膚を切った場合は血液が集まり、炎症や修復の反応が起こりやすくなります。
一方、膝軟骨はその仕組みが働きにくいため、すり減った部分が自然に厚く戻るとは考えにくいのです。
だからこそ「膝軟骨を増やす」という言葉を使うときは、軟骨そのものが増える話なのか、痛みや炎症を抑えて膝を使いやすくする話なのかを分けて考える必要があります。
また、膝軟骨のすり減りは軟骨だけの問題ではありません。骨、滑膜、半月板、筋力、体重、膝のアライメントなど複数の要因が関係します。
軟骨だけに注目しすぎると、本来必要な体重管理や運動、画像評価、治療選択の判断が遅れることがあります。
「増やす」より「守る」と「痛みを抑える」が現実的
患者さまが「膝軟骨を増やしたい」と考える背景には、膝の痛みを減らしたい、手術を避けたい、将来歩けなくなるのではないかという不安があります。
この不安は自然なものですが、対策の方向性は「軟骨を食べ物で増やす」よりも、「膝への負担を減らし、痛みの原因を評価し、関節機能を維持する」ことが中心になります。つまり、目的は軟骨の厚みだけではなく、日常生活をどれだけ無理なく続けられるかにあります。
具体的には、太ももの筋力を保つ、体重を管理する、膝に負担がかかる動作を見直す、痛みが続く場合は画像検査で状態を確認する、といった方法が考えられます。
これらは軟骨を直接増やす方法ではありませんが、膝軟骨への負担を減らし、痛みや炎症の悪循環を抑えるうえで大切です。
膝の状態によっては、再生医療など修復過程に働きかける治療が検討されることもあります。
ただし、痛みが強いのに「軟骨を増やす食事を続ければよくなるはず」と考えて受診を先延ばしにすることは、おすすめできません。
痛みの原因が変形性膝関節症だけとは限らず、半月板損傷や骨壊死などが関係している場合もあります。痛みが続く場合は、膝の状態を確認したうえで対策を選ぶことが重要です。
食事で膝軟骨は増やせる?
食事は膝の健康を支える大切な要素ですが、「これを食べれば膝の軟骨が増える」と医学的に認められている食品は、現在のところありません。食事で期待できるのは、軟骨や筋肉、骨を構成するために必要な栄養素を十分に摂取することや、適正体重を維持して膝への負担を軽減することです。
つまり、食事は膝の軟骨を直接増やすものではなく、膝関節を支える体づくりや、健康的な生活習慣の一環として取り入れることが大切です。
コラーゲンやたんぱく質は「体づくりの材料」
膝軟骨にはコラーゲンやプロテオグリカンなどの成分が含まれています。そのため、コラーゲンを含む食品を食べれば膝軟骨が増えるのではないかと考える方もいるかもしれません。しかし、食べたコラーゲンがそのまま膝軟骨になるわけではありません。消化の過程でアミノ酸やペプチドに分解され、体内でさまざまな組織の材料として利用されます。
だからといって、たんぱく質やビタミンCが不要という意味ではありません。たんぱく質は筋肉や組織の材料になり、ビタミンCはコラーゲン合成に関わります。膝を支える筋力を維持するためにも、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などからたんぱく質をとることは大切でしょう。
特に中高年以降は、食事量の低下や偏りによって筋肉量が落ちやすくなります。太ももの筋力が落ちると膝関節にかかる負担が増え、痛みを感じやすくなることがあります。膝軟骨を直接増やす食品を探すより、膝を支える筋肉と体重のバランスを整える食事を意識する方が現実的です。
体重管理は膝軟骨を守るうえで重要
膝は体重の影響を受けやすい関節です。体重が増えると、歩行や階段昇降のたびに膝へかかる負担も増えます。日本整形外科学会も、変形性膝関節症の予防として、肥満がある場合の減量や大腿四頭筋の強化などを挙げています[1]。
無理な食事制限は筋肉量を落とし、かえって膝を支える力を弱める可能性があります。大切なのは、極端に食べない方法ではなく、たんぱく質、野菜、主食、脂質を整えながら体重をゆるやかに管理することです。膝の痛みがある患者さまでは、運動量を急に増やすことが難しいため、食事の見直しが負担軽減のきっかけになることもあります。
食事では、以下のような考え方が役立ちます。
・毎食たんぱく質を取り入れる
・野菜や海藻、きのこ類で食物繊維を補う
・甘い飲み物や間食の頻度を見直す
・揚げ物や加工食品に偏りすぎない
・急な減量ではなく継続できる範囲で調整する
変形性膝関節症の予防に関する歩き方や筋トレ、食事の考え方は、こちらの記事でも解説しています。
▶『変形性膝関節症は予防できる? 【歩き方・筋トレ・食事】』
「膝にいい食べ物」は過信しない
インターネット上には、鶏軟骨、魚の皮、ゼラチン、青魚、ブロッコリー、乳製品などを膝にいい食べ物として紹介する記事があります。これらの食品には、たんぱく質、ビタミン、脂質、ミネラルなどが含まれており、栄養バランスの一部として取り入れることはできます。ただし、特定の食品だけで膝軟骨が増えるとは考えない方がよいでしょう。
また、膝の痛みがある患者さまでは、痛みの原因が軟骨のすり減りだけとは限りません。食事を整えることは大切ですが、膝の腫れ、熱感、引っかかり感、歩行時の強い痛みなどがある場合は、食事だけで様子を見るのではなく、一般整形外科で状態を確認することが必要になる場合もあります。慢性的な膝の痛みが続き、治療法を詳しく知りたい方は、膝の専門医への相談も選択肢になります。
「膝軟骨を増やす食べ物」を探していると、「増える」「再生する」といった表現を目にすることがあります。しかし、その内容をよく見ると、軟骨の材料となる栄養素を補うことや、適切な栄養状態や体重管理を通じて膝の健康維持を目指すことを指している場合も少なくありません。記事を読む際は、軟骨そのものが増えたことを示す医学的根拠があるのかを確認しましょう。
サプリで膝軟骨は増える?
グルコサミンやコンドロイチンなどのサプリは、膝軟骨に関する情報でよく見かけます。成分名だけを見ると軟骨に直接よさそうに思えますが、研究結果は一貫しておらず、過度な期待は避ける必要があります。
グルコサミンやコンドロイチンは軟骨の成分と関係しますが、サプリで膝軟骨そのものが明確に増えるとは言い切れません。
グルコサミンとコンドロイチンの位置づけ
グルコサミンは、軟骨に含まれる成分の構成に関わる物質です。コンドロイチンも軟骨の成分のひとつで、圧力に抵抗する性質に関係します。このため、サプリとして摂取すれば軟骨の修復に役立つのではないかと期待されてきました。
しかし、厚生労働省eJIMでは、変形性膝関節症に対するグルコサミンやコンドロイチンについて、研究結果が一貫しておらず、有効かどうかはまだはっきりしていないと整理されています[2]。痛みや関節機能に関する研究でも、結果が分かれています。関節構造への影響についても、研究ごとに相反する結果が示されています。
つまり、サプリを飲むこと自体を一律に否定する必要はありませんが、「飲めば膝軟骨が増える」と考えるのは適切ではありません。使用を検討する場合は、現在の治療や持病、服薬状況との兼ね合いも確認する必要があります。特に抗凝固薬を服用している方、血糖管理が必要な方、妊娠中や授乳中の方は、自己判断で始めない方がよいでしょう。
サプリと医療の違いを理解する
サプリは食品に分類されるものが多く、病気を診断したり治療したりするものではありません。膝の痛みがある場合、サプリで様子を見るだけでは、痛みの原因を見落とす可能性があります。軟骨のすり減り、半月板の損傷、骨の変化、炎症の程度などは、問診や診察、画像検査を組み合わせて判断します。
また、サプリの体感には個人差があります。飲んで楽になったと感じる方がいる一方で、変化を感じにくい方もいます。体感がある場合でも、軟骨そのものが増えたことを意味するとは限りません。痛みの感じ方、活動量、体重、筋力、生活習慣など、複数の要素が影響します。
膝の痛みが続いている患者さまは、サプリを続けるかどうかだけでなく、膝の状態を把握することが大切です。軟骨がどの程度すり減っているのか、炎症や骨の変化があるのか、保存的な対策で様子を見られるのかを確認することで、今後の選択肢を考えやすくなります。
サプリを選ぶ前に確認したいこと
サプリを試す前には、期待する目的を整理しておきましょう。「膝軟骨を増やすため」ではなく、「食生活で不足しがちな栄養を補うため」「膝の健康を支える生活習慣の一部として取り入れるため」と考える方が現実に近いといえます。
確認したいポイントは以下です。
| 確認項目 | 見るべきポイント | 注意したい表現 |
|---|---|---|
| 目的 | 栄養補助を目的としたものか、関節の健康維持を目的としたものか | 「軟骨が増える」「軟骨が再生する」と断定する表現 |
| 成分 | グルコサミン、コンドロイチン、コラーゲンなど、どのような成分が含まれているか | 成分名だけで効果を決めつける表現 |
| 服薬 | 抗凝固薬や糖尿病治療薬などとの飲み合わせや、持病への影響 | 持病があっても誰でも使える表現 |
| 期間 | 使用期間や評価方法が明記されているか | 「すぐに効果が出る」「短期間で軟骨が増える」と期待させる表現 |
| 受診 | 痛みが続く場合や悪化した場合の相談先が示されているか | サプリだけで治療ができると受け取れる表現 |
サプリを使う場合も、痛みが続く、階段がつらい、膝が腫れる、歩き始めに痛むといった症状があるなら、医療機関で膝の状態を確認しましょう。膝の痛みの原因や治療の選択肢については、こちらの記事で全体像を解説しています。
▶『変形性膝関節症の治し方を徹底解説!治療ごとのメリット・デメリットは?』
軟骨の修復過程に働きかける治療法はある?
食事やサプリメントで膝の軟骨そのものを増やすことについては、現時点では十分な医学的根拠は確立されていません。一方、医療の現場では、変形性膝関節症に対して、症状の軽減や関節機能の改善を目的としたさまざまな治療が行われています。ここでは、患者さまが混同しやすい治療の考え方について解説します。
膝の治療では、軟骨を増やすことを目的とするのではなく、痛みや炎症の軽減、関節の状態の改善を目指し、患者さまの症状や病状に応じて治療法が選択されます。
保存的な治療は痛みと負担を減らすために行う
変形性膝関節症の初期から中期では、運動療法、体重管理、薬物療法、ヒアルロン酸注射などが検討されることがあります。これらは膝軟骨を直接増やす治療ではなく、痛みや炎症を抑えたり、膝への負担を減らしたりするための方法です。膝を支える筋肉を鍛えることで、関節へのストレスを分散しやすくなる場合もあります。
ヒアルロン酸注射は、関節内の動きをなめらかにする目的で使われることがあります。ただし、すり減った軟骨を元に戻す治療ではありません。痛みの軽減を感じにくくなっている場合や、注射を続けても日常生活に支障がある場合は、次の治療選択肢を相談するタイミングかもしれません。
ヒアルロン酸注射を続けるか迷っている方は、こちらの記事も参考になります。
▶『膝にヒアルロン酸を打ち続けるとどうなる?効果・限界・やめ時を医師が解説』
手術では軟骨損傷への処置が検討されることがある
局所的な軟骨損傷では、マイクロフラクチャー、骨軟骨柱移植、自家培養軟骨移植などが検討されることがあります。これらは膝の状態、年齢、活動量、損傷範囲、変形の程度などによって判断される医療行為です。すべての膝痛や変形性膝関節症に同じように使えるわけではありません。
マイクロフラクチャーは、軟骨の下の骨に小さな穴を開け、修復反応を促す手術です。骨軟骨柱移植は、比較的健康な軟骨と骨を円柱状に採取して損傷部位へ移す方法です。自家培養軟骨移植は、自分の軟骨細胞を培養して損傷部位に移植する方法で、対象や条件を確認したうえで検討されます。
ただし、患者さまが検索している「膝軟骨を増やす方法」と、これらの手術は同じ意味ではありません。食事やサプリの延長で気軽に選ぶものではなく、画像検査と医師の判断が必要です。強い変形がある場合、軟骨だけでなく骨の形や膝全体のバランスも含めて治療方針を考える必要があります。
再生医療は修復過程への関与を目的とした選択肢
再生医療は、患者さま自身の血液や脂肪組織などを用いて行われる治療です。痛みの軽減や関節機能の改善が期待される場合に検討される治療です。膝の分野では、PRP-FD(PFC-FD™)治療や培養幹細胞治療などが選択肢として扱われることがあります。ただし、「軟骨が必ず増える」「すり減った軟骨が元通りになる」と断定するものではありません。
ひざ関節症クリニックでは、MRI画像などをもとに膝の専門医が膝の状態を詳しく確認し、再生医療の適応や期待される効果、その他の治療の選択肢についてご説明しています。
再生医療についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事でも基本的な考え方を解説しています。
膝の痛みが続いている方や、現在の治療で十分な改善がみられず、今後の治療について相談したい方は、ぜひ一度当院へご相談ください。MRIなどの画像検査をもとに、膝の状態を詳しく確認し、一人ひとりの症状に応じた治療の選択肢をご案内いたします。

膝軟骨がすり減る原因は軽く押さえておく
膝軟骨がすり減る原因を知っておくと、食事やサプリだけに頼るべきか、医療機関で状態を確認すべきかを判断しやすくなります。ここでは、膝軟骨に負担がかかる主な要因を整理します。
膝軟骨のすり減りは加齢だけでなく、体重、筋力、膝の使い方、外傷歴などが重なって進むことがあります。
加齢や体重、膝への繰り返し負担が関係する
日本整形外科学会では、変形性膝関節症の原因として、関節軟骨の老化、肥満、素因、外傷や感染の後遺症などが関与すると説明しています[1]。加齢により軟骨の弾力性が低下し、使い過ぎによってすり減りやすくなることがあります。体重が増えると、歩行や階段昇降で膝にかかる力も大きくなります。
また、膝を深く曲げる動作、重い荷物を持つ作業、ジャンプや方向転換の多い運動なども膝への負担になりやすい要素です。負担を完全になくす必要はありませんが、痛みがある時期に無理を重ねると、炎症が長引くことがあります。痛みが出る動作を把握し、生活の中で負担を減らす工夫をすることが大切です。
膝軟骨のすり減りが進むと、歩き始めの痛み、階段の痛み、正座のしにくさ、膝のこわばりなどが出ることがあります。変形性膝関節症との関係や治療法を詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
▶『膝軟骨の「すり減り」は変形性膝関節症【原因と治療法について】』
痛みがある場合は「軟骨の量」だけで判断しない
膝の痛みは、軟骨の厚みだけで決まるわけではありません。画像では軟骨のすり減りがあっても痛みが軽い方もいれば、強い痛みがあって日常生活に支障が出る方もいます。痛みには滑膜の炎症、骨の変化、半月板、筋力、姿勢、歩き方などが関係します。
そのため、膝軟骨を増やす方法を探すときも、「軟骨がどれくらい残っているか」だけでなく、「なぜ痛いのか」「どの動作で困っているのか」「どの治療で生活が改善しそうか」を整理する必要があります。痛みが続く場合は、MRI検査などで関節内の状態を確認することで、痛みの原因を把握する手がかりになる場合があります。
ひざ関節症クリニックでは、膝の痛みでお困りの患者さまに対して、MRIデータをもとに膝の状態を確認します。再生医療の適応可否効果の見込みは、患者さまごとに異なります。まずは膝の状態を正しく把握することが、漠然とした不安を減らし、適切な対応を考える第一歩になります。
膝軟骨を守るために今日からできること
膝軟骨そのものを自力で増やす方法が確立されていないからこそ、膝への負担を減らし、痛みを長引かせない行動が重要になります。食事、運動、生活動作の見直しは、治療を受ける場合にも土台になります。
膝軟骨を守るためには、体重管理、筋力維持、痛みを悪化させる動作の調整を無理なく続けることが大切です。
太ももの筋肉を保つ
膝を支える代表的な筋肉に、大腿四頭筋があります。太ももの前側にある筋肉で、立ち上がる、歩く、階段を上るといった動作に関わります。この筋肉が弱くなると、膝関節にかかる負担を分散しにくくなり、痛みが出やすくなることがあります。
ただし、膝が痛い状態でスクワットや階段運動を急に増やすのは避けましょう。痛みがある患者さまでは、椅子に座ったまま膝をゆっくり伸ばす運動や、仰向けで脚を少し上げる運動など、負担の少ない方法から始める方が続けやすい場合があります。運動中や運動後に痛みが増える場合は、中止して医療機関に相談してください。
運動は、軟骨を直接増やすというより、膝を支える環境を整えるために行います。痛みが強い時期、腫れがある時期、熱感がある時期は、無理に鍛えるより先に状態確認が必要です。自分に合う運動量がわからない場合は、専門家に相談しながら調整しましょう。
膝に負担がかかる動作を減らす
日常生活では、膝を深く曲げる動作が負担になりやすいことがあります。正座、しゃがみ込み、和式トイレ、低い椅子からの立ち上がり、重い荷物を持った階段昇降などは、膝の痛みを強めるきっかけになることがあります。すべてを禁止するのではなく、痛みが出る動作を減らす工夫が大切です。
たとえば、椅子やベッドを少し高めにする、洋式トイレを使う、買い物では荷物を分ける、階段よりエレベーターを使う日を作るといった方法があります。膝をかばいすぎて活動量が落ちると筋力低下につながるため、痛みを増やさない範囲で動くことも必要です。無理をしないことと、動かなさすぎないことのバランスを取りましょう。
痛みが続く場合は、動作の工夫だけで解決しようとしないことも大切です。膝の状態によっては、炎症を抑える治療や画像評価が必要になることがあります。セルフケアで改善しにくい痛みがある場合は、整形外科や膝の専門医に相談することも選択肢の一つです。
情報を見極めて受診のタイミングを逃さない
膝軟骨に関する情報は、食事、サプリメント、運動、整体、再生医療、手術など幅広く存在します。それぞれの情報には参考になる部分もありますが、「これだけで軟骨が増える」といった表現には注意が必要です。
特に膝の痛みが続いている場合は、情報を集めるだけでなく、現在の膝の状態を確認することも大切です。
医療機関への受診を検討したいサインには、次のようなものがあります。
- ・歩き始めや階段で膝が痛む
- ・痛みが数週間以上続いている
- ・膝が腫れる、熱っぽい、こわばる
- ・正座やしゃがみ込みがつらい
慢性的な膝の痛みがあり、治療方法について詳しく知りたい方は、MRI画像などをもとに膝の状態を確認することが大切です。ひざ関節症クリニックでは、膝の専門医が状態を確認したうえで、再生医療を含めた治療の選択肢についてご説明しています。

よくある質問
膝軟骨を増やす方法については、患者さまから似た疑問をいただくことがあります。ここでは、食事、サプリ、治療法に関する代表的な質問を整理します。
膝軟骨に関する疑問は、軟骨そのものを増やす話と、膝の痛みを軽減する話を分けて考えると理解しやすくなります。
膝軟骨は食べ物で増えますか?
食べ物だけで膝軟骨が明確に増えるとは考えにくいです。コラーゲン、たんぱく質、ビタミンC、オメガ3脂肪酸などは体づくりや炎症に配慮した食生活の一部として役立つ可能性がありますが、特定の食品がすり減った膝軟骨を元に戻すとは断定できません。
食事で重視したいのは、体重管理と筋力維持です。膝への負担を減らし、膝を支える筋肉を落とさないためには、極端な制限ではなく、継続しやすい栄養バランスが大切です。痛みがある場合は、食事だけに頼らず、膝の状態を確認しましょう。
また、インターネット上で「膝にいい食べ物」として紹介される食品は、栄養面では参考になることがあります。ただし、それらは治療の代わりではありません。痛みが続く場合は、食事と医療的な評価を分けて考えることが大切です。
グルコサミンやコンドロイチンで軟骨は増えますか?
グルコサミンやコンドロイチンは軟骨の成分と関係するため、サプリとして広く知られています。ただし、変形性膝関節症に対する研究結果は一貫しておらず、軟骨そのものが増えると断定できる状況ではありません。厚生労働省eJIMでも、有効かどうかはまだはっきりしていないと整理されています[2]。
サプリを検討する場合は、現在の服薬や持病との関係を確認しましょう。特に抗凝固薬を服用している方や血糖値の管理が必要な方は、自己判断で始めない方がよい場合があります。医師や薬剤師に相談したうえで判断してください。
サプリで痛みが軽くなったように感じる場合でも、膝の状態が改善したとは限りません。痛みが続く、歩きにくい、階段がつらいといった症状がある場合は、画像検査や診察で原因を確認することが大切です。
再生医療で膝軟骨は増えますか?
再生医療は、痛みの軽減や関節機能の改善が期待される場合に検討される治療です。PRP-FD(PFC-FD™)療法や培養幹細胞治療などがありますが、「膝軟骨が必ず増える」「元通りになる」と断定するものではありません。患者さまの膝の状態、変形の程度、炎症、生活上の困りごとによって検討できる内容は異なります。
ひざ関節症クリニックでは、MRIデータをもとに膝の専門医が膝の状態を確認し、再生医療の適応を含めた治療の選択肢についてご説明しています。膝の痛みが続いている方や、手術以外の治療法を検討している方、現在の治療で十分な改善を感じにくい方は、ご自身に合った治療の選択肢について医師と一緒に検討できます。
再生医療は、「軟骨を増やす魔法の方法」と考えるものではありません。治療の目的、期待できること、限界、費用、通院回数などを確認し、自分の膝の状態に合うかどうかを考える必要があります。
軟骨のすり減りを放置するとどうなりますか?
膝軟骨のすり減りが進むと、歩き始めの痛み、階段の痛み、正座のしにくさ、膝のこわばりなどが出ることがあります。進行すると、痛みが長引いたり、日常生活でできることが制限されたりする可能性があります。ただし、症状の進み方には個人差があります。
痛みがある状態を長くそのままにすると、必要な対策が遅れることがあります。早めに状態を確認すれば、体重管理、運動、薬物療法、注射、再生医療、手術などの選択肢を検討しやすくなります。
まとめ
この記事では、膝軟骨を増やす方法について、食事、サプリ、治療法の観点から解説しました。膝軟骨は自己修復が難しい組織であり、食事やサプリだけで軟骨そのものが明確に増えるとは考えにくいです。一方で、体重管理、筋力維持、膝への負担を減らす生活習慣は、膝軟骨を守るうえで重要です。膝の痛みが続いている患者さまは、自己判断で対策を続けるだけでなく、膝の状態を確認したうえで治療選択肢を整理しましょう。
治療の適応には個人差があります。最終的な判断は、膝の状態を確認したうえで医師にご相談ください。

参考文献
[1] 公益社団法人 日本整形外科学会. 変形性膝関節症(症状・病気をしらべる).参照はこちら (最終アクセス: 2026年6月19日)
[2] 厚生労働省eJIM. 変形性関節症に対するグルコサミンとコンドロイチン(海外の情報).参照はこちら (2025年6月最終更新/最終アクセス: 2026年6月19日)
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